「7つの習慣」リーダー・イン・ミーの研修を受講して

スティーブン・コビーの「7つの習慣」は世界中でベストセラーとなっている。その「7つの習慣」を学校教育に採り入れていこうと本校でも2年前より研修が始まった。研修講師が東京から来校するために、コロナ禍ではその研修がなかなか開催されず、1年ぶりに受けることとなった。

「7つの習慣」については、オーディオブックで一通り聞いたことがあり、講師の話している内容は、そのことを想起しながら聞くことができた。私が日々生活の中で大切にしていることとよく似ている(ただ私の場合、ここまでたどり着くには何十年もかかっているが)。

成長の連続体 【依存】第1の習慣(主体的である)第2の習慣(終わりを思い描くことから始める)第3の習慣(最優先事項を優先する)《自立》、【自立】、【相互依存】第4の習慣(Win-Winを考える)第5の習慣(まず理解に徹し、そして理解される)第6の習慣(シナジーを創り出す)《公的成功》、第7の習慣(刃を研ぐ)

成長の3つのレベル「成長」するには、3つのステージがある。「依存」(あなた中心)→「自立」(自分中心)→「相互依存」(わたしたち中心)。とにかく、「主体的」であること。

パラダイム SEE-DO-GETサイクル パラダイムとは、「モノの見方・考え方」パラダイム→行動→結果→パラダイム…とサイクルを描いている。

第1の習慣 主体的である 私には選択の自由がある。詰まるところ、自分の幸せの責任は自分自身にある。

刺激と反応の間に、「選択の自由」を入れること。反応的な時、人は外的な影響(気分・感情・状況や環境)のままに反応してしまう。主体的な時、人は一時停止して望む結果に基づいて反応を選択することができる。自分でコントロールできる「影響の輪」を内側から大きく膨らませ、自分のでコントロールできない「関心の輪」を小さくする。

第2の習慣 終わりを思い描く頃から始める 人生のビジョンと目的を明確に描くことが違いをもたらす

バックワードデザインで、人生のビジョンと目的を明確に描くことで、違いが生まれる。ミッション(使命)を見出す。「これから自分はどうやって生きていくのか」「目的は?」最終的にこのようなビジョンを持っているから、その中間点では?また、1年後は?半年後は?1ヶ月後は?1週間後は?明日は?バックワードデザインで考える。

第3の習慣 最優先事項を優先する 重要なことに時間を使う

時間をコントロールする鍵は出来事をコントロールすること 出来事には、「重要でないし緊急でないこと」、「重要でないけど緊急なこと」、「重要だけど緊急でないこと」、「重要で緊急なこと」がある。「重要だけど緊急ではないこと」が実は自分にとって大切な出来事であることが多い。例えば、読書、体力づくり、勉強、家族と過ごす時間、趣味。これらを後回しにするのではなく、予め、予定の中に組み込んでしまうことが大切。

公的成功:信頼口座 信頼口座とは、ある人間関係における信頼の度合いを表す比喩表現。人間関係に置いて信頼を築ければ、「預け入れ」、信頼を失えば、「引き出し」。

第4の習慣 Win-Winを考える すべての人が満たされ、分け合うことができるほど十分にあること 勇気と思いやりのバランスを保つ

第5の習慣 まず理解に徹し、そして理解される まず相手を理解することで、その人に大きな影響を及ぼすることができる 共感による傾聴を実践する 相手を尊重しながら自分を理解してもらう

第6の習慣 シナジーを創り出す お互いが考えているものよりも良いものを考え出そう 違いを尊重する 第3の案を探す

A案とB案が対立する場合、第3の案を提案する。さらにそれが最低妥協案となり、できれば、その折衷案がA案やB案よりも良いものとなる第3案を提案できるようにする。シナジーとは、「相乗効果」。

第7の習慣 刃を研ぐ 日々のあらゆる活動を行う能力を得るために、自分のための時間を取る 「毎日の私的成功」を達成する。4つの側面から自分を充実させる。

4つの側面とは、①肉体(運動、栄養、急速、ストレスマネジメントなど)、②情緒(大切な人間関係における信頼講座の継続的な「預け入れ」)、③知性(読書、執筆、学習、勉強)、④精神(高見、価値観の明確化、感動的な文学、瞑想(マインドフルネス)、自然とのふれあいなど)である。4つの側面を組み合わせながら、毎日の私的成功を達成する。

1番印象に残っているのは、Win-Win。意見が対立すると、後ろへ引いてしまい、人任せにすることが多いので、第3案を提案しながらもみんなが得をするように仕向けていきたい。私的成功を試みるためには、たくさんのことをしているので大丈夫だと思う。「傾聴」することも大切。相手を尊重しながら自分を理解してもらう。

「樹齢七千年の杉」をやってみた

「樹齢七千年の杉」特別の教科 道徳 2年生(「中学道徳あすを生きる」 日本文教出版)

飛び込みで入ったこの学年の生徒との道徳の授業もやっと自然体で望めるようになった気がする。私も肩の力が抜けてゆったりと。子供たちも余分な緊張感もなく、ありのままの自分を出してくれていた。いい意見を言おうとしないのがいい。自分が思っていることをそのまま出してくれていることが、「お互いの価値観を交流する・共有する」いい機会となっている。

この教材は、屋久島にある「屋久杉」の話である。いつ死んでもおかしくないほど老齢な杉だが、「死の瞬間まで、命の火をほうほうと燃やす美しい生き方」をしている。死の瞬間まで、子孫を残すために、杉の実をつけている。そんな杉の生き方について、自分に照らし合わせて考えさせる。自分なら、そんな生き方(死に方)ができるか。

