「成瀬は都を駆け抜ける」を読んで

「成瀬は都を駆け抜ける」宮島未奈著 新潮社 2025年12月1日初刊

『成瀬は都を駆け抜ける』

― 成瀬、ありがとう。そして、また会える日を信じて ―

宮島未奈さんの『成瀬は都を駆け抜ける』(新潮社)を読み終えました。

『成瀬は天下を取りにいく』。

『成瀬は信じた道をいく』。

そして待望の第三作。

私は一作目を読み終えたときから、「成瀬には、まだまだ続きを書いてほしい」と思っていました。

ですから、この第三作が刊行されると知ったときは、本当にうれしかったです。

そして読み終えた今、もっと複雑な気持ちになっています。

なぜなら、この作品は成瀬あかりシリーズの完結編だからです。著者自身も「これで完結です」とコメントしています。  

寂しい。

でも、とても幸せな読書でした。

成瀬はどこへ行っても成瀬だった

舞台は京都。

京大生になった成瀬は、新しい仲間と出会い、新しい世界へ飛び込んでいきます。

しかし、環境が変わっても、成瀬は少しも変わりません。

自分のペースで生きる。

人に合わせるのではなく、自分の信じることを淡々と続ける。

それでいて、周りの人を自然と巻き込み、気づけば誰かの人生を少しだけ変えてしまう。

今回もそんな「成瀬らしさ」があふれていました。

成瀬は主人公なのに、主人公ではない

このシリーズの一番好きなところは、実はここです。

物語はいつも、成瀬本人だけを描いているわけではありません。

成瀬と出会った人。

成瀬に影響を受けた人。

成瀬を見つめる人。

そうした一人一人の視点から描かれることで、成瀬という人物が立体的に浮かび上がります。

まるで太陽のように、本人は特別なことをしているつもりはないのに、周りの人の軌道を少しずつ変えてしまう。

それが成瀬なのだと思います。

心がぽかぽかする物語

私が特に好きだったのは、「やすらぎハムエッグ」の物語です。

大学生活の中で少し寂しさを抱えていた主人公が、成瀬と出会い、思いもよらない交流が始まります。

成瀬は毎日朝ごはんにハムエッグを食べている。

そんな何気ない会話から物語が動き始めるのですが、読み終わった後は、寒い冬の日に温かい飲み物を飲んだような気持ちになりました。

成瀬は決して励ますわけでも、慰めるわけでもありません。

ただ、そこにいるだけ。

でも、その存在が誰かを前向きにしてしまう。

そんな力を持っています。

個性的な登場人物たち

今回も魅力的な人物が次々と登場します。

「達磨研究会」という不思議なサークル。

簿記YouTube、ぼきののか

観光大使の活動。

そして、シリーズおなじみの島崎をはじめ、これまでの登場人物たちも顔を見せてくれます。

まるで同窓会のようでした。

「あ、この人も出てきた。」

そんなうれしさが何度もありました。

「そういう子なので」

今回、一番心に残った言葉があります。

それは、

「そういう子なので」

という一言です。

子どもの頃から、成瀬は「変わった子」と言われ続けます。

でも、お母さんはその個性を否定しません。

「そういう子なので。」

たった一言です。

しかし、この言葉には深い愛情が込められていました。

人は、誰かを自分の型にはめようとしてしまいます。

でも、本当に大切なのは、その人らしさを認めることなのかもしれません。

教育に携わる私自身、この言葉は胸に刺さりました。

教師もまた、

「普通」に合わせようとするのではなく、

「その子らしさ」を伸ばしていく存在でありたい。

そう思いました。

成瀬は成瀬のままでいい

シリーズを通して感じたことがあります。

成瀬は、無理に成長しません。

誰かに合わせようともしません。

でも、そのままで人を幸せにします。

それは、今の時代だからこそ、多くの読者が成瀬に惹かれる理由なのではないでしょうか。

「人と違っていてもいい。」

「自分らしく生きていい。」

成瀬は説教をしません。

ただ、生き方で教えてくれます。

ありがとう、成瀬

「これで終わりか。」

そんな寂しさがありました。

でも、それ以上に、

「作品に出会えてよかった。」

そんな気持ちが残りました。

シリーズ完結は本当に寂しい。

人は、自分らしく生きていい。

その姿は、きっと誰かの勇気になる。

ありがとう、成瀬。

またいつか、どこかであなたに会える日を、読者として静かに待っています。

「学力喪失」ー認知科学による回復への道筋

「学力喪失」ー認知科学による回復への道筋 今井むつみ著 岩波新書 2024年9月20日初版

『学力喪失』を読んで

― 認知科学が教えてくれた「学ぶ力」の正体 ―

今井むつみさんの『学力喪失――認知科学による回復への道筋』(岩波新書)を読みました。

この本は、いつもお世話になっている神戸大学の赤木先生に推薦していただいた一冊です。

読み終えて、まず思ったのは、

「ああ、子どもたちはここでつまずいていたのか」

ということでした。

これまで私たち大人は、子どもが分からないとき、

「もっと分かりやすく説明すればよい」
「何度も繰り返し練習すれば定着する」
「テストで点数が取れれば学力がついた」

と考えがちでした。

しかし、この本はその考え方そのものに問いを突きつけます。

子どもが本当に分かっていないのは、説明の量が足りないからではない。
練習が足りないからでもない。

もっと根本にあるのは、子どもの頭の中で、言葉や概念が実感と結びついていないこと。
つまり、**「記号接地」**ができていないことなのです。

「記号接地」というキーワード

この本で私にとって一番大きなキーワードになったのは、やはり「記号接地」でした。

記号接地とは、簡単に言えば、言葉や記号が、現実の経験や感覚と結びつくことです。

たとえば「1」という数字を知っていることと、「1」の概念が本当に分かっていることは違います。

「1」が分からなければ、「2」も「3」もあやふやになる。
「5」が分からなければ、「10」も分からない。
「10」が分からなければ、繰り上がりも分からない。

子どもが算数でつまずくとき、私たちはすぐに計算練習をさせようとします。

しかし、本当はもっと前のところ、つまり「数の概念」そのものが接地していないのかもしれない。

これは英語教育にもそのまま当てはまります。

単語を覚えた。
文法用語を知っている。
問題集では正解できる。

でも、それが実際の場面で使えない。

それは、知識がまだ身体化されていないからです。
生きた知識になっていないからです。

分かりやすく教えれば分かる、という誤解

本書を読んで強く心に残ったのは、

「丁寧に分かりやすく説明すれば、子どもは理解する」

という考え方そのものが、実は大人側の誤解かもしれないという点です。

もちろん、分かりやすく教えることは大切です。

しかし、それだけでは子どもの頭の中に生きた知識は生まれません。

母語を考えればよく分かります。

子どもは、日本語を文法説明によって覚えるわけではありません。
たくさん聞き、使い、失敗し、修正しながら、少しずつ言葉を自分のものにしていきます。

つまり、学びとは、外から知識を入れられることではない。

自分の中で、経験と結びつけ、試し、修正し、抽象化していく過程なのです。

スキーマの誤りをどう修正するか

認知科学では、学習のつまずきの大きな原因の一つを「スキーマの誤り」と考えます。

スキーマとは、ものごとを理解するときの枠組み、思い込みのようなものです。

子どもは何も知らない状態で授業に来るわけではありません。
