津市教育研究会ブロック別研修会 上越教育大学教授 赤坂真二 先生
12月24日に突然回覧が回ってきて、この冬休み中にビデオ視聴するとのこと。元々教委時代にこの教育研究会の仕事をしていたので、コロナ禍で運営は大変だろうなと思いながら、見てみることにした。
まず、学級経営とは、教師と生徒との人間関係を高めることである。
しかし、現場ではたくさんの課題がある。発達障がい、家庭環境、多忙化による意思疎通の希薄さ、若手教員増による中堅ベテラン教員のサポート薄、名人芸盗む余裕がない、など。
学級経営には定義はなく、大学でもそれに関して勉強する授業はほとんどなく、大学で教えられていないのに、現場ではかなり重要度の置かれる仕事である。学級経営は大切だと言われているのに、無免許運転状態。
内発的学習→楽しさ、満足 内発的学習に向けるには、「自己決定性」、「有能感(やれるかも!?)」、「他者受容感」が必要になってくる。
意欲を育てると、適応できるようになる。学級の実態によって、教育効果が全く異なる。
集団成立の必要条件とは、「ルールの確立」である。規律とルールを集団内で共有されている状態が必要条件である。「リレーションの確立」内面的な関わりを含む親和的な関係づくり。
織物モデルとは、文化の尊重と伝統秩序(縦糸)、教師と子ども同士の心の通い合い(横糸)。これらが適切に編まれている状態。
集団育成の手順 共同的問題解決能力の高い生徒の割合を増やすこと。心理的安全性を補償すること。特に後者については、「自分らしく働くこと」、「自己認識、自己関係、自己表現できる」環境を創ること。教師のリーダーシップは、メンバー一人一人が安心して、自分が自分らしく、そのチームで働ける」環境を創ること。それが、「心理的安全性」につながる。
これからが、私も常々思っていることで、ぜひ実践したい、実践して欲しいことである。しかしながら、この話をしてくれるのは赤坂先生が初めてである。だからこそ、嬉しい。自分が実践してきたことを理論づけて話をしてくれているからである。
信頼感を高める教師のリーダーシップ 情報は感情のフィルターを通る。発信者→好き嫌い→受信者 好かれるということも、実は大切な要件。何を言うかではなく、誰が言うか。指導力の高さ=子供との信頼関係の高さ(→❌圧力、強制(言いなり)指導は、無力の積み重ね)
先生の強みとは何か。先生サイドから考えるのではなく、生徒サイドから考えれば、それは、「理想の先生像」である。1位 わかりやすい授業 2位 自分たちと何でも一緒にやってくれる 3位 やる気を出させてくれる 4位 一緒に何でもやってくれる 5位 進路指導、教育相談をしっかりやってくれる。
求める教師像 「できるようにしてくれる先生」より「つながってくれる先生」の方が良い。それは、「自分に向き合ってくれる」、「授業の上達には時間がかかるから子どもたちは先生の上達を待ってくれない」からである。
やる気の条件 チャレンジさせるためには、橋渡し(スキャフォールディング)が必要。そして、安心感が必要。スキャフォールディングと安心感を与えてくれる先生が必要。安心感を与えてくれるのは親や保護者でなくてもいい。安全基地を創ること、それは、①いつも一緒いる(存在の安定性、持続性)②身体情緒のケア(生理的、感情の安定性)③情緒的な投資(定常的関心)愛情を注ぐ
つながる先生=やる気を引き出す先生
ジェフリー・シャボルノー(2013年全米優秀教員)「生徒一人一人の個人的人間関係が全て」
やる気を引き出す先生の授業 教師が生徒は関心を持っている(好意を持ち、生徒のニーズに共感(それに答える)と感じる時、生徒の学習意欲は高くなる。そのような関与を感じjないと、生徒は不満を感じる。
最も強力な動機付けツール 【人柄】と【日常行動】 人に好かれる性格(明朗や親しみやすさ、感情的成熟、誠実さ、精神的健康)
好意を伝える教師 ①子供たちに関心を向け、それを楽しむ ②親しみのある呼称 ③言葉や態度が暖かい ④子どもたち一人一人を知る時間を取る ⑤子どものバックグラウンドを知る ⑥鬼滅の刃 ⑦自己開示をしている(自分のバックグラウンドを開示する、興味、感心、考えの共有)【リーダーは予測可能な人】 ⑧生徒同士が知り合う機会を設定する
「どうやるか」ではなく、「どう(一緒に)いるか」
集団指導に成功する教師と失敗する教師の違い 2(支持層):6(中間層):2(非支持層) 中間層を味方につけている。8割を味方にしたら、クラスは崩れない。8割を味方につける教師が非支持層をつなげる力を持つ。非支持層は相手にせず、支持層を褒める。適切な好意を褒める。
うまくいかない教師 ❌コミュニケーション量が足らない、しゃべっているけど聞いていない。叱っているけど、褒めていない。
うまくいく教師 🟡全体を見て、褒め上手である(「ありがとう」)、うまくやっている人は、見るべきところを見つけて褒める。あなたのやっていることは、日々役立っている。「褒めて育てよ」→叱ってはいけないのか?
黄金比 褒める4:3叱る
褒めてばかりではいけない、叱らないと褒めることが浮き立たない。positiveには、negativeが必要。
赤坂先生のご著書はたくさん出版されているので、上の2冊は少なくとも読んでみようと思う。特に、アドラー心理学の方は、先生の考え方を聞いていて、やはりアドラーの考え方に似ているなと思っていたので、読んでみたいと思う。