
「百年の孤独」ガブリエル・ガルシア マルケス(著) 鼓直(訳)
#完読できなかった悔しさ ―『百年の孤独』という試練
正直に言うと、久しぶりに一冊読み切れませんでした。何度も挑戦し、数ヶ月にわたってページをめくったのですが、途中で力尽きてしまったのが、ガブリエル・ガルシア=マルケスの名作『百年の孤独』です。
難攻不落の世界文学
2024年度、日本で最も売れた本とも言われるこの作品。言わずと知れたノーベル文学賞作家による世界的な傑作ですが、読む側にも覚悟が求められる一冊です。
私の場合、特に苦戦したのは「ブエンディア家」の世代を超えた物語構造。同じ名前が何度も繰り返し登場するせいで、途切れ途切れに読み進めていると「あれ、今のホセ・アルカディオは父?息子?孫?」と、すぐに迷子になってしまうのです。一気に読めればまた違ったのかもしれませんが、私の読書リズムでは、今回は完読に至りませんでした。
それでも魅力は圧倒的
途中で挫折したとはいえ、物語の世界観は圧倒的でした。蜃気楼の村・マコンドを舞台にしたブエンディア家の栄枯盛衰の100年。その過程で描かれる、孤独という宿命に翻弄される一族の姿は、幻想的でありながらもどこか生々しく、現実と幻想の間をたゆたう読後感が残ります。
あらすじ:『百年の孤独』
マコンドという蜃気楼の村で幕を開けたブエンディア家の物語。開拓から繁栄、衰退、そして廃墟へと至る百年の歴史を通じて、一族に連綿と受け継がれる「孤独」の運命。その運命は、絶望と希望、苦悩と悦楽、現実と幻想、死と生をすべて呑み込みながら、壮大に語られます。1967年に発表され、世界文学史に名を刻むこの作品が、2024年の今もなお、多くの読者を引き寄せてやまないのは、その普遍的なテーマが時代を超えて響くからでしょう。
完読できなかったからこそ
正直、今回は悔しいです。けれど、完読できなかったからこそ「この本の持つ底知れぬ深さ」を実感したのかもしれません。次こそは、もっと時間を作って一気に読破したい。そう思わせる、まさに「読む側を試してくる作品」でした。
もし次に読む機会があれば、系図をメモしながら読み進めてみようと思います。あの世界を最後まで旅する日を、必ず迎えたい――そんな気持ちだけは強く残った読書体験でした。
「読めなかった」という経験すら、記憶に刻まれる。それが『百年の孤独』でした。