むしろ、自分なりの見方、自分なりの解釈を持って授業に来ます。

そのスキーマが正しければよいのですが、誤っている場合があります。

そのとき、教師が正解を言っても、子どもの誤ったスキーマは簡単には修正されません。

大切なのは、子ども自身が、

「あれ、自分の考え方ではうまく説明できないぞ」

と気づくことです。

そして、

「なるほど、そう考え直せばよいのか」

と自分で納得することです。

これが、本当の意味での学びなのだと思います。

たつじんテストが示したもの

本書では、広島県教育委員会と関わって開発された「たつじんテスト」が紹介されています。

このテストの目的は、単に点数をつけることではありません。

子どもがどこで、何につまずいているのか。
なぜつまずいているのか。

それを明らかにするためのテストです。

ここが非常に重要です。

全国学力・学習状況調査も、本来は子どもや学校や自治体に順位をつけるためのものではないはずです。

むしろ、

「今の学習指導要領は子どもの実態に合っているのか」
「学校の授業は本当に子どもの理解につながっているのか」
「どこで記号接地が起きていないのか」

を見直すために使うべきではないかと思いました。

テストは、子どもを裁くものではありません。

子どもを理解するためのものです。

読解力とは、言葉を柔軟に調整する力

印象に残ったのは、空間を表す言葉に関する問題です。

これは単に語彙を知っているかどうかを見るものではありません。

文章に合わせて視点を変えられるか。
文脈に応じて言葉の意味を調整できるか。

そこを見ています。

よい読み手は、自分が知っている意味をそのまま押しつけません。

「この文脈では、この言葉はどういう意味で使われているのか」

と考えます。

一方、読むことが苦手な子は、自分の知っている意味を強引に当てはめてしまう。

だから文全体の意味が通らなくなる。

これは英語の読解でもまったく同じです。

単語の意味を一つ覚えて、それをどこでも同じように当てはめてしまう。
だから文の意味が崩れてしまう。

本当に読む力とは、知っている意味を並べる力ではなく、文脈の中で意味を調整する力なのです。

アブダクションという学び方

本書には「アブダクション」という言葉も何度も出てきます。

アブダクションとは、簡単に言えば、今ある知識を組み合わせ、類推しながら、もっともよさそうな説明をつくる推論です。

必ず正解にたどり着く推論ではありません。

だから間違うこともあります。

しかし、新しい知識を生み出すには、このアブダクションが欠かせません。

子どもは、実践し、失敗し、修正しながら学んでいきます。

その過程で、具体的な経験から抽象的な概念へと自分で上がっていく。

これが「ブートストラッピング」の学びです。

教師の役割は、正解を先に与えることではありません。

子どもが自分で仮説を立て、試し、間違い、修正し、もう一度考える場をつくることです。

私の英語授業とつながった

この本を読みながら、私は自分の英語授業を思い出しました。

私は授業で、いきなり文法説明から入ることはほとんどしません。

まずオーラル・イントロダクションでたくさんの事例を聞かせる。
口頭練習をする。
ペアワークで使わせる。
その後で、最後に文法を整理する。

これはまさに、暗黙から明示へ向かう授業です。

子どもが自分の中で、

「ああ、こういうことか」

と組み立てる。

具体例から抽象的な文法概念へ、自分で到達していく。

この流れこそ、生きた知識を育てるために大切なのだと、本書を読んで改めて確信しました。

文法は最初に説明されるものではなく、最後に腑に落ちるものなのかもしれません。

システム1とシステム2

本書では、人間の思考についても触れられています。

直感的で素早い思考がシステム1。
じっくり吟味し、論理的に考える思考がシステム2。

私たちは普段、システム1で素早く判断しています。

しかし、その判断はときに思い込みに支配されます。

だからこそ、システム2で自分の考えを見直す必要があります。

これはメタ認知です。

「自分は今、思い込みで判断していないか」
「この考え方で本当に合っているか」
「別の見方はできないか」

こう考えられる力こそ、本当の学力につながるのだと思います。

生きた知識とは何か

本書を読み終えて、私がたどり着いたのは、

学力とは、テストで高得点を取る力ではない

ということです。

本当の学力とは、自ら学ぶ力です。

自分の誤ったスキーマに気づく。
それを修正する。
新しい知識を既存の知識とつなげる。
必要なときに自然に使える。

そこまでいって初めて、知識は身体の一部になります。

これが「生きた知識」です。

そして、生きた知識を持った子どもは、自走できる学び手になります。

教師がいなくても学べる。
教科書が変わっても学べる。
社会が変わっても学び続けられる。

これからの時代に必要なのは、まさにこの力だと思います。

AI時代の教師の役割

生成AIの時代になりました。

知識を分かりやすく説明するだけなら、AIにもできます。

だからこそ、教師は「説明のうまい人」で満足してはいけないのだと思います。

大切なのは、

子どもがどう受け止めているか。
どこで誤解しているか。
どのスキーマがずれているか。
本当に概念の本質に届いているか。

そこを見ることです。

教師の仕事は、知識を流し込むことではありません。

子どもの中にある学びの芽を見つけ、
つまずきを見取り、
必要な足場をかけ、
やがてその足場を外していくことです。

最後に

『学力喪失』は、教育の本質を突きつける本でした。

「分かりやすく教える」ことに安心してはいけない。
「繰り返し練習させる」ことだけで満足してはいけない。
「テストの点数」だけを学力だと思ってはいけない。

子どもが本当に学んでいるか。

言葉や概念が、その子の経験と結びついているか。

知識が生きているか。

そこを見なければならない。

この本を読んで、私は改めて思いました。

授業は、明白な説明から始まるのではない。
暗黙の経験から始まり、子ども自身の中で概念が立ち上がっていくものなのだ。

そして教師は、その過程に寄り添う存在でありたい。

子どもが自分で学び、自分で考え、自分で修正しながら前へ進む。

そんな「自走する学び手」を育てること。

それこそが、これからの教育の中心にあるべきだと思います。

「裏庭での出来事」を指導して

パキスタン赴任後の道徳授業③

「裏庭での出来事」― 自分に嘘をつかない勇気 ―

イスラマバード日本人学校に赴任してから、中学1年生との道徳の授業が続いています。

生徒は男子1名、女子1名。

人数は少ないですが、その分、一人一人の考えや価値観がよく見えます。

そして今回もまた、生徒たちの心の動きがよく見える授業になりました。

最近、「神回中の神回」が続いていますが、今回もそんな授業でした。

◆ 「自分に嘘をつかずに生きられるか」

授業の導入では、こう問いかけました。

「自分に嘘をつかずに生きることはできますか。」

難しい問いです。

人は誰でも、本当はこうした方がいいと分かっていながら、周りの目や人間関係を気にして行動できないことがあります。

二人も少し考えながら、

「できると思う。」

「でも難しい時もある。」

と答えていました。

その答えが、今回の教材につながっていきます。

◆ 「裏庭での出来事」

今回扱った教材は、多くの道徳教科書に掲載されている名作教材

「裏庭での出来事」

です。

主人公は健(けん)。

友人の大輔、雄一と一緒に遊んでいるとき、学校の裏庭でガラスを割ってしまいます。

