「幸せへのまわり道」〜A Beautiful Day in the Neighborhood〜を観て

https://www.misterrogers.jp/

8月30日(日)にふと思い立って、この映画を観に行った。決めては、トムハンクスが出演しているということと評価が結構高いということだった。以下はあらすじ(映画.comより引用)

https://eiga.com/movie/92230/

トム・ハンクスが、アメリカで1968年から2001年にわたって放送された長寿子ども向け番組の司会者フレッド・ロジャースに扮し、アカデミー助演男優賞にノミネートされたヒューマンドラマ。雑誌「エスクァイア」に掲載された新聞記者ロイド・ボーゲルによる記事の映画化で、ボーゲル役を「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」でもハンクスと共演したマシュー・リスが演じた。雑誌記者として華々しいキャリアを築いてきたロイド・ボーゲルは、姉の結婚式に招待され、そこで長らく絶縁していた父ジェリーと再会する。家庭を顧みず自分たち姉弟を捨てた父を、ロイドはいまだ許せずにいた。数日後、仕事で子ども向け番組の司会者として人気のフレッド・ロジャースを取材することになったロイド。フレッドは、会って間もないロイドが抱えている家族の問題や心のわだかまりを見抜き、ロイドもそんなフレッドの不思議な人柄にひかれていく。やがて2人は公私ともに交流を深めていくが……。監督は「ある女流作家の罪と罰」「ミニー・ゲッツの秘密」のマリエル・ヘラー。

2019年製作/109分/G/アメリカ
原題:A Beautiful Day in the Neighborhood
配給:イオンエンターテイメント

淡々とストーリーが進む。喜怒哀楽を感じることもない。セリフはゆっくりで私は字幕なしでも英語が聴き取れる程だった。静寂が長い。気持ちを落ち着かせて、ホッとしながら観ることができる。登場人物の心理描写が細かく描かれている。表情やセリフの言い回しからどういう気持ちなのか推し量ることができる。

トムハンクスは実在したフレッド・ロジャースという、子ども番組のメインキャスターを務めた伝説的な人物に扮している。地下鉄に乗車するとその車両に乗っている全員が国籍人種関係なく子ども時代にお世話になったその子ども番組のテーマソングを熱唱する。感動的なシーンだった。

フレッドは怒りを鎮めるためにどうすればよいか。悲しみも驚きも全て怒りから発生いている。ピアノを弾いたり瞑想したり、どうすれば心の平静が保てるのかをいつも考えている。

重い過去を持っているロイド・ボーゲルに、過去に戻って自分探しをするように何回か示唆するが、なかなか戻れない。しかし、瀕死の父親ともう一度出会い直しをすることで、すべてがリセットされ、前向きに生きていこうと決意できるようになる。

この映画を観て、何度も自分の過去のことがフラッシュバックしてきた。亡くなった父親のこと、亡くなった母親のこと、弟のこと、5人の子どものこと、連れ合いのこと、自分の家族のことをとても強く感じられた。普段クヨクヨすることが多く、辛いことばかり意識が向いてしまうが、私には永久的な存在として、自分が作ってきた家族がある。よくよく考えれば、今は子どもたちの活躍や生活環境が変わった連れ合いの生き方を見ているのが、とても楽しみである。その生きる上での喜びを心の中に呼び起こしてくれたのが、この作品だった。

感じ方は人それぞれであるが、家族を強く意識させられた映画であった。かなりオススメである。

第41回森会について

2020年8月23日に中川地域交流センターで、第41回の「森会」が行われた。今回も意欲ある英語教員が私を含めて6人集った。今回は、「指導と評価の一体化に関する参考資料」の読み込みの続きと、現在津地区で採用されている小学校英語の教科書であるNEW HORIZON Elementary English Courseを見ていくことになっていた。私は遅刻して早退したので、どこまで進んだのかわからないが、話によると、小学校英語の教科書について勉強し、「指導と評価の一体化に関する参考資料」については今回も時間がなかったとのこと。主宰者のW先生が参加者全員の5、6年生の教科書を購入してもらっていた。いつもながらとても助かる。

いつも通り、参加者の近況報告からスタートした。

Writingについて話が出た。「『週末課題』」をさせているのだが、どのように添削し評価につなげていけばよいか、思案している。」ということだった。

まず、週末課題というのは、英作文に特化して、毎週末に与える自由英作文である。生徒の発達段階や習熟度に応じて、内容を変えることができる。1年生の最初であれば、「3文、10語以上」というルールを設定して、内容は「好きなスポーツ」「好きな教科」など、書きやすく教科書などを参考にできるような題目を与えると良い。2年生や3年生になれば、発達段階に応じて、ルールや内容も難易度を上げてやると英作文の力がつく。大切なことは、毎週提出させることである。評価については、提出した子どもの変化を具に捉え、フィードバックすること、そして頑張った成果が定期テスト等で発揮できるようにアドバイスすることが大切であると告げた。自分が添削したりALTが添削したり、プリントにして配付したり、様々な方法が考えられるが、その子がやる気を持ち続けるためにどうすればよいか、「なるべく正確に」、「自分の思いや考えが表現できるように」、「なるべくたくさん書けるように」、するにはどうすればよいか、子どもたちへの評価を自分の指導に生かしていくことが大切であると語った。

