「トッド人類史入門」西洋の没落を読んで

「トッド人類史入門」西洋の没落 エマニュエル・トッド 文春新書 2023年3月20日第1版

やや難しい本だった。那覇市の「たつや旅館」で一緒にゆんたくした時の知り合いに教わった本。世界の構図を“家族のあり方”という切り口から読み解く、視点がとてもユニークで面白かった。

歴史学者・人類学者であり人口学の専門家でもあるエマニュエル・トッドが、人類史と現代世界の構造を大胆に読み解いた入門書。彼は、政治体制や経済体制を生み出す土台として「家族構造」の違いに着目し、世界各地の家族モデル(平等主義的、絶対主義的、直系家族など)がイデオロギーや国家のかたち、さらには西洋文明の限界にまで影響していると説く。とくに西洋の没落や、ロシア・中国・イスラム世界の台頭を「家族のかたち」から読み解く手法は新鮮かつ示唆に富んでおり、「近代の次」にくる社会像を考えるヒントが詰まっている。

「家族という最も身近な存在から、世界の大きな動きを説明できる」という視点にハッとさせられます。時に難解な部分もありますが、じっくり読み解くと見えてくる世界像が面白く、読後の思考の余韻が長く残る一冊です。おすすめです。

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