本当は先生に報告しなければならない。

しかし、大輔は

「黙っていれば分からない。」

と言います。

健は迷いながらも、その場では何も言えません。

心の中では「言わなければ」と思いながらも、大輔の言葉に流されてしまいます。

しかし最後には、自分の良心に従い、職員室へ向かい、本当のことを話そうと決意するのです。

◆ 残念なところ、素敵なところ

今回も本文を読む前に、

  • 健の残念だなと思うところに線を引く
  • 健の素敵だなと思うところに波線を引く

という課題を出しました。

すると面白いことに、

一人は

「残念なところはありません。」

と答えました。

もう一人は、

「ガラスを割ったことじゃなくて、先生に言いに行けなかったところ。」

と答えました。

なるほどと思いました。

問題は失敗したことではなく、

正しいと分かっていることを行動に移せなかったこと。

そこに注目したのです。

◆ 健はなぜ言えなかったのか

最初の発問は、

「先生に言わなければならないと分かっているのに、言えなかった健の気持ちはどうだったのだろう。」

でした。

すると二人とも、

大輔との関係に注目しました。

「大輔がちょっと支配的だった。」

「雄一だけが大輔に意見を言えていた。」

「健は大輔が怖かったんじゃないかな。」

そんな意見が出ました。

さらに、

「本当は言いたかったと思う。」

「でも面倒なことになるのが嫌だった。」

とも話していました。

正しいことをするのは簡単ではありません。

特に友達との関係があるときはなおさらです。

二人とも、そのことをよく理解しているようでした。

◆ なぜ職員室へ向かったのか

そして授業の中心発問。

健が最後に職員室へ向かう場面です。

私は尋ねました。

「大輔のことが気になるのに、職員室へ行こうと決めた健の気持ちはどうだったのだろう。」

すると二人とも、ほぼ同じことを言いました。

「もう言いなりになるのをやめたかった。」

「ここでけじめをつけたかった。」

「一からやり直したかった。」

私は思わず感心しました。

教科書的な答えではありません。

自分たちなりに健の心を考えた答えです。

そして、

「大輔との関係を断つ覚悟だったと思う。」

という意見まで出ました。

中学1年生とは思えないほど深い読み取りでした。

◆ ロールプレイで見えたもの

授業の最後にはロールプレイを行いました。

私が先生役。

生徒が健役と大輔役です。

「どうして今まで言わなかったんだ?」

「本当に君たちだけなのか?」

「大輔と雄一も連れてきてくれるか?」

そんなやり取りをしました。

大輔役の生徒は実に見事でした。

少し反抗的で、

責任を認めたくない様子をうまく演じてくれました。

一方、健役の生徒は途中で言葉に詰まります。

固まってしまう場面もありました。

それでも最後には、

「自分は正しいことを言います。」

「その後のことは考えずに言います。」

と言っていました。

その姿は、まさに健そのものでした。

◆ 自分に負けない

ロールプレイの後、

私は聞きました。

「もし同じようなことが起きたらどうする?」

二人とも即答でした。

「自分に負けたくない。」

「自分に嘘をつきたくない。」

そして、

「もともと流されるつもりはない。」

とも言っていました。

頼もしい言葉でした。

◆ 最高学年として

イスラマバード日本人学校では、

中学1年生の二人が学校全体の最高学年です。

人数は少なくても、

学校の顔であり、

下級生たちの目標でもあります。

今回の授業を通して、

二人の中には

「正しいと思ったことを貫くこと」

「自分に嘘をつかないこと」

の大切さがしっかり残ったように感じました。

◆ 授業を終えて

道徳の授業は、

正解を教える授業ではありません。

自分の心と向き合う授業です。

今回、生徒たちは健を通して、

「友達との関係」と

「自分の良心」の間で揺れる人間の弱さを考えました。

そして最後には、

自分の弱さに負けない生き方について考えることができました。

教師として、これ以上うれしいことはありません。

今回もまた、

私にとっては間違いなく

「神回中の神回」

でした。

これから学校の最高学年として歩んでいく二人が、

自分に嘘をつかず、

自分の信じる道を進んでくれることを願っています。

「いつわりのバイオリン」を指導して

パキスタン赴任後、最初の道徳授業

日本人学校に赴任して、初めての道徳の授業を行いました。

対象は中学1年生。

とても深い授業になりました。

「今回も神回だったな」

と。

◆ 正直に言えなかったことはない?

導入では、生徒たちにこう尋ねました。

「本当のことを言わなければいけないと分かっているのに、言えなかったことはありますか。」

二人とも少し考え込んでいました。

すぐには答えません。

でも、

「ある。」

と、小さく答えました。

その瞬間、今日の授業はうまくいくかもしれないと思いました。

◆ 名人フランツと弟子

今回扱った教材は、中学校道徳教材の

いつわりのバイオリン」

です。

物語の主人公フランツは、名高いバイオリン職人です。

ある日、有名な演奏家に渡すはずだった自分の作品が完成していません。

しかし、その時、弟子が作った見事なバイオリンがありました。

フランツは、その楽器が弟子の作品だと知りながら、

まるで自分が作った作品であるかのように演奏家へ渡してしまいます。

弟子は何も言わず去っていきます。

そして年月が流れます。

やがて弟子は故郷で工房を開き、一流の職人として成功します。

一方、フランツの工房は少しずつ寂れていきます。

そんなある日、フランツのもとに弟子から一通の手紙が届くのです。

そこには恨みの言葉はありませんでした。

「今の私があるのは、あの時あなたが教えてくださったおかげです。」

そう書かれていたのです。

◆ 残念だったところ、素敵だったところ

授業では本文を読む前に、

主人公の中で

  • 残念だなと思うところには波線
  • 素敵だなと思うところには直線

を引かせました。

二人とも一致していました。

残念だったところは、

「弟子のバイオリンを自分の作品だと偽って渡したところ」

でした。

やはりそこは許せない。

誠実さを失った場面だと感じたようです。

一方、素敵だと思った場面は、

弟子からの手紙を読んだ後、

フランツが深く反省し、ペンを取ろうとする場面でした。

過ちを認めようとする姿。

そこに人間らしさを感じたようでした。

◆ フランツはなぜ偽ったのか

最初の発問です。

「フランツは、いけないとわかっていながら、弟子の作品渡してしまったときの気持ちはどうだったのだろう。」

男子生徒は言いました。

「有名になりたかったから。」

とても素直な答えです。

女子生徒は少し違いました。

「間に合わなかったから仕方なかったのかもしれない。」

さらに、

「弟子の作品が有名になればいいと思っていたかもしれない。」

とも話しました。

同じ場面を見ても見え方は違う。

◆ 後悔の気持ち

次に聞きました。

「弟子が何も言わず去っていったとき、フランツはどんな気持ちだっただろう。」

すると、

「しまった。」

「取り返しがつかない。」

「謝りたい。」

という言葉が出てきました。

過ちは誰にでもあります。

しかし、本当に苦しいのは、

その過ちに気づいた後なのかもしれません。

◆ あなたなら何と書く?

