「おばちゃんのおまじない」を指導して

大好きな特別の教科「道徳」の指導はあと何回できるのだろうか?といつも時間との戦いで焦りながら教えている自分がある。今回も図らずも「神回」となった。

6限目ほとんど全員がダラっとしていた。

最初に、「仕事をする上で大切なことは」と導入で聞く。「心をこめること」や「一生懸命すること」などが出る。さらっと2分くらいで終了。ここは、最後にも、自分の価値観が変わったことと含めてもう1度たずねることになる。

「私」は美容師でまだなりたて。余命が限られている患者がたくさんいる病棟に父親のお見舞いに行くところからストーリーが始まる。美容師であることを聞きつけて、患者が「私」に洗髪を依頼してくる。日毎予約が増えていく。もちろんボランティアである。口が悪く元気一杯のおばさんのシャンプをした時に、「あんた、面倒くさいと思ってやってるんでしょ!?すぐわかるんだから。」と心を見透かされてしまう。「あんたの手なんか、荒れてもいない、職人らしい手になってないよ。もっともっと頑張らないとプロの手にならないよ」と言われる。それからは、何事にも一生懸命頑張るようになる。おばさんも亡くなってしまう。父親が亡くなった時より大声で泣いた。それ以来、お客様のために頑張る「私」がいた。職人のような手になりたい。という願いを持ちながら、おばさんのかけてくれたおまじないに恥じないように生きることを決意する。

このストーリーに登場する「私」で「残念なところ」と「素晴らしいところ」を聞くから、その部分を鉛筆で線を引くように指示する。

朗読。いつも何回も練習して感情を込めて、登場人物になりきって読むように心掛けている。またこのストーリーがとてもいいので、最後は泣いてしまう。

人間理解(「残念なところ」)について聞く。何度もシャンプーをやり直すように言われたことや「自分はシャンプー係ではない」と心の中で文句を言うところが挙げられた。

主人公の「私」はシャンプーをいい加減にしてしまって、やり直すように言ってきたおばさんに、心を見透かされてしまう。ここが主人公の転機である。

ここで「私」の気持ちに変化があり、価値理解(「素晴らしいところ」)へつながる。「前向きに考えられるようになった」、「愕然とした」、「過ちに気づいた」、「自分の手を見てまだまだやれると気づいた」など、いい意見がたくさん出た。ここら辺で、全員の顔が上がり、黒板や私に視線が行くようになる。

意見が出ない子に、「どの人の意見に近い?」と聞く(他者理解)

「「私」はどうすればよかったのか。」と聞く。「お客様を大切に」、「集中して作業する」、「心を込めて」などの意見が出る。

もう1度、「仕事をする上で大切にすることは何?」と聞く。「授業を受ける前は、・・・⚪︎⚪︎の意見を聞いて、・・・、今は・・・と思います。」と自分の価値観の変化を言ってもらった。

参観してくれたマグロを釣るのが好きな先生が、「素晴らしかったです。」と言ってくれた。授業になかなか集中できない子達がみんな顔を上げてくれたので、達成感があった。

英語教育2023年4月号を読んで

第1特集 「英語が苦手」を減らすために ブリッジ指導からスタートする新学期 第2特集 多様な進路の高校生へ 英語に自信をつける指導がしたい 特別特集 PISA2022から英語教育が考えるべきこと

中学英語の定着を促す高校での活動ー「不動のブリッジ」遠藤久美子(不動岡高等学校教諭)

Strip Story Stripとは短冊のような細長い紙片のことで、5枚のStripに書かれた異なる英文をグループで話し合いながら並べ替えて、ストーリーを再生する活動。すべて口頭で行うことがポイント。Loud Speakerはディクテーション活動なのだが、CDや端末などの音声を聞いて書き取るのではなく、生徒の話す英語を書き取っていくという活動。一人の生徒が前に出てきてヘッドセットをつけて音声を聞き、聞こえてくる英語をシャドーイングする。それをその他の生徒がディクテーションしていく。生徒がシャドーイングするわけなので、音声の全部を網羅できるわけではなく、書き取ったディクテーションシートは虫食い状態になる。この虫食いの部分をどう埋めていくかが、この活動の醍醐味でもある。

意外と通じる!?発音バラエティ 第1回 saysは“セズ”と読まないとダメ? 三浦弘(専修大学教授)

sayの3人称単数現在形saysの発音は「セズ」、過去形saidは「セド」であると学校では厳しく指導され、それ以外の発音は誤りとされる風潮があるが、イギリスやオーストラリアの英語では「セイズ」と「セイド」も普通に使われている。生の英語発音を手軽に調べるには、YouGlishという、YouTubeの動画から目的の語句の使用例を全て選び出してくれるサイトが便利。

https://youglish.com/

日本語文法講座 第1回 主題や対比を表す助詞の「は」 高嶋幸太(立教大学兼任講師)

「その本はヘミングウェイが書いた」という構造は、「ハガ構文」と呼ばれる。日本語は主題を重視するため、主語優勢言語(topic-prominent language)と言われ、英語は主語を重視するため、主語優勢言語(subject-prominent language)であると、言われることもある。

「パーマーが残したものー語研の財産」浅野伸子 「語研ジャーナル」第22号

パーマの残した貴重な英語教授法が、少しだけわかる。p.75

「心さえ負けなければ、大丈夫」、「ひとりじゃないから、大丈夫」を読んで

「ひとりじゃないから、大丈夫。」「心さえ負けなければ、大丈夫」織田友理子著 鳳書院

集中人権学習において、出会学習の一環として、担当している生徒の保護者を招聘して、「ミオパチー」という難病とその病気を受け入れながら生活をしている方の生き方について学習した。

「遠位型ミオパチー」という病気は、手の先など体の中心より遠いところから筋肉が脂肪に変わり、歩けなくなったり、手足が自由に動かせなくなる病気である。日本には400人ほどしかおらず、研究している学者も少なく、特効薬や治療法が確立されていない。

今回招聘した講師は、20歳を超えるくらいから徐々に体力が低下し、現在は車椅子で生活をされている。病気と闘うのは本当に大変だと思うが、卑屈になるどころか、とてもとてもとても前向きに考えていらっしゃって、めちゃくちゃパワーをもらった。どうして、そんなにみんなにやさしく、周りを明るくできるのだろう。自分の恨みがましさやマイナス思考なところが情けなくなった。

「みんながやさしく、つながり合っていけばいい」

自分のことより、いつも周りのことが考えられる素晴らしい人だった。そんな彼のやさしさに涙がポロポロ出てしまった。

彼は、私と連れ合いが出会った学校で、二人で数学と英語を教えた教え子だった。教え子どころか、学ぶべきことがありすぎて、たくさんのことを教えてもらった。本当にありがとう。

2冊の本は、ミオパチーの勉強のために読んだ本。著者の織田友理子さんも遠位型ミオパチーである。スウェーデンへ福祉の最先端を見に行ったり、政治に訴えたりと、障害者福祉や医療を先に進めるために頑張っている。