#「Conclave」鑑賞記:人間模様渦巻く“聖なる密室”に引き込まれた夜
忙しい日々の中、珍しく長女が「これは観るべき」と推してくれ、さらに連れ合いが「これが観たい」と強く希望してくれたこともあり、久しぶりに劇場へ足を運びました。そして、観終わった今、素直に「行ってよかった」と思っています。
コンクラーベの裏側に渦巻く“人間”
物語の舞台はローマ教皇を選ぶための密室「コンクラーベ」。表向きは厳かな儀式に見えるこの選挙の裏で、複雑に絡み合う陰謀、駆け引き、裏切り、そして差別やスキャンダルが蠢いている。その人間臭さにグイグイと引き込まれました。権力争いや蹴落とし合いといった“聖職者とは思えない”生々しいやりとりが次々に描かれ、物語に息を呑む瞬間が幾度となく訪れます。
「誰が誰?」似た顔問題に苦戦
ただ正直なところ、登場人物が多く、しかも「似た雰囲気の枢機卿たち」が勢ぞろいするので、序盤は「誰が誰だっけ?」状態に。これにより、途中で2~3度、うとうとしてしまうという、私には珍しい事態に…。しかし、その分、目が冴えた後半は俄然面白くなり、そこからは目が離せませんでした。これ、集中力が削がれたら一気に置いて行かれるタイプの映画です。
ローレンス枢機卿に感情移入
物語の中心となるのは、レイフ・ファインズ演じるローレンス枢機卿。彼が知ってしまった“バチカンを揺るがす秘密”を軸に、ストーリーは二転三転していきます。彼の苦悩と葛藤が、スクリーン越しにも痛いほど伝わってきて、観ているこちらも「もし自分だったら…」と考えずにはいられませんでした。
豪華キャストが光る重厚なドラマ
名優レイフ・ファインズに加え、スタンリー・トゥッチ、ジョン・リスゴー、イザベラ・ロッセリーニなど、圧巻の演技派たちが脇を固め、物語の緊張感をより一層高めていました。重厚なテーマに負けない俳優陣の存在感は、まさに見応えあり。
まとめ:宗教映画以上の“人間ドラマ”
「コンクラーベ」という閉ざされた空間で繰り広げられるのは、宗教の枠を超えた「人間の物語」。名誉、信仰、権力、良心――さまざまなものがぶつかり合う120分は、観る者を不思議な余韻に包み込みます。
あらすじ:
カトリック教会の最高指導者・ローマ教皇の死をきっかけに、世界中から100人を超える枢機卿たちがバチカンに集結。システィーナ礼拝堂で秘密裏に行われる教皇選挙「コンクラーベ」が始まるが、舞台裏では陰謀やスキャンダルが渦巻く…。選挙を取り仕切るローレンス枢機卿は、やがてバチカンを揺るがすある重大な秘密を知ることとなる。
――2024年製作、エドワード・ベルガー監督による話題作。
劇場公開は2025年3月20日。ミステリー好き、重厚な人間ドラマ好きにはたまらない一本です。
「次こそは、冒頭から睡魔に負けないぞ」と心に誓いました(笑)。