
「ライオンのおやつ」小川糸 ポプラ出版 2022年10月5日第1刷
感動、感動、感動。残り70ページで涙が止まらなくなり、電車で読んでいたら隣のおじさんにチラチラ見られてしまった。ラスト30ページでは完全に涙腺が崩壊。もう嗚咽してしまうほどだった。こんなに泣ける本は本当に珍しいし、これほどの感動をくれた小川糸さんに心から感謝したい。
若くして余命宣告を受けた33歳の雫(しずく)は、ホスピス「ライオンの家」で最期の日々を過ごすことを決める。そこでは、毎週日曜日に「おやつの時間」があり、入居者が“人生で一番食べたいおやつ”をリクエストできるという特別な風習があった。やさしい看護師たち、美味しい料理、美しい自然、そして何より心にしみるおやつ。人の死に寄り添いながらも、人生の豊かさと命の尊さを静かに、でも確かに描き出していく——。生と死、喪失と再生、そして小さな奇跡を描く感動作品。
ただ泣けるだけの話ではなく、「死ぬこと」を見つめながら「生きること」の意味を深く考えさせてくれる一冊です。心がやさしく温かくなる読書体験でした。ぜひ多くの人に読んでほしい、かなりのおすすめです。