主発問は、「死の瞬間まで、命の火をほうほうと燃やす美しい生き方」とはどんな生き方か。

「悔いのない生き方」、「やり抜いて後悔のない生き方」、「伝説になる、思い出をしっかり持ち続ける生き方」、「気持ちが冷めることのない生き方」など、たくさんの意見が出た。その中でもとりわけ、印象に残っているのが、「老いては見えるけど、子孫を残そうと最後まで精力的にやり抜く生き方」という意見であった。

それぞれが杉の生き方と自分の生き方(死に方)に自分を重ね合わせて考えることができた。

内容項目は「生命の尊厳」である。学習指導要領では、次のように、指導について書かれている。

冒頭の質問で、「これはすごい、美しいなど感じながらも、少し怖いから近づくのは止めておこう」と思った経験はないか?と尋ねると、滅多に発言しない子どもから、「浜に打ち上げられた鯨を見たときにそう思った」と言われる。まさに、こちらが意図していた例を挙げてくれて、びっくりした。

いつもいつも真剣に考えてくれる、子どもたちに感服する。

英語教育2021年10月号を読んで

英語教育10月号 大修館書店 October 2021 Vol.70 No.8

第1特集 「読者アンケートによるリクエスト企画」いつからでも遅くない!やる気を引き出す「学び直し」の工夫 第2特集 大学入試共通テストへの民間試験導入見送りを受けて 第3特集 「オンライン公開座談会」マイチェックリストで1学期をふり返って 2学期の授業をパワーアップ

高校生にもフォニックスを ー 読めた自信がやる気を引き出す 齋藤理一郎(太田フレックス高校教諭)

英語との出会い直しのために日々実践を積み重ねておられる。特に音韻認識を高める取り組みに注力されている。リヴォルヴ学校教育研究所の開発教材である「回転英単語カード〜Wordspin〜」を使用し、綴り字と音との関係(onset+rhymeの音の足し算)を学ばせている。http://rise.gr.jp/ Wordspinはリヴォルヴ学校教育研究所のサイトからダウンロード可。http://rise.gr.up/Manabu/revolve_kyouzai/eigo

「英語嫌い」の「学び直し」を実現する生徒観と指導法 佐々木紀人(青森県指導主事)

まずは得意な子を徹底指導 矛盾しているようですが、「英語嫌い」のことの指導を充実させるには、英語が得意なこの指導を優先させます。例えば、パフォーマンステストに向けて個人練習の時間を取ったとします。教師は、まず英語が得意な子たちの英語の内容・発音・ジェスチャー・アイコンタクト等、その到達状況を厳正にチェックします。そうすることで、彼らは評価の観点を体験的に学び、自らが「教師」になったときには、その指導を友人のために生かすのです。私は授業で単元末活動として、プレゼンテーションをさせているが、どうしても進度が大きく異なってしまう。スケッチブックに絵を書かせたり写真を貼らせたりしているが、能力や発達段階の差で進度が大きく変わってくる。この記事を読んで、早くできた生徒たちを小先生役として活躍してもらうことを考えた。

ICTアプリの個別最適化した学習で生徒一人一人のペースを活かした学び直しを 小木曽一希(長野県坂城高校教諭)

「なんでこのようなことから始めなければいけないのか」と思う生徒もいます。そうした気持ちをフォローするために、アルファベットの文字では間違いやすい点や書き順に触れるなど、中学までの学習にないプラスアルファの内容を示すようにする。学び直しに当たっては、生徒の自尊心への配慮を兼ねて、学んでいることの意義をきちんと伝えてからスタートする。「比較を使って文を書こう」ではなく、「世界の①番のものを探して書こう」という課題を設定する。必然的に比較を使用する。

英語の文字の指導法 指導の実際3 手島良(武蔵高等学校中学校教諭)

左利きの生徒への指導 左利きの生徒に対しての配慮が必要となる。確かにつづりを練習している時の彼らは、書きづらそうにしている。左利きの生徒は、1 右利きの生徒が通常持つ位置よりも高い位置で筆記用具を持つように(指導する)。2 体の中心よりも左側で書くように。3 ノートは右下に傾けて机上におくように。とするように指導するべきである。それは、1左利きでは、それまでに書いた文字が自分の左手で隠れてしまう。少し高い位置で筆記用具を持つこと。2 横書きの場合、右利きの人は、体の中心あたりから書き始め、各場所は次第に右に移動していく。しかし、左利きの人は、体の中心から書き始めると、左手はどんどん体を巻き込むようにして右に進んでしまう。右利きが左利きの苦労を理解するためには、鏡文字で左利き体験をするといい(右利きのままで、鏡文字を右から左に書く)

英語教育向上のための入試制度改善には何が必要か 渡部良典(上智大学教授)

英語運用力には技能の統合が必須 4技能というのは便宜上立てられた区別であり実際に英語を使う際には2つ以上の技能を統合する必要があります。例えば、話すというのは、語るべき内容を具体化し、適切な語彙を選び、文法的な文に構成し、発話すると言ったプロセスを同時並行で行う複雑な営みであって、読み、書き、聞く技能あら独立した能力として扱うことはできません。なるほど、「即興で話す」「ある程度準備をしてから話す」という技能一つとっても、思考し、判断し、表現しているので、思判表の評価として組み入れることができる。

授業力は「書く力」に比例する 教師のための綴り方教室から 第7回 第2章「要約力を鍛える」③「マスキング」を使えば、授業がガラリと変わる 中嶋洋一(関西外国語大学教授)

