「自分の弱さと戦え」を指導した

紆余曲折あって、担任ではなく、私が指導することになった。

この学年(2年生)には飛び込みで入ったので、どんな道徳になるか期待していたが、正直、1年で数回しか巡り会えない「神回」だった。

子どもたちの発言が素晴らしかった。

「自分の弱さと戦え」というタイトルで、車椅子テニスプレーヤーの国枝慎吾さんのお話しである。

オリンピックや世界大会で金メダルをいくつも獲得した国枝さんは、もう超える壁がない所までたどり着いてしまい、自分を見失う中、実は自分は今、超える壁がないという壁に阻まれていることに気づく。そして、敵と戦っているのではない、自分と戦っているのだということに気づく。アンクインというメンタルトレーナーと出会い、自分を超えられないから自分に自信が持てない、自分の弱さを克服できないことを思い知らされる。そのことを認識してからは、再び世界の第一戦で活躍できるようになった。

授業冒頭で、「あなたの弱さはどこですか?」と質問。最初から下ネタで返してくる生徒がおり閉口。しかし冒頭だったので我慢して気を取り直して授業を続行。「人を見下すことがある」、「勉強が嫌い」、「思ったことが言えないので、後から悔やむことが多い」など、弱さを曝け出してくれる生徒が多かった。

中心発問は、「・・・『精神面の殻が破れた瞬間だった』とあるが、国枝さんにとって精神面の殻を破るとはどういうことか」であった。アイウエオの部屋に分けて、考えさせた。たくさんの意見が出た。「国枝さんは自分と向き合っていなかったので、向き合えるようになった瞬間」や「自分の弱さに気づけた瞬間」。すかさず、自分に返すように仕向けると、自分のことを語ってくれる人が多かった。

みんなも一人一人の発表を体を向けて聞いてくれており、発表が終わると拍手をしてくれ、こっちがたくさん勉強させてもらい、感動してしまった。

私も負けてはいられない。もっと道徳を頑張ろう。

生徒諸君、神回をありがとう。