授業の最後。

私はこう問いかけました。

「もしあなたがフランツなら、弟子にどんな手紙を書きますか。」

男子生徒は言いました。

「本当に申し訳なかった。」

「今頑張っていると聞いてうれしい。」

「これからも頑張ってほしい。」

「あの時のことは忘れない。」

謝罪と激励が込められていました。

女子生徒は、

「有名になったんだね。」

「ありがとう。」

と答えました。

恨みを超えた弟子への感謝を感じ取っていたのでしょう。

◆ 道徳の授業とは

授業後、参観していた先生から

「しぶい。」

と言っていただきました。

うれしかったです。

でも、それ以上にうれしかったのは、

二人が真剣に考えていたことでした。

正直であること。

誠実であること。

そして、

間違えたときにそれを認めること。

人は完璧ではありません。

だからこそ、

過ちの後にどう生きるかが大切なのだと思います。

◆ パキスタンでの最初の道徳授業

赴任して初めての道徳授業。

生徒はたった2人。

しかし、

人数の多さでは測れない学びがありました。

フランツの後悔。

弟子の寛容さ。

そして、人としての誠実さ。

それらを二人と一緒に考えることができました。

教師になって37年。

日本でも、海外でも、

やはり私は道徳の授業が好きなのだと思います。

今回もまた、

私にとっては

「神回」

次はどんな物語が、生徒たちの心を揺さぶるのでしょうか。私は今から楽しみです。

英語教育2026年2月号を読んで

英語教育2月号 大修館書店 February 2026 Vol.74 No.12

第1特集 辞書を引く・読む・味わう 第2特集 足場かけに役立つ授業の小ワザ

【第一特集】

辞書を引く、ぽつ読む、ぽつ味わう

― 書き指導とテンプレート活用 ―

◆ イギリスの子どもはどうやって英語の読み書きを学ぶか

山下かよこさん 第11回:日本でもできる書き指導

イギリスの書き指導では、「何を書くか」だけでなく、**どう構成するか(文章構成)**を明示的に教えます。

書く力は自然に伸びるものではなく、型を通して育てるものという考え方が徹底されています。

▶ 人物紹介テンプレート

物語や説明文、人物紹介は

はじめ・なか①・なか②・おわり の4段落構成で書きます。

  • はじめ:誰の話か
  • なか①:外見
  • なか②:性格・得意なこと
  • おわり:自分の意見・感想

中心に似顔絵+ “This is ~.”

左上=見た目

右上=性格

左下=得意・好き

右下=自分の意見

👉 単語選択式にすることで、語彙負担を下げながら文構成に集中できる

👉 A1レベルでも「書けた!」体験を保証できる

これは人物紹介だけでなく、好きな食べ物紹介、町紹介にも応用可能です。

▶ 時系列文テンプレート

(日記・社会見学レポート)

順序立てて話す際にもテンプレートは有効です。

中心=場所やテーマ

左上=いつ・誰が・どこで・何を

右上=はじめにしたこと

左下=次にしたこと

右下=最後に・感想

👉 「First / Next / Then / Finally」の接続語を自然に習得

👉 話す活動との連動がしやすい

👉 社会見学レポートに即活用可能

テンプレートは思考の足場であり、英語表現を支える枠組みです。

【ICT活用の大技・小技】

第47回 プレゼンテーションWebアプリ

Prezi(プレッツィ)でスライド作成

松村由美さん(長崎県立長崎北高等学校)

Preziは、テンプレート選択+タイトル入力だけで

8割程度のプレゼンが自動生成されるAI対応ツールです。

◎メリット

✅ ズーム型プレゼンでダイナミックな動き

✅ 全体を俯瞰しながら要点を深められる

✅ デザイン性が高い

✅ グラフ・ビジュアルが豊富

✅ スマホ操作・発表者ノート表示可能

✅ ストーリー型プレゼンに強い

△デメリット

⚠ アニメーション種類は限定的

⚠ 操作習得にやや時間

⚠ 起動が重い場合あり

⚠ ネット環境依存

👉 特にスピーチ指導や探究発表と相性抜群

👉 「見せるプレゼン」から「伝わるプレゼン」へ

【第二特集】

足場かけに役立つ授業の小技

◆ 支援の質を高めるための

足場かけ6つの視点

(平田幾江さん・早稲田大学)

足場かけ(Scaffolding)は

Wood, Bruner & Ross (1976) による概念で、

ヴィゴツキーの最近接発達領域(ZPD)が背景にあります。

▶ 6つの視点(要点)

① Recruitment(興味づけ)

→ 学習への参加意欲を引き出す

② Reduction of degrees of freedom(自由度調整)

→ 課題を単純化し選択肢を絞る

③ Direction maintenance(方向維持)

→ ゴールを見失わせない

④ Marking critical features(重要点提示)

→ 大事なポイントを明確化

⑤ Frustration control(つまずき支援)

→ 不安や挫折を軽減

⑥ Demonstration(モデル提示)

→ 具体例で理解を助ける

👉 足場は「助けすぎず、放置せず」の絶妙バランス

👉 生徒の自立を目標に徐々に外す

【実践コラム】

持続可能なコミュニケーションのための

外音化(Think-aloud)

英語が止まる原因は

「頭の中で考えすぎている」こと。

外音化とは、

心の声を言葉に出すことです。

例:

I like sports…

sports… what sports?

Especially, I like baseball.

👉 思考を止めないための技術

👉 会話継続力が大幅に上がる

👉 メタ認知を育てる

外音化のポイント

✔ 相手の反応を予測する

✔ 次の選択肢を声に出す

✔ 日本語混じりでもOK

✔ とにかく止まらない

これは生徒だけでなく、

教師のモデリングが鍵です。

【ミニ英語メモ】

● 冬眠

→ hibernation

● 義理チョコ

Giri-choco is chocolate given in Japan on Valentine’s Day out of social custom rather than romance. It is usually given from women to male co-workers or acquaintances to show appreciation.

さらに詳しく【第二特集】

足場かけに役立つ授業の小技

― 支援の質を高めるために知っておきたい「足場かけ」の6つの視点 ―

(平田幾江さん・早稲田大学)

近年、「足場かけ(Scaffolding)」という言葉をよく耳にします。

足場かけとは、学習者が一人では難しい課題を達成できるようにする一時的な支援のことです。

この概念は、ヴィゴツキーの「最近接発達領域(ZPD)」を背景に、

Wood・Bruner・Ross(1976)によって整理されました。

重要なのは、

👉 支援はずっと続けるものではない

👉 最終目標は「自立」である

という点です。

では、質の高い足場かけとは何でしょうか。

研究では、次の6つの視点が示されています。

◆ 足場かけの6つの視点(実践的要点)

① Recruitment(興味を引きつける)

学習の出発点は、「やってみたい」という気持ちです。

教師は、

  • 身近な話題を扱う
  • 選択肢を与える
  • 成功体験を先に示す
  • 学ぶ意味や価値を伝える
    といった工夫で、参加意欲を高めます。

📌 学習は「やらされる」ではなく「やりたい」から始まる。

② Reduction of Degrees of Freedom(自由度を調整する)

