「英語教師の授業デザイン力を高める3つの力ー読解力・要約力・編集力ー」を読んで 7

「英語教師の授業デザイン力を高める3つの力ー読解力・要約力・編集力」中嶋洋一編著 大修館書店(2023年)

【中間評価について】中間評価をする上で大切なことは、「協働学習の要素を取り入れること」である。他者との対話が発達を促すことがあると考える。それがヴィゴツキーの「発達の際近接領域」である。それは、生徒が一人でできる限界と、援助があれば成し遂げられる境界のこと。生徒は周りとの関わりの中で、自分一人でするよりも多くののことができるようになる。「足場かけ」として、少しだけヒントやアドバイスを与えることで、自分の力でできるようになるという考え。大切なのは「足場かけ(scaffolding)」。中間評価でも、足場掛けとして、生徒同士で対話できる場面を設定する。自分一人では気付けなくても、他者からの指摘で気づける場合がある。その場合は、「それぞれ、相手の発表から、真似たいと思ったことを3つ考えて相手に伝えてください。」と言う。

最高のモデルさえ示せば、生徒たちはやる気になると勘違いしてはいけない。必要なのは、やはり教師の「読解力」である。良いモデルを、いつどのように示せばいいかは、学習者の現在地や心理状態を踏まえて、入念に準備する。「負荷」は人をやる気にし、「負担」は意欲を減退させる。

中間評価は行なっている。普段のsmall talkや新しい文法の導入のoral introduction→oral interaction→ペアワーク→発表の時も、3回のペアワークの1回目と2回目に中間評価を入れている。やはりその時の先生のfeedbackがとても大切。スケッチブックプレゼンテーションの時も事前にリハーサルを行い、個人練習→ペア練習→グループ発表(リハ)→全体発表(部分的)で、それら一つ一つが中間発表になっているが、この時に私がfeedbackしないのが、問題点であることがわかった。

【SOSか3Kか?】S(しゃべりたがる)、O(教えたがる)、S(しきりたがる)をSOSといい、あまりいい授業を展開することができない教師のことである。それを、K(自分で気づかせたい)、K(仲間と関わらせたい)、K(自分で決めたい)の3Kにしたいものである。要は、授業を教師による説明ではなく、双方向でのやり取りにすることである。なぜなら、生徒(相手)の「知りたい」気持ちに臨機応変に応えていくからこそ、面白くなるからである。3つめのKのコツは、生徒が自己決定できる場面を作るには、選択肢を用意することである。3Kを生かした授業作りができるようになるには、教師の読解力が求められる。生徒が話したいと思うことや、どのような対話になるのかを予想できるのは、普段から生徒と対話する場面を設定し、生徒一人ひとりの様子を把握しようとしているから。

対話ができていない。Oral Introductionの後のOral Interactionの時だけである。ただこの時は、生徒もとても楽しそうである。やはり、このような「やり取り」が大切なのであることがわかる。そう言えば、本文の読解をさせるとき、”Oh~”, “Well~”, “Ah~”などを訳させていたことがあった。日本語にできないだけに、「これはどう言うことを言いたいのか?」と発問すると、目を皿のようにして教科書を読んでいたことを思い出した。活動も文法事項をそのままやらせるのではなく、「ALTに手紙を書く」や「ブログを作る」など、生産的で創造的な活動にするべきだなと感じた。