「英語教師の授業デザイン力を高める3つの力ー読解力・要約力・編集力ー」を読んで 8

「英語教師の授業デザイン力を高める3つの力ー読解力・要約力・編集力」中嶋洋一編著 大修館書店(2023年)

【マスキング】前後の文脈や場面から多様な答えが生まれ、生徒の自由な発想を引き出すことができる。“なぜ“や“どのように”を問う「推論発問」「評価発問」の原点になる。(例)I ………, so / but / because I want to go to Australia. なぜその表現を言えたのか、答えの根拠を示す必然性も生まれ、協働学習につながります。仲間の考えと自分の考えとのギャップに「発見」や「ひらめき」が生まれ、知的好奇心が掻き立てられます。マスキングは、学習を「自分ごと」にし、生まれた“こだわり“は、表現の定着につながります。生徒に知的飢餓感(eager to learnの状態)【生徒が自ら知りたくなる、答えを探したくなる知的にハングリーな状態】を与えられていないことに気づく。

ALTの先生が学校に来ることを楽しみし、(         !)と思えるような学校紹介をすることができる。

こんな感じで「めあて」が作れれば、生徒は知的好奇心や飢餓感が湧くかもしれない。

目標を生徒が自己決定すれば、課題が“自分ごと”になる。生徒に知的飢餓感を与えるマスキングは授業作りの「転(=生徒がハッとするきっかけ)」となる。

マスキングをすると、その過程で「もっと上手く伝えるには?」と生徒は知的にハングリーな状態になり、思考を深めていく。「どこを隠すと生徒が前のめりになるか」という視点で、教材研究をするといい。例えば、My favorite ( ) is …の(     )は生徒が自由に決定する。自分が選んだことは、「頑張って最後までやろう」という自己責任にもつながる。生徒の表現活動を充実させるためには、彼らの「伝えたい想い」を引き出す課題を与えることが大切である。生徒が話したり、書いたりした表現の中に、「自分の想いを伝える言葉」が使われているかどうかを常日頃から意識し、キャッチングするようにする。

目標を自己決定することで、相手意識が高まり、多くの生徒が以前より発話量が増えたことがいちばんの驚きであり、生徒に起きた大きな変化である。

「英語教師の授業デザイン力を高める3つの力ー読解力・要約力・編集力ー」を読んで 7

「英語教師の授業デザイン力を高める3つの力ー読解力・要約力・編集力」中嶋洋一編著 大修館書店(2023年)

【中間評価について】中間評価をする上で大切なことは、「協働学習の要素を取り入れること」である。他者との対話が発達を促すことがあると考える。それがヴィゴツキーの「発達の際近接領域」である。それは、生徒が一人でできる限界と、援助があれば成し遂げられる境界のこと。生徒は周りとの関わりの中で、自分一人でするよりも多くののことができるようになる。「足場かけ」として、少しだけヒントやアドバイスを与えることで、自分の力でできるようになるという考え。大切なのは「足場かけ(scaffolding)」。中間評価でも、足場掛けとして、生徒同士で対話できる場面を設定する。自分一人では気付けなくても、他者からの指摘で気づける場合がある。その場合は、「それぞれ、相手の発表から、真似たいと思ったことを3つ考えて相手に伝えてください。」と言う。

最高のモデルさえ示せば、生徒たちはやる気になると勘違いしてはいけない。必要なのは、やはり教師の「読解力」である。良いモデルを、いつどのように示せばいいかは、学習者の現在地や心理状態を踏まえて、入念に準備する。「負荷」は人をやる気にし、「負担」は意欲を減退させる。

中間評価は行なっている。普段のsmall talkや新しい文法の導入のoral introduction→oral interaction→ペアワーク→発表の時も、3回のペアワークの1回目と2回目に中間評価を入れている。やはりその時の先生のfeedbackがとても大切。スケッチブックプレゼンテーションの時も事前にリハーサルを行い、個人練習→ペア練習→グループ発表(リハ)→全体発表(部分的)で、それら一つ一つが中間発表になっているが、この時に私がfeedbackしないのが、問題点であることがわかった。

【SOSか3Kか?】S(しゃべりたがる)、O(教えたがる)、S(しきりたがる)をSOSといい、あまりいい授業を展開することができない教師のことである。それを、K(自分で気づかせたい)、K(仲間と関わらせたい)、K(自分で決めたい)の3Kにしたいものである。要は、授業を教師による説明ではなく、双方向でのやり取りにすることである。なぜなら、生徒(相手)の「知りたい」気持ちに臨機応変に応えていくからこそ、面白くなるからである。3つめのKのコツは、生徒が自己決定できる場面を作るには、選択肢を用意することである。3Kを生かした授業作りができるようになるには、教師の読解力が求められる。生徒が話したいと思うことや、どのような対話になるのかを予想できるのは、普段から生徒と対話する場面を設定し、生徒一人ひとりの様子を把握しようとしているから。

