英語教育4月号を読んで

英語教育4月号(大修館書店)May 2022 Vol.71 No.2

第1特集 授業で・生徒との関係づくりで 春4月にしておきたいこと 第2特集 早めに気づきたい 児童生徒の困りと特性 各種アセスメントを活用して

気づきー観察ー確認ー介入におけるアセスメントの意義 群馬大学教授 飯島睦美)

個別アセスメントを実施し、知力に問題がない場合、個人内差、つまり個人の中での認知の強弱を把握し、さらなる手立てに生かす。学習場のつまずきは、自尊心さえも低くしてしまう可能性が高いため、なるべく早い段階で気づき、介入できることが望ましい。

評価に直結する定期試験の他に、形成的評価となる小テストなどが日常的に授業中実施される。学習者の学習状況をモニターし学習を促進するためのものであり、総括的評価となる定期試験を待たずに、学習者のつまずきに教師も学習者も気づくことができるチャンスである。例えば、授業最初に診断的テストとしてプレテストを行い、授業で扱う知識や技能へのレディネスを学習者、教師が把握し、授業終了前にポストテストとしての小テストで、学習内容理解を確認し、不十分な点を把握する。

カタカナにつまずきが観察される児童は、アルファベット文字の習得でも弱さがあることが予想される。

手作りの統合的な言語活動のすすめ 福島県教育センター指導主事 大須賀心綾

評価発問とは、学習者の意見等を問う発問です。そのポイントとして、3つ。①教科書本文の内容に関係していること ②母語でなら全生徒が何かは言えること ③生徒の意見に偏りが出ないこと 

コンテクストの設定としては、次の3点を順に考えていくこと。①相手 ②場面(または状況) ③目的 「他言語を話す同年代の友人との(相手)、SNS上でのメッセージのやり取りの場面において(場面・状況)、友人の質問に回答する(目的)」を、言語活動のコンテクストとして設定することにする。コンテクストを具体的に提示することで、主体的・対話的で深い学びの実現の鍵とされる見方・考え方が働くからである。コンテクストがあることによって、言語活動の真正性が高まることも期待される。

コンテクストの提示例 Activity 5(Reading-Writing integration) Cotext: In activity 5, you are Saki, You have a friend living in Singapore. Her name is Maggie and she is a high school student too. She studied at your school before, and you and she have been chatting on an SNS since then. Today, you got a message from her. Read it and reply to her in English.

見方・考え方について 何を伝えるかだけでなく、どのように伝えるかが大切。それまでに獲得してきた知識や人生経験を総動員し、相手の文化や置かれている状況に配慮しながら、伝えるべき情報を形成・再構築するという、いわゆる「見方・考え方」を働かせることになります。暗記再生やドリル的な要素の強い言語活動では、見方・考え方は働きません。コンテクストを明確にし、生徒の思考・判断・表現を促す量デザインされた言語活動の中でこそ、見方・考え方が効果的に働き、深い学び、ひいては脂質・能力の育成へと繋がる。

私のメモ 

英英辞典は、初級学習者用のOxford Essential Dictionaryを参照にする。teacher beliefとは、「授業を作るために教師が持つ基本的な判断基準」(玉井、他、2019) インテイクとは、インプットとして理解した語彙・表現や文法をさまざまな音読活動等を通じて、アウトプットとして使える「準備のできた状態」にする段階。

ラジオビジネス英語2022年3月号を聴いて

Imagine you won the lottery for 10 million dollars. How would you spend that amount of money?(宝くじで1000万ドルが当たったとします。みなさんはその金額をどのようにつかいますか。)What if you were given an opportunity to live in your favorite city on earth? Which city would you choose and why?(地球上の好きな都市に住む機会を与えられたらどうしますか?みなさんはどの都市を選びますか。そしてその理由は?)”Success is not final, failure is not fatal : it is the courage to continue that counts.” That’s a famous quote by Winston Churchill.(「成功は最終的なものではなく、失敗は致命的なものではない。重要なのは続ける勇気である」。これは、ウィンストン・チャーチルのよく知られた名言です。

現地での体験やパーソナルストーリー(30秒を目処としてコンパクトにまとめる)

When I arrived in San Francisco yesterday, I was picked up by a taxi. I was a bit tired after the long flight, but the driver happened to be very talkative. He started talking about himself and each of his family members, and then about his relatives. By the time I arrived at the hotel, I had been able to draw up his family tree in my head. And I thought: Ah, this is America! I love this kind of openness. Now, ladies and gentlemen, …

One day, I flew from LA to London on a US airline. I was seated on the aisle. As a flight attendant walked by, she bumped pretty hard against my elbow. Can you guess what she said to me? ”Careful, honey!” with a big smile on her face. I didn’t know how to react. If it had been a Japanese airline, she would have apologized. At that moment, I realized friendliness is more important than politeness in the US.