小学校英語について、私が実践していることをお話しさせてもらった。筆者は週に1回道路を隔ててすぐ横にある小学校の6年生に英語を教えている。今年で3年目になる。本年度から新学習指導要領下で英語が教科化された。文科や県、市のおかげて、移行措置から力を入れたこともあり、スムーズに移行できているという印象がある。「単元を見据えた指導計画を立てること」、「単元後に成果物(またはパフォーマンス)を作成し、単元で学んだことを整理すること」がポイントであることをお話しした。毎回の授業をこなしていくと、そのまとめの時間を取ることで、単元の内容が整理でき発表につなげていくことができる。

Unit2であれば、”How is your school life?”というテーマで、単元目標は「日常生活について伝え合おう」となっている。毎時間ターゲットとなる文が決まっており、1時間目は”I live in Tsu.”など住んでいる場所。2時間目は、”I go to Keiwa Elementary School.”など通っている学校。これらのターゲットとなる文をビデオを見たり、Teacher Talkを聞いたり、Small Talkをするなどの言語活動を重ねながら、慣れ親しみ、書くところまでつなげていく。ターゲットセンテンスをまとめて書くページが教科書に用意されており、達成度が見える化されている。毎回のターゲットセンテンスをまとめていくと、単元末の活動に移行することができる。とてもいい作りの教科書(NEW HORIZON Elementary English Course 6)であると思う。指導要領に掲げられていることを教科書どおりにこなせばある程度は達成できる。

英語を駆使しながらも、わからない部分を聞き、何度も挑戦させることが大切である。「素振りを何回もしてからバッターボックスに立つ」のではなく、「まずはバッターボックスに立って、三振したら何が悪かったのか考え、練習をして、もう1度バッターボックスに立つ」というこの考えを元に、授業を実践している。

毎週毎週が戦いであると思いながら、小学校へ行っている。やはり小学校は小学校の文化があり、中学校の先生にとって見習うべき点がたくさんある。「小学校英語の上位が中学校英語である」という考え方は間違っている。小学校→中学校というつながりの線上にある教科である。筆者は学校の枠を超えて指導ができているので、とてもラッキーであると最近思うようになったので、大変ではあるが、これからも続けていきたいと改めて思い直し、そのような決意を森会の中で話をさせてもらった。

「週末課題」について

週末課題に取り組み始めて、5年くらいが経過した。きっかけは、BENESSEが主催した英語教育セミナーに参加し、実践発表を聞いたことである。石川県七尾市の小中高連携についてであった。七尾市は近隣の中学校区とその校区内にある七尾高校で連携し英語教育を行い、成果を上げている。BENESSEのGTECを受験し、苦手ポイントを洗い出し、長期的にその部分を鍛え成果を上げていった。その子どもたちの苦手ポイントが英作文であった。私の勤務校も含めどこの学校もそうだと思うが、書くこと、殊更自己表現については苦手意識を抱えている子どもは多い。この地域も他の技能より低かったようだ。その苦手ポイントを克服するために、週末課題を行おうということになった。

週末課題というのは、英作文に特化して、毎週末に与える自由英作文である。生徒の発達段階や習熟度に応じて、内容を変えることができる。1年生の最初であれば、「3文、10語以上」というルールを設定して、内容は「好きなスポーツ」「好きな教科」など、書きやすく教科書などを参考にできるような題目を与えると良い。2年生や3年生になれば、発達段階に応じて、ルールや内容も難易度を上げてやると英作文の力がつく。現在では3年生を担当しているのだが、「55語以上、10分以上、接続詞を使うこと」など、ルールをいくつか設け、出題している。ただ一つ大切なことは、毎週提出させることである。

毎週提出させることで、書くことに抵抗が無くなるし、慣れてくる。ここが最も大切なことである。英作文を嫌がる生徒は多いが、大半が「あまり書いたことがないので、書きたがらない」ことである。しかも、本質的には自己表現したいのに、成長段階からか自己表現することが恥ずかしくて仕方がない年代でもある。指導の中でも、英文や英単語を視写することが英作文だと信じている英語教員もおり、自分の気持ちや考えを英文にするということは、新学習指導要領でも目標に掲げられているにもかかわらず、現場では行われていることが少ない。考えや思いをまとまった文にするということは、難しいことである。授業の中だけではその力をつけていくには時間が少なすぎるため、週末課題を行い、step by stepで、scaffoldingを与えながら、継続的に行うことが肝要である。このstep by stepとscaffoldingのさじ加減が教員の腕の見せ所だと思っている。

さらに、「writingは、exposeすること」という主張をしているのは、動機付けの学者である、Zoltan Donyeの言葉である。「成果物を人から見てもらえなければやる気が出ない。」逆に言うと、「せっかく作ったものだから、人に見てもらいたい。」という気持ちを醸成することである。人目に触れるとなれば自ずと頑張って仕上げるものである。ジャーナル化(子どもたちの成果物をコピーして配付、またはPCで打ち替えて配付)したり、掲示したり、授業の際に読んだりすることで、exposeすることができる。

詳しくデータを取ったわけではないが、これによって、自由英作文へのハードルは相当下がったと自負している。今年度はコロナの影響で臨時休校が続いたため、9月初旬になってもまだ7回目と、数少ない回数ではあるが、三重県公立高校の入試では必ず自由英作文は出題されるため、教科書のLet’s WRITEと連動させながらも、毎週続けていきたいと考えている。提出する習慣が付かない生徒が若干名いるが、Slower Learnerも私が提示した例文を写すだけでもよいと励ましながら、毎週提出するよう促している。