「リスペクト アザース」を指導して

2024年6月下旬に授業をした。どちらのクラスも期せずして「神回」となった。

ここは、「公正・正義」が大きな内容項目である。

【導入】では、「人(仲間)と接するときに、気をつけなければいけないことは」と聞いた。「礼儀正しくすること」「どの人にも公平に当たること」「コミュニケーションができること、言葉のキャッチボールができること」などが出た。

2分ほどで、本文の朗読に移る。いつも通り、しっかり感情を込めて朗読することができた。

【人間理解】の発問は、「僕(主人公)が感じた、残念なところは?」。「日本にはリスペクトアザースがないこと」とすぐに出てきた。その具体例としては、「冗談冗談と言いながら、きついことを言う」「あえてできないフリをする」など。

【価値理解】の発問は、「僕が感じた、素晴らしいこととは?」。「アメリカにはリスペクトアザースがあること」が出た。野球チームでの出来事などが具体例として発表された。アラバマ州から体験入学できている男子がいるので、聞いてみたところ、「リスペクトアザースという言葉は一度も聞いたことがないし、発したこともない」と。やや感動に水を指す結果に。

アメリカでは「リスペクトアザース」ができたのは?→「差別が公然とあったため」。では、表の上では差別のない日本では、「僕は『リスペクトアザースをもっと浸透させるべきである』と言っているが、具体的にはどうすればいいか?」と聞く。【自己理解】へと進めていく。

「ここからは教科書を離れて考えてみましょう!」というと、おもしろい発問もあったせいか、一斉にみんなの顔が上がる。道徳はこの瞬間があり手応えを感じることができるので、その瞬間はこちらもビビッとくる。ずっとこのままこの空間にいたいと感じる。

「一人ではできないから、知っている人を巻き込んでいく。」「まずは友達から」などいろんな意見が出る。

ここで、発言のない生徒を指名して、「どの人の意見に近い?」と聞く【他者理解】と、「⚪︎⚪︎さんの意見に近い。」だけしか言わないと思ったら、その後自分の意見をしっかり言う。やはり言えないのは集団の前だからだけで、それぞれの思いや意見はある。それを引っ張り出してみんなの前に晒すことで、価値観の違いを共有できる。特に消極的な子どもの意見はみんなが考える土台となる。

【自己を見つめる】では、「あなたは何ができる?リスペクトアザースを浸透させるために。人と接するときに気をつけることは何?この時間の最初に考えていたことと、今考えていることを比較しながら、影響を受けた友達の意見も交えながら教えて」と発問した。本来は書かせたかったのだが、時間がなかったので、2〜3人に聞いた。

【終末】では、今この学級、この学年、この学校、6割以上が外国にルーツを持つ生徒であることから、「リアル・リスペクトアザース」であることを告げて、こんな学校他にはない、高校へ入るとバラバラになってしまうけど、今みたいな「リスペクトアザース」のような支え合い仲間を一生続けていこうと話した。