「罪の声」をみて

 11月の中旬くらいに、友人のMr. Tの勧めで見に行った。彼の勧める映画は、聞いた瞬間はあまりパッとしなくて、「見に行くまでもない」と諦めてしまうことが多いのだが、見に行った映画には不思議とハズレがない。今回のも勧められた瞬間はやめておこうと思ったのだが、どうしても気になって行ってしまった。かなり面白かった。

 公開して1ヶ月で評価が4.0なので大したものだと思う。

 「グリコ・森永事件」をモチーフにした映画で、実話だったら、これで解決したことになるのだろうけど、講談社BOOK倶楽部「塩田武士独占インタビュー」では、

https://news.kodansha.co.jp/20160803_b01

本作を読んだジャーナリストから電話をいただいたんですが、第一声が「これ、どこまで本当なの?」。僕は、取材の過程で作品に描いたような推理が成り立ったことを説明しましたが、その一方であの犯罪のあとには、いくつもの哀しい人生があったのではないかと思っています。とりわけ事件に利用された子供は、どのような人生を送ったのか……。そういうことに思いを馳せるところに、いまあの事件を取り上げることの意味があると思うのです。

とあるので、実話でもあり、創作もありという感じかもしれない。私の中では、この映画を見てあの事件の真相が全て解決されてしまったような錯覚に陥る。次は、映画.comによるあらすじ。

https://eiga.com/movie/91122/

実際にあった昭和最大の未解決事件をモチーフに過去の事件に翻弄される2人の男の姿を描き、第7回山田風太郎賞を受賞するなど高い評価を得た塩田武士のミステリー小説「罪の声」を、小栗旬と星野源の初共演で映画化。平成が終わろうとしている頃、新聞記者の阿久津英士は、昭和最大の未解決事件を追う特別企画班に選ばれ、30年以上前の事件の真相を求めて、残された証拠をもとに取材を重ねる日々を送っていた。その事件では犯行グループが脅迫テープに3人の子どもの声を使用しており、阿久津はそのことがどうしても気になっていた。一方、京都でテーラーを営む曽根俊也は、父の遺品の中にカセットテープを見つける。なんとなく気になりテープを再生してみると、幼いころの自分の声が聞こえてくる。そしてその声は、30年以上前に複数の企業を脅迫して日本中を震撼させた、昭和最大の未解決人で犯行グループが使用した脅迫テープの声と同じものだった。新聞記者の阿久津を小栗、もう1人の主人公となる曽根を星野が演じる。監督は「麒麟の翼 劇場版・新参者」「映画 ビリギャル」の土井裕泰、脚本はドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」「アンナチュラル」などで知られる野木亜紀子。

2020年製作/142分/G/日本
配給:東宝

 「グリコ・森永事件」が起こったのは、ちょうど、私が浪人生活をしている時。名古屋の駅裏(現在の新幹線口)に下宿して河合塾に通っていたときの頃。当時の名古屋駅裏はホームレスが多く、冬場は暖かいコインランドリーにたくさんいらっしゃって、まだ19歳の私は洗濯をしに中に入れなかった時があることを覚えている。予備校帰りに、小さいハンドバックにつけられている金の鎖をクルクル振り回しながら近づいてくるお姉さんに、「遊んで行かない?」と毎日声をかけられていた。治安があまり良くない地区に住んでいた。下宿から歩いて10分ほどのスーパーに、「毒入りキケン」と書かれたお菓子が見つかったのは、確か、秋〜冬くらいだったと思う。とても怖かった思い出がある。そして、事件がかなり身近に感じていた。その思い出が今でも忘れられない。

 体制に反旗を翻し、いつか住みよい暮らしやすい身の回りを実現したい、お金持ちや権威者だけがのさばる世の中を変えていきたい、そのためには、緩やかな変革ではなく激しく暴力的な部分もないと、世間や世間の考え方は変わっていかない。イスラム教を世界に広げていく過程で、「ジハード」も止むを得なかったという時代があったのもうなづける。日米安保をはじめとする不安と不満から起こった学生運動が鎮火されても、火種はまだ止まず、反体制を目指し、あの事件へと動いて行ったというストーリーは十分ありうると思う。

2件のコメント

  1. やっとMr.Tの映画センスを感じてもらえてよかったです(笑)
    これからも管理人さんのお勧め映画をたくさん教えてください!

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