英語教育2022年12月号を読んで

「英語教育2022年12月号」大修館書店、December 2022 Vol.71 No.10

第1特集 日本語を生かして理解を深める英語授業、第2特集 新課程2年目の秋 中学教科書 使いこなし実況中継、第3特集 [覆面座談会]英語教育ここだけの話 Vol.2 行ってみてわかった 教育実習ここだけの話

Domestication(D訳)とForeignization( F訳)から理解を深める日英語の捉え方の違い 今井隆夫(南山大学教授)

101 Dalmatiansというタイトルの映画があるが、「101匹わんちゃん」はD訳、「101匹ダルメシアン」はF訳。クラフト(2022, p.110)に、日本人は、驚いたときにI was surprised.と表現することが多いが、英語母語話者はYou scared me.と表現する。金谷(2019, p.14)に、日本語は虫の視点の言語であり、自分の視野にあることを表現するのに対し、英語は神の視点の言語であり、神視点から見れば自分も視野に入るため表現させるという趣旨の指摘がされている。

小学校英語教育における日本語を活かした音声指導ーご矯正の指導に焦点を当てて 箱﨑雄子(大阪教育大学教授)

英語母語話者は、ここの発音ではなく、誤った強勢パターンに合う語を認識する。それほど英語では語強勢の位置が重要。発音練習の際には、音声を聞かせながら、強勢の位置に合わせて体を動かす方法を用いる。その際には日本語と英語の発音を一緒に聞かせる。例えば、「バスケットボール」と言いながら8回手を叩き、”bas・ket・ball”と言いながら第1強勢の位置で1回手を叩いて発音する。コツは「長く」発音すること。

発表活動が活性化する工夫 第9回 小張敬由之(青山学院大学名誉教授)

PeerEvalという評価ソフトの利用について、使用の状況については、⬇️

https://www.juce.jp/archives/kaizen_2017/c-10.pdf

ソフトの説明については、⬇️

https://peereval.mobi/

生徒同士がプレゼンテーションについて相互評価できるというのは、非常に魅力的である。パフォーマンステストの評価の参考にもなる。自分のパフォーマンスについてクラスメイトの評価を知ることができる。

Confidence Building Blocks for the EFL Classroom part 3 “A Speed Reading Course for High School” 張 哲嘉(Chang, Tekka)(順天中学・高等学校特任講師)

どれだけ意味のある授業を行っても、入試に直結しないと、生徒はついてこない。「先生、長文を速く読むためにはどうすればよいか」という要望に応えたもの。帯で継続してやらせると力がついた。次のコースをやらせてみた。

500語で読めるコースは⬇️

https://www.victoria.ac.nz/__data/assets/pdf_file/0011/1068077/SRs-for-ESL-Learners-500-BNC-April-2017.pdf

3000語で読めるコースは⬇️

https://www.victoria.ac.nz/__data/assets/pdf_file/0005/1068071/3000-BNC-SRs-for-esl-learners-readings.pdf

英語教育2022年11月号を読んで

「英語教育2022年11月号」大修館書店 2022 Vol.71 No.9

「性の多様性とは何か?」渡辺大輔(埼玉大学准教授) 第4回 「変化する言葉、これからの教育」

 SNSのプロフィール欄に、[she/her], [he/him], [they/them]などの三人称の人称代名詞をつけている人を見かけるようになったが、これは第三者から自分が指し示されるときに使ってほしい代名詞である。

Coming Outは「Coming Out of the closet」からきている。

ICT活用ガイド [アプリ]安全安心なExcelでのデータ処理を目指して3 阪上辰也 (広島大学外国語研究センター准教授)

Excelを使う際は、フォントの種類は、大きく分けて、プロポーショナルフォントと等幅フォントがある。例えば、Office系でよく用いられる「MSPゴシック」のPは、ProportionalのPである。一方、Pのない「MSゴシック」というフォントは、等幅フォントとなる。これらの大きな違いは、文字の幅である。プロポーショナルフォントでは、文字の幅が一定ではなく間が調整されて狭められているため、長文の表示には適している。一方、Excelなどで数値を扱う場合には、文字の幅が一定に保たれる等幅フォントを使うことが良い。

[対談]「英語の先生」、そして「先生を目指す学生」にお薦めしたい本! 阿野幸一(文教大学教授)・太田洋(東京家政大学教授)

「確かな英語の力を育てる:英語教育のエッセンシャルズ」(くろしお出版、2021)

「間違いだらけの学習論:なぜ勉強が身につかないか」(新曜社、1994)

「これからの英語授業にひと工夫」(大修館書店、2022)

「日々の英語授業にひと工夫」(大修館書店、2011)

Mercer, S., & Dornyei, Z.(2020) Engaging language learners in contemporary classrooms. Cambridge University Press.

読者から寄せられた「私の厳選3冊」

英語のハノンースピーキングのためのやりなおし英文法スーパードリル 初級・中級・上級 (横山雅彦・中村佐知子著、筑摩書房、2021・2022)→音声おつかいながらトレーニングし、文法を使える段階まで引き上げるとともに、滑舌も良くなる。

中間指導って何?ー今からできる中間指導の4つのポイント 蓬澤守(埼玉大附属中教諭)

「指導と評価の一体化のための学習評価に関する参考資料」によると、中間指導では、「表現内容の適切さ」と「英語使用の正確さ」について指導を行うこと、とされている。「表現内容の適切さの指導」は、目的・場面・状況に応じた発話内容になっているかという観点で、生徒の発話などを例示し共有しながら、どういった点が良いか、相手により効果的に伝えるために工夫できる余地があるかを考えさせること。「英語使用の正確さ」は、生徒の発話を受け止めながら取り上げて、単語だけの発話を文にさせたり、語順の誤りを修正させたり、日本語での発話を英語にさせたりすること。「伝えたいことはあるけれど、うまく伝えられない」「ああ、そうやって英語を使えば伝えられるんだ」を気づかせ、できなかったことをできるようにすることが「中間指導」の意味であり目的。