「マスキング」の効能を授業に活かす 生徒を知的にハングリーにしたければ、「穴埋め」と「マスキング」の違いを生かすことである。「穴埋め」では、正解が概ね1つしかない。使われる場面は「事実発問」が多い。一方、「マスキング」では「なぜ」や「どのように」を問う。「追論発問」「評価発問」の原点になる。「東京から大阪まで移動するには、新幹線と飛行機のどちらが(  )か」。ベストな答えは「おすすめ」だ。It – for – to…構文で「穴埋め」を使う際は、圧倒的に①It is important for students to….とする教師が多い。だが、これでは生徒の書く内容はほとんど同じになるので、「マスキング」では次の場所に下線を引く。②It is important for – to – . / ③It is – for [boys / girls / teachers, etc.] to – . 問いを「マスキング」型にしたことで、生徒が「知的にハングリーな状態」(思考・判断・表現」の観点)になったことがわかる。「思考・判断・表現」や「主体的に学習に取り組む態度」を育てたいなら、自由な発想を引き出す「マスキング」の方を使いたい。脳は、達成できたことよりも、達成できなかったことや中断していることの方を強く覚えている(気になる)という特性がある。時間を余らせても、「今日はここまで。続きは次回」と言って、子どもたちに「えーっ!?」と言わせるのが、授業名人と言われる教師である。

[オンライン公開座談会]マイチェックリストで1学期を振り返って2学期の授業をパワーアップ 

新教科書のインパクトは  私は今までは文法をまず教えてから教科書内容に入るスタイルをとっていましたが、去年今年は意識して「場面の中で実際にどのように英語が使われているか」ということから入って、最後に文法をまとめるようなやり方にシフトしています。「私もその方向に移行しなければ」と日々、どうすれば良いか、考えている次第です。

英語力伸ばすために:ディベート手法の活用ー埼玉県立伊奈学園総合高等学校の授業から(阿野幸一文教大学教授)

4人のディベートの準備段階について 1 グループ内でオンラインショッピングの長所と短所についての話し合い 2 オンラインショッピングの長所についてクラス全体でやり取り 3 オンラインショッピングの短所についてクラス全体でやり取り 4 次回の授業までに各自の意見をまとめてくるよう指示

4人のディベートのやり方について 1 生徒A:自分の考えをスピーチ(1分30秒) 生徒B:スピーチを聴きながらメモを取る 2 生徒Bが、理解できなかった内容について生徒Aに質問(1分) 3 生徒Bが聞き取った内容を、口頭で生徒Aに発表(1分30秒)(AとBの役割を交代して同様の内容を行う) 4生徒CとDがジャッジとコメントとアドバイスを行う

きっとここに至るまでも、何度かstep by stepの指導が必要だったのではないかと思う。①ディベートについての概論やモデル動画の視聴、取り組むことでの長所を教えていること、ゴールの設定と取組み後の理想の姿を予測させること ②準備段階ですべきことや4人ディベートのやり方についての解説 ③とりあえずやってみること(簡単に、できなくてもいいから) ④ペアでディベートの練習 ⑤ペアでメモを取り質問をしあう練習 ⑥ペアで相手のスピーチを聞いて評価(ジャッジ)する練習 やっはりディベートを授業に取り入れていきたいと思う。

指導の当たり前を疑う (奥住桂 帝京大学講師)第19回「正確さ」の指導って必要?

「適切さ」推しの新しい評価の枠組み 今回の学習指導要領改定のポイントの1つは、言語仕様の「適切さ」に重点が置かれてるようになったことです。〔思考・判断・表現〕の観点では、「目的・場面・状況」を考えながら言語を使用させる活動が設計され、生徒たちはただ正しい発話や筆記を目指すのはなく、コミュニケーションをする相手や状況に合わせて、表現する内容や方法を選択する工夫が求められるようになりました。私は、「適切さ」を求めると、「流暢さ」が失われてしまって、また、コミュニケーション重視ではない頃の英語教育に戻ってしまうのではないかと危惧しており、授業では、どうしても「適切さ」よりも「流暢さ」を追求してしまいがちである。ただ、目的・場面・状況を考えて上で、表現内容や方法を選択するという、「適切さ」においては、全くその通りだと思い、パフォーマンスをさせるときには、評価の基準にしている。

現場のお悩みQ&A (大脇裕也 大阪府大東市立北条中学校) パフォーマンステストで児童がお互いに高め合う工夫

パフォーマンステスト評価のルーブリック アイコンタクト A メモを見ず、常に聞き手を見ながら話している。 B メモを時々見て、聞き手の方をなるべく見ながら話している。 声の大きさ A みんなが聞き取り易い声で伝えることができる B 聞き取ることができる声で伝えることができる ジェスチャー A ジェスチャーをいくつか入れて、より伝えるための工夫ができている B 自分を占めるためのジェスチャーなど、一つでも入れて伝えるための工夫ができている 内容 A 自分の夢についての理由を2つ以上伝える事ができる B 自分の夢についての理由を1つでも伝えることができる。

授業に活かせる基礎英語講座 文法クイズ79 (佐藤誠司 (株)佐藤教育研究所代表) 「暖かくなる」はbecomeかgetか?

無料検索サイト Ludwig, Netspeak, COCA, Ngram Viewer 「この表現は正しいのだろうか」という疑問が生じた場合、筆者は主に上記のサイトを使って調べている。

はじめての英語グループ・ディスカッション第1回 ディスカッションはトライアド(3人組)で行こう! 齋藤英敏(茨城大学准教授)

グループ・ディスカッションにはトライアド(3人組)をお勧めします。研究の結果も発話量の点でトライアドが4人組より優れていることを支持しています。トライアドは、一人一人の活動量はペアよりは少ないが4人組より多い。構成員の影響はペアより少ないが4人組より大きい。責任分担はペアより少ないが4人組より大きい。問題点は2人だけで進めてしまう可能性がある。公共性はペアがプライベート感があるのに対して4人組のかなりパブリック感があるよりはやや低めのパブリック感である(プライベート感よりもパブリック感が必要)期間巡視負担はペアより少ないが4人組より多くなる。ペア→トライアド→ライティング→振り返りの順で行うと効果的である。 ペアで話したことをトライアドで共有し、最後に「振り返りあるいは「書く」活動で終わらせる。