難しすぎる課題は、意欲を奪います。

そこで教師は、

  • 選択肢を絞る
  • 書く量・話す量を減らす
  • テンプレートを用意する
  • 例文を与える
    などして課題を調整します。

📌 「できる範囲」に難易度を下げることが支援。

③ Direction Maintenance(方向性を維持する)

生徒は活動中に目的を見失いがちです。

教師は、

  • 活動のゴールを繰り返し確認
  • 「今どこまで進んだか」を示す
  • 次のステップを明確にする
    ことで、学習の道筋を保ちます。

📌 迷子にさせないナビゲーションが重要。

④ Marking Critical Features(重要点を明示する)

学習者は、どこが大事なのか分からないことがあります。

教師は、

  • 重要語句の色分け・下線
  • モデル文の強調
  • 評価基準の事前提示
    などで、注目点を可視化します。

📌 「ここが大事」を見える形にする。

⑤ Frustration Control(つまずきを支える)

失敗体験が続くと挑戦しなくなります。

教師は、

  • すぐ相談できる環境づくり
  • 小さな成功の積み重ね
  • 失敗を責めない雰囲気
    を意識します。

📌 心理的安全性が学習を支える。

⑥ Demonstration(やり方を示す)

「やり方が分からない」は最大の壁です。

教師は、

  • 実際にやって見せる
  • 良い例・改善例を提示する
  • 思考過程を声に出す(外音化)
    ことで理解を助けます。

📌 モデル提示は最強の支援。

◆ 足場かけの本質

足場かけとは、

👉 助けすぎない

👉 放置しない

👉 必要なときに必要な分だけ支援する

ことです。

そして何より大切なのは、

徐々に支援を外していくこと。

生徒が「一人でできた」と感じたとき、

足場かけは成功と言えます。

◆ 教室での核心メッセージ

✔ 足場は一時的なもの

✔ 目標は自立

✔ 教師は調整役

✔ 支援は段階的に減らす

この6視点を意識するだけで、

日々の授業の「支援の質」が大きく変わります。

足場かけとは、

学習者の可能性を引き出すための設計図なのです。

英語教育2026年1月号を読んで

The English Teachers’ Magazine January 2026 Vol.74 No.11 大修館書店

第1特集 中教審外国語WG発足! 次期課程の課題と論点を考えるー先取りパブリック・コメント第2弾 第2特集 「仲介」活動で高める言語・異文化への気づき

英語教育2026年1月号を読む

― 中間指導・書く前に話す・そしてAI時代の外国語教育へ ―

今月の『英語教育』(2026年1月号、Vol.74 No.11)は、

次期学習指導要領を強く意識した内容で構成されており、

現場の実践と政策的議論の両方を行き来しながら読ませてもらいました。

第1特集

「中教審外国語ワーキンググループ発足

― 次期課程の課題と論点を考える(先取りパブリックコメント第2弾)」

第2特集

「「仲介」活動で高める言語・文化・異文化への気づき」

どちらも、今まさに現場で悩み、試行錯誤している教師にとってタイムリーな内容だと感じます。

リレー連載 第10回

「やり取りの活動の中で生徒の気づきを引き出す」

柿崎伸樹 先生(東京都立白鷗高等学校附属中学校)

今月、最も「これは自分の授業そのものだ」と感じながら読んだのが、この連載でした。

柿崎先生が大切にしているのは、

タスクとタスクの間に入れる「中間指導」。

1回目のタスクの前には、

あえてモデル文や完成形は示さない。

そのため、ペアによっては言いたいことが伝えきれず、途中で止まってしまう場面も出てきます。

しかし、そこにこそ「気づきの芽」がある。

中間指導の焦点

中間指導では、状況に応じて次の3点のどれかに焦点を絞る。

  • 語彙
  • 文法的なエラー
  • 伝え方(言い換え・工夫)

この整理の仕方も、非常に実践的です。

ペアの組み方の工夫

  • 1回目:座席の隣同士
  • 2回目:座席の前後
  • (場合によっては)3回目:斜め

2回目のタスク前には2分間の準備時間を設ける。

この間に、生徒は1回目で言えなかった語を調べたり、中間指導で得た気づきを整理したりします。

「うまく言えなかった経験」

→「気づき」

→「自分で調べ、整理する」

→「もう一度伝える」

まさに、気づきが主体的な学びに変わる瞬間です。

正直に言えば、

「これ、自分がずっとやってきたことを、きれいに言語化してもらったな」

という読後感でした。

イギリスの子どもはどうやって英語の読み書きを学ぶか

第10回 イギリスでの書き指導(コンポジション)

山下佳代子 先生(英国アッシュブルック・スクール

ハイレベル・ティーチング・アシスタント)

ここでも、強く共感したキーワードは

「書く前に、話す」 です。

イギリスの書き指導では、

  • 書く前に自分の考えをもつ時間
  • 他者の意見を聞く時間
  • 書きたい内容を声に出して確認する時間

が、十分に確保されている。

作文に入る前に、

  1. 自分で考える
  2. ペアに話す
  3. 何度か話して整理する
  4. 頭の中で再構成する
  5. そして書く

このプロセスを踏むことで、

子どもたちは驚くほどスムーズに書き始める。

「書けない」のではなく、

「考えが言語化されていないだけ」

という事実を、改めて突きつけられました。

第1特集より

「AIは英語教育を変えるのか」

鳥飼玖美子 先生(立教大学名誉教授)

次期学習指導要領を見据えた議論として、

生成AIに対するワーキンググループの姿勢は、比較的楽観的であることが示されています。

  • 会話練習
  • 英文添削
  • 家庭学習での活用
  • 練習量の増加
  • 動機づけの強化

といった観点から、

AIは英語力・関心・意欲を高める可能性をもつとされています。

特に印象的だったのは、

母語もうまく活用しながら、

自分の言いたいことを主体的に発信するためにAIを使う

という視点です。

次期指導要領で学ぶのは、

Z世代の次、アルファ世代。

完全なデジタルネイティブを前提にした教育設計が、もはや避けられない段階に来ていることを感じます。

読後のまとめ

今月号を通して強く感じたのは、

  • 中間指導
  • 書く前に話す
  • 活動の中で気づきを生む
  • AIは「代替」ではなく「支援」

というキーワードが、

すべて一本の線でつながっているということです。

ちょうど1月26日に研究授業を控えている今、

この号で読んだ内容は、

「理論の確認」ではなく

「自分の実践を裏打ちしてくれる言葉」

として受け取ることができました。

次は、授業の中で

どれだけ生徒の気づきを可視化できるか。

そこを意識して、じっくり見せていきたいと思います。

いくつになっても「ずっとやりたかったこと」をやりなさい。〜人生の「第2幕」のはじめ方〜 It’s Never Too Late to Begin Again!