対話ができていない。Oral Introductionの後のOral Interactionの時だけである。ただこの時は、生徒もとても楽しそうである。やはり、このような「やり取り」が大切なのであることがわかる。そう言えば、本文の読解をさせるとき、”Oh~”, “Well~”, “Ah~”などを訳させていたことがあった。日本語にできないだけに、「これはどう言うことを言いたいのか?」と発問すると、目を皿のようにして教科書を読んでいたことを思い出した。活動も文法事項をそのままやらせるのではなく、「ALTに手紙を書く」や「ブログを作る」など、生産的で創造的な活動にするべきだなと感じた。

「英語教師の授業デザイン力を高める3つの力ー読解力・要約力・編集力ー」を読んで 6

「英語教師の授業デザイン力を高める3つの力ー読解力・要約力・編集力」中嶋洋一編著 大修館書店(2023年)

【学習指導要領は羅針盤】学習指導要領を準備する。→「付けるべき力」に下線→青付箋・・・テストに出題している。成果も上がっている。黄付箋・・・テストに出題しているが成果が上がっていない。赤付箋・・・指導していない。→黄色付箋には改善してみたい活動の内容を、赤付箋には具体的な定期テストの設問を考えて書き込む→赤と黄色の付箋を剥がし、「ここだ」と思う教科書のページにはる。それらが正しい山を意識するリマインダーとなる。例えば、「聞くこと」の「社会的な話題について、詳細を聞き取り、概要を把握すること」の部分に赤付箋が貼ってあるとすると、時系列で説明された文章を聞き取り、Power Pointのスライドを正しい順番にならべかえる問題にして、概要把握ができているかを確かめることにした。学習指導要領に書かれたあることを意識することで、教科書の内容、授業中の指導、テスト問題をリンクさせることが可能になる。

全員で回し読む活動もとてもメリハリがあって、良い。「いいなと思うものに、自分の名前を書きましょう。3人からOKがもらえたら、合格です。」とても緊張してやりそう。

【起承転の構想作り】授業が終わった時に、生徒が何をできているればいいのかを具体的にイメージする。生徒は、授業を通して何に気づき、どのような振り返りを書くことが望ましいのかを考える。授業の構想を練る上で、育った生徒の姿を授業の「ど真ん中」に置き、授業のゴールを軸として考えることは最も大切にしたいことである。授業を「起承転」という枠組みで捉え、「転」に授業の山場を仕組めば、生徒は夢中で活動に取り組むようになる。例えば、【起】教科書のリテリング【承】現地の状況を想像できる情報を与える【】カントさんが、カントさんの親になりきってディスカッション【結】振り返り、「転」の山場で「何をするか」さえ明確にしておけば、本時の目標に不要な指導、いらない活動が見えてくる。事前にどんな指導をしておくべきか、最後の振り返りで何をすればいいかがわかる。

「転」となる活動では、十分な時間を確保しなければならない。そこで「転」に繋がらない活動を省く。このように「転」から考えることで、本時で本当に必要な指導内容に気づくことができる。つまり、無駄を省く「引き算思考」ができるようになる。

単元の最初に、単元計画を生徒にも伝え、見通しを持たせておく。いつパフォーマンス課題があるのか、どのような内容なのか伝えておくと、生徒は日々の授業の活動に意味を見出して取り組むようになる。

単元の最初に、単元シラバスと到達度評価表を渡しておくことにする。「起承転」の4コマの箱書きを用意する。

「英語教師の授業デザイン力を高める3つの力ー読解力・要約力・編集力ー」を読んで 5

「英語教師の授業デザイン力を高める3つの力ー読解力・要約力・編集力」中嶋洋一編著 大修館書店(2023年)

バックワードデザイン(BWD)は計画の後ろから考えていくと言うものではなく、「生徒の姿」や「生徒に身につけさせたい力」から逆算して単元構想や授業作りをすることを言う。例えば、発話を続けるには、ターン・テイク(やり取り)も指導しなければならない。自分の意見を発信するだけではなく、他の発言に対して、瞬時に、”That*s interesting.”や”Good idea.”などの感想を伝えるターンをとったり、”Well…”で繋げたり、手を動かしたりすることで、発言する意思を相手に伝えることもできる。

ターン・テイクをしっかり指導していかないと、会話にならない。日常会話のように行ったり来たりを会話でするには、「ターン・テイク」の指導が必要。

アンケートから数値の分析だけでなく、記述内容の解釈によって、さまざまな気づきを得ることができる。視点さえ変えれば、生徒の「内なる声」に気付けるということ。さらに、生徒が自分の取り組みを振り返ることで、自身のメタ認知能力を高めることにつながる。大切なことは、「つけたい力」が身につくように、単元計画で最初に伏線を張り、生徒が回収をした後、アンケートで検証すること。

「振り返りカード」がいかに大切か、よくわかった。自分の貼った伏線が回収できているか確認するため、生徒の内言を確認して生徒がないを望んでいるのかを知ること。「振り返り」の時間を確実に取るようにしないといけない。