 

ラジオビジネス英語2021年10月号

週5に変わってから、なかなか全部聴き込むことはできなかったのだが、やっと生活スタイルの中に聞く時間を埋め込むことができたようで、9、10月は全て聞くことができた。

唸らされるような表現の数々が出てきており、頭で全部拾いきれないのが残念だ。

It’s hard to see your face because you’re backlit.逆光で顔が見えにくいです。)

「逆光」という言葉はなかなか出てこない。他にも、「逆光」は、lit from behind, by the back light, the sun is behind you.がある。

Wed 14 16:00 – 17:00 という日付時刻の表現について、「曜日を省略形にし、日付の前のthe、日付の後のthを省略して、24時間表示(24時間制)にしている。読み訳す工夫することも大切なポイントである(24時間制は普通、書き言葉のみで使う。24時間制で書かれていても、声に出して読む場合には、12時間制に変換する。例:16時→four pm)。

responsibilityが現在・未来の事柄についての責任を表すのに対して、accountabilityは過去の事柄についての責任を表す。

resilient(弾力性がある 忍耐力がある)、she light on(〜に光を当てる)、recap(まとめる)、feasible(実行可能な)、attached material(添付資料)、implication(意味するところ、(何かが)もたらす影響=impact)、relevant(関連性のある、今の状況に適切な)

I found〜は、一言で感想を述べるときに使える便利な表現。I think〜は意見、I found〜は感想、といったニュアンス。

thought-provokingは「自分の知らなかったこと、気づかなかった視点などがあって、色々と考えさせられる」「刺激を受ける」と言ったときにぴったりの語。

柴田八重子先生の「特別の教科」道徳の研修を受けて(校内研修)

2021年10月19日(火) 津市立東橋内中学校 

 柴田先生の著書を拝読させていただいて、授業をコピーしてやってみた。

柴田先生が主宰されているネット研修にも参加したことはある。

今回、初めて柴田八重子先生にお会いして、とても嬉しかった。結局「生」柴田先生は初めてということになる。「森と申します。よろしくお願いします。」授業前にご挨拶すると、「知ってますよ。」と言われ、とても感激した。しっかりと顔を認識してくださっている。

本校の2年B組を指導してくださった。2時間続きの1時間目は、オリエンテーション。道徳の授業では何が大切なのか、話をし、実際に体現できるように指導してくださった。「考えがまとまった人から、立ってください。」と言って、簡単な質問(このクラスの色は何色?)をした後、みんなが立つのを待つ。「言いたいという気持ちはみんなあるから、その気持ちを大切にする。言いたいと思えるまで待つ。」ということだった。柴田先生とは初対面なので、なかなか心を開かない子どもたちもいたので、立つまでに時間がかかったり、全員立たなかったりしたが、これを毎回心がければ、もっと時間は短く立てるようになるかもしれない。外国籍の子どもたちがたくさんいるので、質問の内容がわからなかったのかもしれない。いずれにしても、やってみよう。

さらに、「『はっ、ドキッ、がってん』と思った人の意見について述べてごらんなさい。」とおっしゃった。その部分は、いつもやっていることなので、みんな問題なくできていたようだ。また、発言者の方にヘソを向けて聞くこと、意見に対してリスペクトを持ち拍手すること、などは4月の道徳オリエンテーションをやって以来、ずっと心がけていたのでできていた。

6時間目、2時間続きの2時間目。全教員が集まって柴田先生の授業を参観する。「語りかける目」という題材で、阪神淡路大震災で目の前で母親が火事で亡くなってしまい、その遺骨をみながら途方に暮れている少女と遺体安置所を管理する警察官とのやりとりを描いた作品である。

ことの一部始終を語る少女に対して、何もできない無力感を感じ、その場から心を逃してしまう弱い警察官。最後まで話を聞いた後、少女の目を見て、語らなかった部分や言いたかった部分について、その後何年もの間、警察官は少女の目の語りかけている部分について考えを巡らせている。

柴田先生は、この題材の内容項目をD22「よりよく生きる喜び」で行った。「生命尊重」で行うこともできた。警察官の心の動きを捉えD22でやる方が深まるだろうということだった。私もそう思った。「よりよく生きる喜び」の学習指導要領解説には、美しく生きること、醜く生きることを厭うこと、などについては記述はあるが、「無力感」については書かれていない。

D22「よりよく生きる喜び」には無力感が書かれていないにも関わらず、題材に登場する警察官が、絶望する少女に何もしてやれないという「無力感」について、授業で取り上げるのはとても素晴らしいと思った。

授業後の検討会では、質問の口火を切った。「どの部分を主発問にすればいいのか。人間理解の部分を主発問にすると子どもからの意見を吸い取り易いのだが。」や「部屋をついたくさん作ってしまうのだが、どうすれば良いか。」など。主発問に関わる部分では、「価値に対する敏感さ。深く掘り下げようと思ったことに執着する。」とお答えいただいたが、私は大きな間違いをしていた。

テクニックが云々ではないことに気づいた。柴田先生は、「今日ここで、これについて話し合ったことを、ぜひ今後思い出してくださいね。」「心の底から聞かせてくれてありがとうね。」、「ご馳走になりました。」など、「道徳では、先生は私ではなく、友達なんだよ。」とオリエンテーションで語ったように、授業は、子どもたちが価値観についてすり合わせをしたり、自分の経験と題材の話をオーバーラップさせたり、自分の成功失敗体験を思い出したり、そして、頭の中を駆け巡った想いを頑張って、みんなの前で共有する場なのだ。