いくつになっても、「ずっとやりたかったこと」をやりなさい。〜人生の「第2幕」のはじめ方 It’s Never Too Late to Begin Again. ジュリア・キャメロン/エマ・ライブリー著 菅 靖彦 訳   SUNMARK Publishing

最近、『いくつになっても、ずっとやりたかったことをやりなさい ― 人生の第2幕の始め方 ―』という本を読みました。

英語タイトルは “It’s Never Too Late To Begin Again”。

著者は ジュリア・キャメロン & エマ・ライブリー、翻訳は 菅靖彦さん、サンマーク出版から出ています。

ジュリア・キャメロンと言えば、世界的ベストセラー『ずっとやりたかったことを、やりなさい』で有名ですが、今回は 「定年後・セカンドライフのためのクリエイティブ回復本」です。

仕事という時間の枠から解放されたとき、人は自由になるはずなのに、逆に時間を持て余し、何もできなくなってしまう──そんなリアルな現実に対して、この本はこう語ります。

「遅すぎる、なんてことは決してない。」

むしろ、人生の後半だからこそ、やっと本当に自分のための時間が持てる。

ならば、やりたかったことを始めよう。

演劇でも、楽器でも、脚本でも、文章でも、アートでも──「今さら」なんて言葉は必要ない、と強く背中を押してくれます。

創造性を取り戻すための3つのツール

この本の核となるのが、ジュリア・キャメロンおなじみの3つのツールです。

① モーニングページ

朝いちばんに、手で、ただ書く。

数ページ、思うまま。誰にも見せない、振り返らない。

ただ、頭の中の声を書き出す。

「脳を掃除するための時間」

これがキャメロンの表現です。

頭の中に溜まっている不安・心配・どうでもいいことまで全部吐き出す。

だからこそ、自分の本音が見えてくる。

とても地味だけど、ものすごく力のある作業だと感じました。

私自身、5年日記を書いていますが、これはまさにモーニングページの役割を果たしてくれているのではないかなと思います。

② アーティスト・デート

人は誰でも心の中に「インナーチャイルド(内なる子供)」を持っている。

その子を喜ばせるための 週1回・1人だけの小さな冒険。

・海まで日の出を見に行く

・子どもの頃好きだった絵本を探しに行く

・ライブや美術館に行く

・知らない街を散歩する

目的は一つ。

「心の中の想像の井戸を満たすこと」

私の場合、時々行くライブやスポーツ観戦が、まさにこの役割を果たしていると感じました。

③ ソロウォーキング

ただ歩く。

健康のためではなく、心を開くための歩行。

景色、風、音、人の気配──それが思いがけないひらめきを連れてくる。

私は毎日のジョギングがこれに相当します(今は腰の問題で休憩中ですが…)。

「足を動かすと、頭も動き始める」これは本当に実感します。

「手書き」は創造性のスイッチ

この本の中で印象に残ったのが、手書きの力についての記述でした。

「手書きはより多くの神経回路を開く」

殴り書きでもいい。

形になっていなくてもいい。

とにかく書くことで、思考が解放される。

これは確かに、文字を打つのとはまったく違う感覚があります。

心に残った言葉たち

本の中には、人生後半を生きる人に響く言葉がいくつもありました。

息をしている限り、何か良いことをするのに遅すぎることはない。

すべての人が天才である。

しかし木登りで魚を評価すれば、魚は一生「自分は愚かだ」と思い込むだろう。(アインシュタイン)

特別支援の子どもたちと関わる教育の現場にも通じる言葉です。

「評価の枠」だけで人を測ってはいけない。

人にはそれぞれ輝く場所がある。

そして一番大事なこと

キャメロンはこう言います。

成功には2つの方法しかない。

1つ目は始めること。

2つ目は続けること。

実にシンプル。

でも、本当に難しくて、そして本質です。

さらに、彼女は 「シンクロニシティ(意味のある偶然)」 について語ります。

ただの偶然ではなく、動いている人にだけ訪れる偶然。

モーニングページを書き、歩き、心を開くことで、そういう偶然に気づけるようになる。

これは「運」ではなく、「準備された心が見つける必然」なのだと感じました。

私自身の今へのつながり

読みながら何度も思いました。

「ああ、自分はすでに結構やっているじゃないか」と。

日記を書き、ライブに行き、走って、挑戦して、まだまだ学びたいこともある。

定年が近づいてきても、人生は縮小していく必要なんてない。

むしろ、ここからが「第2幕」。

まとめ ― 遅すぎるなんて、誰が決めた?

この本は、

●第二の人生を前にして戸惑っている人

●「もう無理だろう」とどこかで諦めてきた人

●心の中にまだ火種がある人

そんな人の背中を、やさしく、でも力強く押してくれます。

人生は、

終わりに向かってただ消費するものではなく、

自分をもう一度つくり直すチャンス なんだと教えてくれる一冊でした。

私もこれから、

自分の「やりたいこと」にちゃんと名前をつけて、

小さな一歩を踏み出していきたいと思います。

英語教育2025年12月号を読んで

The English Teachers’ Magazines 大修館書店 December 2025 Vol.74 No.10

第1特集 生成AI時代に考えたい 課題の出し方・取り組ませ方 第2特集 「想定外」にどう対処する? 授業内のタイムマネジメント術

生成AI時代の課題設計と、学びを支える「小さな仕掛け」

今月号の『英語教育』(2025年12月号)は、

生成AI時代における課題設計と、授業を円滑に進めるための具体的な工夫が随所に詰まった一冊でした。

「なるほど」「これはすぐ使える」と思うポイントが多く、読んでいてとても実践的でした。

1. イギリスの子どもはどうやって英語の読み書きを学ぶのか

山下桂世子さん(英国Ashbrook School High Level Teaching Assistant)

まず印象的だったのが、すぐに使える基本ルールの確認教材です。

イギリスでは、子どもたちが書くときのルールを、指を使って視覚的・身体的に理解させる工夫がされています。

指を使った「書くルール」の整理(図示)

今月号の『英語教育』(2025年12月号)は、

生成AI時代における課題設計と、授業を円滑に進めるための具体的な工夫が随所に詰まった一冊でした。

「なるほど」「これはすぐ使える」と思うポイントが多く、読んでいてとても実践的でした。

1. イギリスの子どもはどうやって英語の読み書きを学ぶのか

👍 親指:文のはじめは大文字(Capital letter)

☝️ 人差し指:単語と単語の間は指1本分あける(Finger space)

🖕 中指:だれが(Who)

💍 薬指:どうする(Does)

🤏 小指:なにを?(What)

👉 Who → Does → What の順で考える

👉 指を見れば、文の形が自然と頭に入る

この方法の良さは、「説明しなくても分かる」こと。

特に低年齢の学習者にとって、抽象的な文法説明より、身体感覚と結びついたルールは非常に有効だと感じました。

2. ICT活用の大技・小技 第40回

Webアプリ”TWEE”で4技能学習を促進

松村友美さん(長崎県立長崎北高校)

次に紹介されていたのが、Webアプリケーション TWEE。

特に注目したのは、ESL Lesson Plans の使い勝手の良さです。

ESL Lesson Plansの特徴

  • 紙の指導案ではない
  • クラスで共有するだけで、動画・音声中心の授業がすぐ始められる
  • 生徒が親しみやすいテーマが多い
  • Netflixの人気海外ドラマを扱った教材もある
  • 授業時間が明記されていて使いやすい
  • 生徒はタブレットで回答 → 教師はその場で確認可能