メモ

The rest is history.(あとは知ってのとおりです。)perseverance and commitment(根気強い努力と積極的な取り組み)This leads me to my next point.(これが次のポイントにつながります。)Let me go back to what I mentioned earlier about our digitalization strategy.(先ほどのデジタル化戦略についての話に戻りましょう。)As I said at the beginning, the protection of natural ecosystem is at risk.(冒頭に申し上げたとおり、自然の生態系の保護はリスクに晒されています。)We’re running short of time.(もう時間がありません。)takeaways(宿題)

お祝いの気持ちを伝える

I wish you all the best in your role. Please give me my best regards to Amanda.

英語教育3月号を読んで

英語教育3月号(大修館書店)April 2022 Vol.71 No.1

第1特集 年度の振り返り&スタートに 児童生徒の声を引き出すアンケート作成・活用術 第2特集 「高校英語新課程に備える・第3回」 課題を自ら見出し解決へ 学ぶ力を培う「探究」活動

小学校へのアンケートー尋ね方のコツと注意点 物井尚子(千葉大学教育学部教授)

質問文が児童の回答に影響を与えるかを調査したところ(物井,2014)、児童は問いの文言に回答が引きずられやすいことがわかった。同じ児童に「英語の時間に、グループで英語を話すのはリラックスしてできます」「英語の時間にグループになって英語を話すとしたら緊張します」とそれぞれ肯定的、否定的表現で同じような問いを尋ねたところ、それぞれの回答の相関が低くなった。つまり、問いの作り方によって、児童の回答はある程度、誘導されてしまう。言い回しに気をつけたい。「楽しかった」「役に立った」「できた」など、肯定的な表現ばかり、もしくは否定的な表現ばかりで尋ねていないか、何度も読み返すことが大切である。選択肢をいくつ用意するかについては、3〜4年生程度になると4件法に対応できる(Pintrich & Schunk, 1996)。

授業力は「書く力」に比例する 教師のための綴り方教室から 第12回 第3章「編集力を鍛える」④「リレー形式」を活かせば、学校が大きく変わる(中嶋洋一 関西外国語大学教授ほか)

「リレー形式」は自己更新の機会を作る 「学習する」とは、「自己更新をする」という意味である。それは過去の自分から受け取ったバトンを未来の自分に渡す「個人内リレー」とも考えられる。中1で「友達紹介スピーチ」という課題で「リレー形式の学習」に挑戦した。最初の原稿を書かせた後、一旦回収し、1週間後にそのまま返却した。そして、その原稿を班で回し読みする時間を作った。ルールは「仲間の英文を読み、わかりにくい部分を見つけてコメントを書く」である。お互いの作品にコメントを書くことでself-involvement(当時者意識)が生まれる。1人が1日1ページ(10行程度)を担当して書き、翌朝、次の人に渡す。教師の指示は「仲間の文章を読み、その内容を広げ、深めること」である。生徒の「書きたい!」という気持ちを引き出すには、教師の意図的な介入が必要だ。このTime-delayed activityは、一旦内容を自分の中で醸成させるので、「自己更新」と「互恵学習」の組み合わせが可能になる。思考を醸成させる「時間差」と、仲間から引き継いだ「責任」の2つが生徒を本気モードにする。授業で大切なのは、知識の授受ではなく、児童生徒との人間関係と「互恵学習」を土台にすることなのである。

英語の文字の指導法 第12回 指導の実際⑧ 手島良(武蔵高等学校中学校教諭)

フェルトペンで手書きしたような感じのフォト(Comic Sans)ですが、文字指導の観点からは断じて避けるべきものです。というのも、字画の構成から見ると、あの忌まわしき活字体と同じだからです。例えば、a,d,g,qはcを書いて一度ペン先を紙から離した後、右画を各筆法になっていますし、kは3画です。ハンドアウトや掲示にも現代体(に近いフォント)を使うことを徹底しなければならない。堂々とComic Sansを使っていた自分が悲しい。

私のメモ 

・3つのP(Presentation-Practice-⑧Production)(p.11) ・教師がやりたい授業ではなく、生徒が受けたい授業に変えること(p.13) ・ ゲーム障害(Gaming Disorder)を新たな依存症として認定している。基準としては、①日常的な活動よりもゲームの優先度が高い、③悪影響が出ているにも関わらず、エスカレートしている、といったことが1年以上継続している ・ディスカッションにおける考える力に関する指導 ① とにかく思ったことを英語で言ってみる(表現や文法が不正確でも、伝わればいいという気持ちで!) ② 主張だけではなく、理由や例を挙げながら自分の意見を述べる(一言で終わらない!) ③ 相手の意見を聞いて、それに対する意見を考えて述べる(その場で考える瞬発力) ・ Is this what I think it is?(僕がそうだと思っているということかな?) ・ 「遊郭編」は”Entertainment District Arc”とされている。arcは物語を複数回に分けて語る時のひとまとまり、「〜編」にあたる表現です。