少々のテクニックがずれていても、道徳の授業が本来の目的を達成する場になれば、それでいいことがわかった。

柴田先生といえば、生徒を褒めること。いくつもいくつも名言が飛び出していた。どんなリストがあるのかお聞きしたら、ほとんど無意識で話しているとおっしゃっていた。

同僚の池◯さんと、「人間性が素晴らしいです。こんな先生に褒められたら、たくさん喋りたくなる。こうなりたいね。」と話していた。

「マスカレードナイト」を観て

あらすじは以下のとおり(映画.comより)

東野圭吾のベストセラー小説を木村拓哉と長澤まさみの共演で映画化した「マスカレード・ホテル」のシリーズ第2弾。原作小説のシリーズ第3作をもとに、ホテル・コルテシア東京に再び潜入した刑事・新田浩介と優秀なホテルウーマン・山岸尚美が難事件に挑む姿を描く。警察に届いた1通の匿名ファックス。その内容は、都内マンションで起きた殺人事件の犯人が、大みそかにホテル・コルテシア東京で開催されるカウントダウンパーティ「マスカレード・ナイト」に現れるというものだった。パーティ当日、捜査のため再びフロントクラークとしてホテルに潜入した警視庁捜査一課の刑事・新田浩介は、コンシェルジュに昇進した山岸尚美の協力を得て捜査を進めていくが、500人の参加者は全員が仮装して顔を隠していた。限られた時間の中、素顔のわからない殺人犯を捕まえるべく奔走する彼らだったが……。前作に続き「HERO」の鈴木雅之監督がメガホンをとった。

2021年製作/129分/G/日本
配給:東宝オフィシャルサイト

前作を見ていないせいか、ストーリー的には東野圭吾なので面白いが、あまりピンと来なかった。ただ、出演している俳優陣は豪華で、端役で出演されているですら、有名な方達ばかりだった。「友情出演:明石家さんま」となっていたが、1番最初のシーンでビルの大きなコーヒーCMの看板にドアップのさんまさんが出ていたのは気づいたが、どうもそれ以外のチョイ役で出演されているようだ。自分からこれを選んで見にいくことはないが、友達に誘われれば行ってもいいかな、という作品である。自分的には。

ワイルドスピード ジェットブレークを観て

あらすじは以下のとおり(映画.comより)

メガヒットカーアクション「ワイルド・スピード」シリーズの第9作。ドミニクはパートナーのレティや幼い息子ブライアンと3人で平穏な日々を過ごしていたが、否応なく自身の過去の罪と向き合うことに。ドミニクの実の弟ジェイコブの存在が初めて明かされ、その因果はファミリーを窮地に追い込んでいく。ファミリーは世界を揺るがす陰謀を阻止するため、凄腕の殺し屋で超一流の運転技術を持つジェイコブとの戦いに身を投じる。ビン・ディーゼル、ミシェル・ロドリゲス、タイリース・ギブソンらおなじみのメンバーに加え、「ワイルド・スピード ICE BREAK」に登場したシャーリーズ・セロン扮する悪役サイファーや、サン・カンが演じるハンも再登場。さらに新たな敵となるドミニクの弟ジェイコブ役でジョン・シナが参戦。監督には、シリーズ第3作から第6作を手がけたジャスティン・リンが復帰した。

2021年製作/143分/G/アメリカ
原題:Fast & Furious 9
配給:東宝東和

パラリンピックのフィールドキャストのオフの日だったので、疲れていて頭が朦朧としていて、うとうとしていた。アメリカでは、「トルネードシャーク」という竜巻から大量のサメが降ってきて人を襲う、というようなあり得ないドラマが大ヒットしているみたいであるが、この作品もそれに近い。インド映画のように全てが入っていて面白い。アクション、SF、コメディ、怖い部分もあるし、全体的に面白く仕上がっている。しかし、内容は…かな?あまりお勧めできません。

英語教育9月号を読んで

英語教育9月号 大修館書店 September 2021 Vol.70 No.7

第1特集「小学校英語教科書活用のお悩みQ&A」 第2特集「ICT時代の『板書』を考える

「話す活動での教科書活用法とは?ー子どもの「伝えたい」を引き出し、表現につなげる 高田実里(熊本大学教育学部附属小学校教諭)

自分だけのoriginal Dictionaryに生かす 授業の中で学んだ語句や表現の中から、「これは使えるようになった!」「これからも先も活用したい。」という視点で、子ども自身が選択し、ファイリングしていく”My Original Dictionary”作りを行なっている。メタ認知も上がるし、何度も調べ直さなくても良いし、わからないことがわかるという実感を味わうことができる。

教科書とICT教材を効果的に併用するには?ーウェブサイト、手作り教材の活用法

教科書とリアルをつなげ深めるためのICT教材 

Dollar Street 色んな国の生活がわかるので、本当に興味深いサイトです。

https://www.gapminder.org/dollar-street

CNNのニュース動画 これは定番なので、馴染み深いサイトだと思うが、いろんなビデオ素材が転がっている。

https://www.cnn.co.jp/world/35141173.html

どんな生徒にもやさしい 集中を維持する板書・提示の工夫 加藤茂夫(新潟大学教授)

ワーキングメモリーは「脳の黒板」に喩えて、「目的に合わせて情報を覚えておきながら考える脳の働きで、学習を支える」機能を担っている。

ワーキングメモリーには次のような働き・特徴がある。①短期間情報を保持し、操作する。②音声言語、視空間、その他(エピソードなど)の情報を保持する部分と、各種情報の操作を制御する部分の4つからなる。③各部分の活動は取引(trade-off)関係にあり、ある部分の活動に過度の負荷がかかると、それ以外の部分の活動が制限される。④容量には限界があり、かつ個人差がある。⑤注意がそれたり、容量の限界を超えたりすると情報の保持や操作自体がうまくいかなくる。

ワーキングメモリーの容量が少ないとさまざまな不具合が起こる。こうした状況に対応する支援は4つのポイントにまとめられる。

「わける」 ひとまとまりの情報量が多すぎないようにしたり、覚えることに集中するよう促すことで、保存のための負荷を減らすことができる。例えば、作業をできるだけスモールステップにし、全体の流れをシンプルに。板書等の指示は端的に。口頭の指示も単文に分けて表現する。