「動画や音声を使いたいけど、準備が大変」という悩みを、かなり軽くしてくれるツールだと思いました。

そのほかの便利な機能

  • 導入用の会話文作成機能
  • 音声・動画の文字起こし機能
    → URLを貼る or 音声ファイルをアップロードするだけ

文字起こしは、リスニング指導やスクリプト作成で特に重宝しそうです。

3. 私たちの英語表現収集ノート 第9回

山崎竜成さん(予備校英語講師)

「意味を検索に落とし込む」という視点が面白い回でした。

紹介されていたのが、Xam という入試問題データベース。

単語の意味をただ覚えるのではなく、

実際にどう問われ、どう使われているかを軸に表現を集めるという考え方は、

入試指導にも表現指導にもつながる視点だと感じました。

4. SLAで答える指導の疑問 第9回

ICTを活用した学習は本当に効果があるのか

鈴木 渉さん(宮城教育大学 教授)

結論はとてもシンプルで、強く共感しました。

「見るだけにしない」

動画視聴だけで終わらせず、

  • メモを取らせる
  • 要約させる
  • 説明させる
  • 意見を言わせる
  • 絵で表現させる

こうした能動的アウトプットを組み合わせることで、

理解と記憶の定着が高まると述べられています。

これはまさに、私が日頃行っているペアワークの考え方そのものです。

特に大切なのは、

「あとでアウトプットするよ」と伝えた上でインプットさせること

インプットの質がまったく変わります。

5. 第1特集

生成AI時代に考えたい「課題の出し方・取り込ませ方」

ここで整理されていたのが、

モチベーションとエンゲージメントの違いです。

  • モチベーション
     なぜその行動を起こすのか(理由)
  • エンゲージメント
     どれだけ没頭しているか(状態)

ゲームで例えると

  • モチベーション:友達と競いたいから始める
  • エンゲージメント:始めたら時間を忘れるほど夢中

教師の役割は、

モチベーション → エンゲージメント → 学習効果

この流れを意図的に作ることだと整理されています。

モチベーション課題のポイント

  • やる意味がある
  • 自分にもできそう
  • 成功がイメージできる

例として、

ディベートが苦手な生徒に、ChatGPTを「練習相手」として使わせる

というアイデアが紹介されていました。

👉 ただし「頼りすぎない」

👉 あくまで**足場(scaffold)**として使う

このバランス感覚は非常に重要だと思います。

エンゲージメント課題のポイント

エンゲージメントは4側面から捉えられます。

  • 行動的:参加している
  • 認知的:考えている
  • 感情的:興味を持っている
  • 社会的:互いに関わっている

インフォメーションギャップやオピニオンギャップを使った

ペア・グループ活動は、まさにこの4側面を同時に満たします。

6. 学びのあるライティング課題のための生成AI活用

山下美朋さん(立命館大学 教授)

ChatGPT-4.0を使った英文添削プロンプト例が紹介されていました。

「どう指示を出すか」で、AIの出力の質が大きく変わる点が分かりやすく整理されていて、

ライティング指導にすぐ応用できそうです。

7. 第2特集

想定外にどう対処するか ― 授業内タイムマネジメント

子どもの姿から逆算する授業計画

南 勇輔さん(宇都宮大学附属小)

印象的だったのは、

「どんな振り返りを書いてほしいか」から授業を設計する

という考え方。

そこから、

  • 目当てを決める
  • メイン活動を決める
  • 時間配分が見えてくる

という流れがとても腑に落ちました。

ペアワークをスムーズに始める工夫

遊馬智美さん(お茶の水女子大学附属高校)

ポイントはシンプル。

必ずジャンケンから始める

「どっちから話す?」で止まらない。

負けた方からどうぞ。

分からないときは勝てばいい。

この小さな工夫が、授業全体のテンポを支えているのだと改めて感じました。

おわりに

今月号を通して感じたのは、

生成AIもICTも、そしてペアワークも、すべてに共通するのは

「学習者が考え、関わり、没頭する時間をどう作るか」

という一点です。

派手な技術よりも、

小さな仕掛けと、明確な意図。

この積み重ねこそが、

生成AI時代の英語授業を支えていくのだと感じた一冊でした。

英語教育2025年11月号を読んで

英語教育2025年11月号 The English Teachers’ Magazine November 2025 Vol. 74 No.9

第1特集 指導に活かす・視野を広げる 英語教師が読んでおきたい基本図書 第2特集生成AIを活用した授業づくり 知っておきたいポイントと実践例

AIを活用した授業づくり──知っておきたいポイントと実践例

1. イギリスの子どもたちはどうやって読み書きを学ぶのか

山下佳代子先生(第8回 イギリス・英語書き指導)

最初に興味深かったのが、イギリスの子どもたちの「Transcription(音声に沿った書き取り)」の指導法です。

子どもが “IS” を 発音記号 [ɪz] に従って “IZ” と書いても、教師は訂正しません。
まずは「音の通りに書くことを奨励する」段階を大切にしているからです。
その後、少しずつ正しい綴り(IS)を教えていきます。

スタンプ(大文字・period・スペース・phonics)は、
教師が子どもの書き取りを確認し、
「どの部分ができていて、何を意識すべきか」を共有するためのもの。
子どももそれを見て、自分が次に何を頑張ればいいのかが分かる仕組みです。

2. 生成AI活用術研究所 第20回「初級編:生成AIを学習に活用しよう」

豊島正隆先生(工学院大学教育開発推進機構 兼任講師)

今回特に注目したのは、ChatGPTに搭載されている「学習モード(Learning Mode)」。

通常のようにすぐに答えを提示するのではなく、
あえてヒントや問いかけを返すことで、
学習者自身に考えさせる仕組みになっています。

この“待つAI”の設計は、まさに主体的・対話的な学び(アクティブラーニング)そのもの。
教師のファシリテーションの感覚に近く、今後の授業デザインにも応用できそうです。

3. SLAで答える指導の疑問

「言語活動中心の授業では練習は不要?」

文法ドリルや音読練習は「実際のコミュニケーションとかけ離れている」と言われがちですが、SLA(第二言語習得)の立場では、むしろ練習こそが言語活動の土台であるとされています。
    •    練習と活動の違い:
 自分の考えや伝えたい内容があるかどうか。
    •    分散学習のすすめ:
 毎回少しずつ繰り返すことで、記憶が長期定着する。
    •    練習の目的意識化:
 「この練習はAという場面で自分の意見を言うため」と共有する。

練習はゴールではなく、言語活動で“使うため”の準備。
この視点を忘れないことが重要です。

4. 英文法解説の小技から

木原史隆先生(日本大学元教授・非常勤講師)

板書で進行形に線を引いたり、色を変えて強調しても、それだけでは理解は深まりません。
むしろ**「その文の次にどう続くか」**を示すことが教師の力量。

例:I’ve got my plane ticket.
→ この表現をどう“生かせる”かを2文で教える。

江川先生の言葉を借りれば「2 sentences 主義でいこう」です。

5. 推薦図書
    •    『英語教師のための教育データ分析入門』
    •    『SPSSでやさしく学ぶアンケート処理』

特に後者は、論文執筆や量的調査の基礎を固めるのに最適。
データ分析力が今後の授業研究の“武器”になりそうです。

6. AIを活用した授業デザイン実践例

「入試リーディングの指導をAIで個別最適化」
林直寛先生(京都府立峰山高校)

林先生の実践では、ChatGPTに以下のようなプロンプト設計を行っています。

🔹設定内容の概要
    1.    役割:英語教師
    2.    出題内容:大学入試共通テストレベルの読解問題を自動生成(400語以上)
    3.    ジャンル選択:パンフレット/議論/ブログ/物語/エッセイ/メール/論説文 など
    4.    難易度選択:CEFR A1〜B1まで(選択肢の言い換え度で調整)
    5.    出題数選択:ユーザーが選択
    6.    回答後:正答・解説・語彙文法ポイントを日本語で提示、全文訳も表示

ポイント:正解の記号(A〜D)が偏らないように設定。
こうしたプロンプトを通して、生徒一人ひとりに最適な問題を生成できます。

7. 教員がAIアプリを自作できる!