「つなげる」授業の活動のまとまりと板書等のまとまりを対応させる。流れを明示する。生徒の身近な人物・物事、出来事などの関連づけて説明する(エピソード情報)。関連する絵や写真などを活用する(視覚情報)。曲、歌、チャンツなどを活用する(聴覚情報)。小物(props)や実物教材(realia)を活用する(エピソード、触覚情報)。手指などの繊細な部分の動きや、体全体の動きと関連させる(運動感覚情報)。

「しぼる」負荷を減らす。「はじまり(ねらいや目標)」や「終わり(まとめや結論)」を枠に囲むなどして明示する。色チョークや色ペンを効果的に用いる(色分けしすぎない、生徒の色覚について把握するなど)。板書のうちノートに写させたい箇所を「ノート」と書いたカードなどによって示す。

「くりかえす」大切な情報を繰り返し示すことは、情報保持への負荷を減らすとともに、長期記憶への転換を容易にする。ルーティーン、ペア・グループ活動の流れをパターン化する。情報提示の型(PPTの背景やフォント)を決める。ノートやワークシートなどの形式をパターン化する。

平成31年度(令和元年度)全国学力・学習状況調査の調査結果をもとにした「中学校英語指導事例集」について 市川信子(国立教育政策研究所学力調査官)、清水友晶(国立教育政策研究所学力調査官)

学習過程について ①コミュニケーションを行う目的や場面、状況などを把握し、学習の見通しを持つ ②意味のある文脈の中で、英語の特徴やきまりに気づき、理解する ③理解した特徴やきまりを活用して、英語仕様の正確さを高める ④学んだことを言語活動で再び活用し、学習を振り返る 私の授業の場合、④が圧倒的に弱い。①は学習活動の目的、場面、状況を生徒に伝え、②はOral Introduction, Oral Interactionへとつなげる場面(ここではまだ何をやっているのかわからず、モヤモヤしている)、③教科書の練習問題で口慣らしをする、ペアやグループ活動で言語材料の定型的な練習をする ④は①〜③を使って、探究をする場面。 この④が圧倒的に足らない。唯一、自己表現はさせているが、もっと深くまで掘り下げさせるような探究活動が必要ということだと思う。

単元末活動から始まる授業改善 太田洋(東京家政大学教授)

単元末活動を中心にUnitを組み立てていくのは、学習指導要領が改定されて教科書が今年から新しくなって、やり始めたところである。しかし、今一つ、発表の前になってからバタバタすることが多く、「まとめ」として扱うには程遠いような印象があったが、石川優子先生(埼玉県桶川西中学校)の授業から、少しヒントを得た。単元末で行うALTに伝えることを意識して、教科書本文のレポーティングをペアで行う。レポーティングとは、その授業で使った表現や学習した言語材料で、単元末活動で使えそうなものをメモし、ペアに伝えるというもの。こうすると、「自分にとって大切な表現を集めて自分の辞書作り」にもなるし、単元末活動の前になって焦ることがあまりないような気がする。

小学校↔︎中学校の学びをつなぐ現場のお悩みQ&A 大脇裕也(大阪府大東市立北条中学校教諭)

自己調整力育てる振り返りシートの工夫 振り返りカードの問い方によって、書き方が変わる。ありきたりの表現ではなく、「書きたくなるような問い方」に気をつけたい。今回の大脇先生のコラムにも、その問い方が載っている。①「他の人の発表を見て感じたこと」→友達の発表を見て、この工夫がとても良かったと感じたこと。 ②「次に向けて頑張りたいこと」→友達の発表を見て、自分の「こんな部分」が惜しかったな(もう少し努力できたな)と思うこと。③「テストを終えて(自分のできたところ)→今回の発表でこれだけは頑張った!こと次の発表へ向けてこれだけは頑張りたい!こと。

授業力は「書く力」に比例する 教師のための綴り方教室から 第6回 第2章「要約力を鍛える」②授業準備は7割にとどめ、3割は生徒と即興で紡ぐ 中嶋洋一(関西外国語大学教授)

「無理・無駄・むら」をなくせば思考が深まる 授業なら、「事実発問」を減らし「推論発問」や「評価発問」をバランスよく取り入れ、生徒と即興でやりとりをするということ。これらの発問は、価値観偏差や多様性を引き出す。生徒が「思考」を楽しむ授業にするには、このように生徒と即興で紡ぎ合う活動や時間を生み出すことが不可欠だ。ここで、「推論発問」とは、テキストの情報を元に、テキストには書かれていない内容を推論させるような発問のこと。

「引き算思考」なら、生徒の個性も際立つ 新聞に登場した猿の写真を提示し、「なぜ話題になったと思う?」と問いかけて、タイトルの一部を隠して内容を想像させる。単元を貫いて本文を読ませてもいいが、なんで読まなければならないのか理由もわからず、読みたいとも思っていない状態で読ませるよりは、めちゃくちゃ読みたい(聞きたい)と思わせてから、プリントを配ったり、教科書を開かせたりする手立てが必要だ。失敗の原因(ー(マイナス)の原理原則)教師のやりたいことを優先させる授業は、生徒の「なるほど!」を引き出しにくい。成功の原因(+(プラス)の原理原則)「目的・場面・状況」を踏まえた発問をすれば、生徒は自ら思考するようになる。自分が時間をかけて準備したものは、全部使いたくなるのが人間。途端に、授業は「予定調和」になる。授業の「3割」を生徒に委ねることを提案したい。「3割」は、授業で児童生徒が「自己決定」できる部分を作り、教師が彼らと「授業」を共同的に、かつ即興で紡いでいくという意味である。①「学力」の公式=素質+やる気+環境+素直さ ②地球市民の方程式:A(action)=MVP(mission, vision, passion) ③説得力=感情✖️論理✖️信頼 私がやっている授業はまさしく、「予定調和」だ。全部型にはめている。授業を流しているだけかもしれない。彼らの理解度を測ったことがない。3割を子どもたちに委ねるか。

ICTを活用した授業のパラダイムシフト 動画作成:初めの一歩 岩瀬俊介(学法石川高校中学校)

「Zoom」を使用し、録画機能を利用して撮影する方法 Zoomには録画機能があるから、画面共有で自分の顔を出しながら、音声やソフトを同時に使うことができる。パワーポイントのスライドに、話している様子と音声を吹き込む方法 PPTのスライドショーに自分の動画を入れ込むことができる。画質を選択することができるので、容量を心配しなくていい。

「東京奇譚集」村上春樹を読んで

「東京奇譚集(とうきょうきたんしゅう)」村上春樹 新潮文庫

2005年に出版された短編集。「偶然の旅人」、「ハナレイ・ベイ」、「どこであれそれが見つかりそうな場所で」、「日々移動する腎臓のかたちをした石」、「品川猿」の5つの短編からなる小説。

私は、大したことない、「ハルキスト」である。村上春樹を詳しく論じることはできないが、村上春樹の小説は大好きだ。どれだけでも集中して読める。面白くて仕方がない。短編も十分満足させてくれる内容が多いが、かといって、長編がダメなわけではなく、テーマが壮大で読み応えがあるものが多い。

出会った女性が深い関係になりながらも、突然ふっと消えてしまう物語が多い。そのまま関係が続けばいいのに…と期待するが、必ず結末は消えてしまう。別れるのではなく、消えてしまう。このパターンが多いので、消えてしまうのではないかとハラハラしながら読むが、やはり消えてしまうのである。この味わいが読後はぽっかり心の中に穴が空いたような感じになってしまう。「あの場面で主人公はこうすべきだったのでは…」と何度も読み返してしまう。

いつものように、ネタバレになるので、あまり内容に踏み込んだことは書けない。

「ハナレイ・ベイ」の女性の生き方がとても素敵である。同じ子どもを持つ身として、同じ場面で同じことができるかなと考えてしまう。

「品川猿」がとても印象的だった。

本が終わってしまうのが悲しいくらい、あと何ページしか残っていないと焦りが来てしまうくらい、ずっと読んでいたい。この本もそのもの。かなりおすすめである。

「幸せになる勇気」を読んで

「幸せになる勇気 自己啓発の源流 アドラーの教えI」 岸見一郎 古賀史健 ダイヤモンド社

アドラー心理学の概要を知るために、読んでいる。「嫌われる勇気」に続く続編。この「幸せ」は、「嫌われる」の内容をたくさん含んでおり、忘れかけていた部分も思い出させてくれていた。

「三角柱」の話を少し前にブログに書かせてもらったが、それもこの本に書かれていたものだ。

課題の分離 自分の課題と他者の課題に切り分けること。そして、他者の課題には踏み込まないこと。「あなたは他者の期待を満たすために生きているのではない。」「他者もまた、あなたの期待を満たすために生きているのではない。」「その選択によってもたらされる結末を、最終的に引き受けるのは誰なのか?」

アドラー心理学の掲げる目標 【行動面】①自立すること ②社会と調和して暮らせること 【心理面】 ①私には能力がある、という意識 ②人々は私の仲間である、という意識

他者の関心ごとに関心を寄せること。これは、教育で言うと、ただ「子どもたちの関心ごと」に関心を寄せること。そして、これは、あらゆる対人関係で求められる、尊敬の具体的な第一歩である。「共感」を持つこと。共感は他者に寄り添うときに必要な技術であり、態度である。

臆病は伝染する。そして、勇気も伝染する。

「いまの自分に満足していない」 いまの自分に満足していないと、過去の辛い経験を持ち出して、理想に自分には程遠い「いまの自分」を正当化している。

 「人を叱ってはいけない(褒めてもいけない)」人を叱ってはいけないのは、「それが悪いことだと知らなかった可能性があるから」。知らないことは教えるだけ、そこに叱責の言葉はいらない。褒めてはいけないのは、良いことだと知ってやるのではなく、褒められるからするという思考に陥ってしまうから。

問題行動の「目的」第1段階「称賛の欲求」褒めてくれる人がいなければ適切な行動ができない、または、罰を与えてくれる人がいなければ不適切な行動を取るというライフスタイル(世界観)を身につけてしまう状態。第2段階「注目喚起」褒められなくてもいいから、とにかく目立ってやろうという状態。いいことでも悪いことでも目立って注目を引こうとする。第3段階「権力争い」「反抗」「不服従」大人に権力争いを挑んでくる。ただ不服従や反抗を決め込むことで、自らの「力」を証明したい。そのような場合は、すぐさま彼らのコートから退場する。反抗や不服従に対する叱責はその叱責のボールをまた反抗や不服従で返してくる。とにかくその場から退場すること。第4段階 「復讐」もっと注目して欲しいとなりそれが叶わないとなると、人は一転して「憎しみ」を求めるようになる。そうなると、正面切って戦うことを選ばず、「悪いこと」をするのではなく、「相手が嫌がること」を繰り返す。第5段階 「無能の証明」「これ以上私に期待しないでくれ」「私を見捨ててくれ」という状態で、大人が手を差し伸べれば述べるほど、極端な方法で「無能な証明」をしてくる。こうなると、専門家の手を借りないと収束できない。この問題行動5段階のすべては、「所属感」、つまり「共同体の中に特別な地位を確保すること」という目的に根ざしている。精神的も物理的にも安心安全な居場所づくりを学校やクラスにしてやることが最優先であることがわかる。心の居場所づくり。役割を与えてやることも大切。