「DIFY(ディファイ)」プラットフォーム

林先生は、AIアプリ開発プラットフォーム DIFY を用いて独自アプリを作成。
    •    5つまで無料で作成可能
    •    言語モデルの選択・API設定も柔軟
    •    生徒はログイン不要でリンクをクリックするだけで利用開始
    •    対話ログが保存され、学習履歴の振り返りも可能

DIFYの無料枠を使う場合は、API利用制限や規約を確認する必要がありますが、
教師が独自の教材AIを構築できるという点で非常に実践的なツールです。

🔗 DIFY公式サイトはこちら → https://dify.ai

📱 林先生のブログ「SETSブログ英語教員@AI活用術」にも実践記録が掲載されています。

まとめ:AI×英語教育の未来へ

AIが教師の代わりをするのではなく、学びの構造を支えるパートナーになる。
音声認識、読解生成、語彙フィードバックなど、多様な機能が生徒の“考える力”を支え始めています。

本号を読んで感じたのは、どの実践にも「人の学びを支援するAI」という一貫した思想があること。
AIは“答えを出す道具”ではなく、考えを引き出す鏡。
これからの授業デザインに、その思想をどう取り入れていくかが鍵になりそうです。

英語教育2025年10月号を読んで

『英語教育』2025年10月号 大修館書店 The English Teachers’ Magazine October 2025(Vol.74 No.8)

テーマ:10/13は“失敗の日”——失敗を生かして授業を改善する

今月号の拡大特集は「10月13日=失敗の日」。
“失敗を材料に授業を良くする”という視点が全体を貫いていて、現場感のあるヒントが満載でした。とくに印象に残った記事を、私の授業実践の視点でメモしておきます。

1 ビリギャル本人・小林さやかさん「失敗の受け止め方」

キーワード:学習は“複利”/一夜漬けより“10分×何度も”

学習は“複利の板波”。最初の成果は小さくても、続ければ何十倍にも広がる。だから“一夜漬け”ではなく、“少しずつ、何度も”が正解。

スピーチや表現活動の指導でも、私が常に言っている「10分×反復」と完全に一致。
“短時間×高頻度”が、発話の滑らかさ・語彙の想起・自信を底上げします。

2 奥住 桂(埼玉大学 准教授)

すべての教員PCに“公費で”適切な英字フォントを

“手書きに近い読みやすい英字フォントを、先生が個人負担ではなく公費で導入すべき”という提案。
Comic Sansで代用すると Y / l / 1 などの形が学習用表記として微妙にズレる問題がある、という指摘に深く同意。記事では例としてサスン(Sassoon)系や、私自身も使用している**モリサワ「UDデジタル教科書体」**が挙がっていました。

3 三仙 信也(福井県立藤島高校)

「ディベート指導」の4つの誤解をほぐす

    1.    試合まで辿り着けるか? → 試合の可否がゴールではない
    2.    原稿準備が難しい → 全文原稿ではなく“キーワード”で話す練習
    3.    イベント化で進度が不安 → “必要な内容を学んだ後の短尺実践”で十分
    4.    文献調査の負担 → 検索時間は“活動設計”で区切る(浪費しない)

「ペア」「トライアングル(3人)」など小さな単位にディベートのエッセンスを埋め込むのが肝。
“話すための原稿”は箇条キーワード+マッピング/ラベリングで即興性と聞きやすさが両立します。

4 佐藤 誠司((有)佐藤教育研究所)

「大事なことを先に言う」——作文とスピーキングの共通原則

Did you do anything last Sunday?
Yes, I spent half of the day collecting trash on the beach in a volunteer group.

“海岸でボランティアが集まって…”という状況説明から始めず、**要点(半日かけて清掃)**を先頭に。
書く・話すの順序は固定ではなく、双方向にトレーニングするのが理想。
豆知識:ハッピーセット=Happy Meal。

5 近藤 公哉(埼玉県立坂戸西高校)

生成AIも活用:描写課題で“書く力”と意欲を底上げ

描写課題は英検面接の準備だけでなく、ライティングの有効な足場。
ここで紹介されていた Sadiyah(2011) の研究が非常に示唆に富むものでした。

◆Sadiyah(2011)の研究概要(詳細)

インドネシアの公立高校に通う英語学習者28名を対象に、描写課題(Descriptive Writing Task)が英作文能力と学習動機に与える影響を検証した実践研究です。
    •    目的:
 絵やイラストを基に英作文を書く活動が、学習者の語彙力・文法力・内容展開・学習意欲にどのような変化をもたらすかを調べる。
    •    方法:
 対象生徒を「描写課題実施群」と「通常作文群」に分け、約6週間にわたって授業実践を実施。前後テストとアンケート調査を行い、文章量・語彙の多様性・文構造・感情面の変化を比較。
    •    結果:
 描写課題群では以下の変化が見られました。
 1. 1回あたりの作文語数が平均30%増加。
 2. 形容詞・副詞の使用率が上昇し、文がより具体的・生き生きとした描写に。
 3. 82%の生徒が「絵があると書きやすい」と回答。
 4. “英語を書くことは楽しい”と感じる学習者が増加。
    •    考察:
 Sadiyahは、イラストを基にした作文活動は、学習者の想像力を刺激し、言語使用の幅を広げるとともに、心理的負担を軽減して“自分の考えを英語で表現する第一歩”になると結論づけています。
 また、形容詞・動詞のバリエーションが増えることで、文法学習と創造的表現の橋渡しにもなると指摘しています。

◆現場での応用アイデア
    1.    1枚絵(または生成AIで作成)を提示
    2.    形容詞5語→文3つ→ミニ段落の順で拡張
    3.    30秒口頭要約→60秒で段落清書

絵を活用することで、生徒が自分の表現を視覚的にイメージしやすくなり、結果として「英語で書けた!」という成功体験を増やせます。

まとめ:失敗は“設計”で学びに変わる
    •    小さく、何度も(複利の発想)
    •    環境=見やすいフォントで学びを後押し
    •    勝敗より過程(小単位でディベートの核を回す)
    •    要点先行で伝わる英語
    •    絵の力+AIで“書けた”の成功体験を増やす

今号は、「失敗を恐れない設計」と「学びやすい環境整備」が、結局は生徒のエンゲージメントを押し上げるという示唆に満ちていました。