幸福の本質は、「貢献感」である。「先生のおかげで無事卒業することができました。」と感謝を求めるのはおかしい。自分の力で成し遂げたと思えるように、環境や方法を伝達し、援助してやることこそ教師の役割である。自分の人生や日々の行いは全て自分で決定するものだと教えることも。

共同体は褒賞を目指した競争原理に支配される。「褒められること」が優先される共同体には、競争が生まれる。我先に褒められたいし、リーダーの寵愛を独占したくなる。学級全体に競争原理が蔓延することに問題がある場合がある。その場合、共同体そのものを治療する必要がある。賞罰をやめ競争の芽を一つずつ摘んでいくこと、学級から競争原理を失くしていくことが必要である。競争原理を優先する「縦の関係」を排除し、協力原理を優先する「横の関係」にしていくこと。これはアドラーでは、「民主主義の心理学」という。

アドラー心理学では「承認欲求」を否定する。他者から認めてもらうことを願うばかり、他者の要望に沿った人生を生きることになってしまう。他者の人生を生きくることになってしまうから。

「依存」と「自立」自分の価値を他者に決めてもらうことを「依存」と言い、自分の価値を自ら決定することを「自立」と言う。「普通でいることの勇気」が足らないと、他者からの承認を欲求してしまう。「人と違うこと」に価値を置くのではなく、「わたしであること」に価値を置く。

叱ってもいけないし、褒めてもいけない。叱ることや褒めること、すなわち賞罰は子どもの「自立」を妨げる。叱ることはお互いの「尊敬」を毀損することになる行為であり、怒りや叱責は、それほどのコストの低い、未熟で暴力的なコミュニケーションの手段である。褒めると集団の中に競争原理が生まれ、褒められることしかしなくなる。「他者は敵である」というライフスタイルを植え付ける。賞罰とは、子どもを支配下におこうとする行為であり、それに頼る大人は子どもが自立することを恐れている。「いつまでも子どもであってほしい」それゆえに賞罰で縛り付ける。

「すべての悩みは、対人関係の悩みである。」仮に宇宙に自分1人だけだったら、悩みは起こらない。逆に、人間関係の喜びも対人関係から生まれる。

「信頼」とは、一切の条件をつけずに相手を信じること。「信用」とは、条件付きで相手のことを信じること。

利己心を追求した結果、利他につながる。他者貢献につながる。誰1人として犠牲にしてはいけない。どんな仕事に就くのかが問題ではなく、どのようにその仕事に取り組むかが問題である。

尊敬とは、「その人をありのままに見ることである」、そして、「その人がその人であることに価値を置くこと」である。他者のことを信頼できるか否かは、その他者を尊敬できるかどうかである。

不可分なる私たちの幸せを築き上げること。わたしの幸せではなく、あなたの幸せでもなく、私たちの幸せを1番に考えること。私たち2人が幸せでなければ意味がない。利己的でもあり、利他的でもある。本当の愛を知った時、「わたし」だった人生の主語は「私たち」になるのです。幸福なる「生」を手に入れるためには、「わたし」は消えてなくなるべきです。

自立とは自己中心性からの脱却である。自立とは子ども時代のライフスタイルから脱却することである。

一般的に末っ子は、家族の誰とも違った道を選ぶ。第一子は、「過去の崇拝者」となり、保守的な、未来の悲観的なライフスタイルの形成者となる。第二子は革命を起こす。一人っ子の場合、母親を独占したいので、父親をライバル視し、マザーコンプレックスになることが多い。単独子しか持たない夫婦の多くは、人生に臆病で、悲観的である。家庭内の雰囲気も不安に満ちており、たった1人の子どもに過大な重圧をかけ、苦しめることになる。

誰かを愛するということは、単なる激しい感情の表出ではなく、自らの決意、決断、約束である。そして、結婚とは「対象」を選ぶことではなく、自らの生き方を選ぶのである。運命とは自らの手で作り上げるもの、運命に踊らされてはいけない。運命は自ら求め、運命の主役でなければならない。

踊ること。「いま」をダンスする、。ダンスのことを「2人の人間が共同の仕事に参加する遊び」である。今日という日の幸せを、いまという瞬間だけを直視しして、クルクルと踊り続ける。そばにいる人の手を取り、いまの自分にできる精一杯のダンスを踊ってみる。運命は、そこから始まる。

我々は他者を愛することによってのみ、自己中心性から解放される。他者を愛することによってのみ、自立を成し得る。そして他者を愛することによってのみ、共同体感覚にたどり着く。愛を知り、「わたしたち」を主語に生きるようになれば、変わる。生きている、ただそれだけで貢献しあえるような人類の全てを包括した「わたしたち」を実感する。「愛し、自立し、人生を選べ」

前作にも、「ダンスをする」という言葉が登場する。「いま」をダンスする。

前回は全くイメージできなかったが、今回はなんとなくイメージできている。

何が起こるかわからない毎日において、「あ、こんなことがあった。嫌だな。明日からもこんな嫌なことが続くのかな!?」「もうすぐ〇〇が終わる、終わると楽になるかもしれない。」

起こってしまったことは過去のことで、もうどうやっても取り返しがつかない。そんな取り返しのつかないことに一喜一憂しても仕方がない。これからどうするかがとても大切。三角柱の話と一緒である。

まだ起こってもいない未来のことを悲観的に考えることもどうしようもないことである。楽観的に考えるのも変。

いま目の前にあることに対して、一生懸命取り組むことが最も大切であるということが、「ダンスをする」ということではないだろうか。しかも、柔軟に取り組むこと。目の前のことは、自分の対応の仕方次第ではいかようにも変わっていく。素敵な軌道が描けるように柔軟に「今起っていること」に取り組んでいくことが大切。