英語教育2026年1月号を読んで

The English Teachers’ Magazine January 2026 Vol.74 No.11 大修館書店

第1特集 中教審外国語WG発足! 次期課程の課題と論点を考えるー先取りパブリック・コメント第2弾 第2特集 「仲介」活動で高める言語・異文化への気づき

英語教育2026年1月号を読む

― 中間指導・書く前に話す・そしてAI時代の外国語教育へ ―

今月の『英語教育』(2026年1月号、Vol.74 No.11)は、

次期学習指導要領を強く意識した内容で構成されており、

現場の実践と政策的議論の両方を行き来しながら読ませてもらいました。

第1特集

「中教審外国語ワーキンググループ発足

― 次期課程の課題と論点を考える(先取りパブリックコメント第2弾)」

第2特集

「「仲介」活動で高める言語・文化・異文化への気づき」

どちらも、今まさに現場で悩み、試行錯誤している教師にとってタイムリーな内容だと感じます。

リレー連載 第10回

「やり取りの活動の中で生徒の気づきを引き出す」

柿崎伸樹 先生(東京都立白鷗高等学校附属中学校)

今月、最も「これは自分の授業そのものだ」と感じながら読んだのが、この連載でした。

柿崎先生が大切にしているのは、

タスクとタスクの間に入れる「中間指導」。

1回目のタスクの前には、

あえてモデル文や完成形は示さない。

そのため、ペアによっては言いたいことが伝えきれず、途中で止まってしまう場面も出てきます。

しかし、そこにこそ「気づきの芽」がある。

中間指導の焦点

中間指導では、状況に応じて次の3点のどれかに焦点を絞る。

  • 語彙
  • 文法的なエラー
  • 伝え方(言い換え・工夫)

この整理の仕方も、非常に実践的です。

ペアの組み方の工夫

  • 1回目:座席の隣同士
  • 2回目:座席の前後
  • (場合によっては)3回目:斜め

2回目のタスク前には2分間の準備時間を設ける。

この間に、生徒は1回目で言えなかった語を調べたり、中間指導で得た気づきを整理したりします。

「うまく言えなかった経験」

→「気づき」

→「自分で調べ、整理する」

→「もう一度伝える」

まさに、気づきが主体的な学びに変わる瞬間です。

正直に言えば、

「これ、自分がずっとやってきたことを、きれいに言語化してもらったな」

という読後感でした。

イギリスの子どもはどうやって英語の読み書きを学ぶか

第10回 イギリスでの書き指導(コンポジション)

山下佳代子 先生(英国アッシュブルック・スクール

ハイレベル・ティーチング・アシスタント)

ここでも、強く共感したキーワードは

「書く前に、話す」 です。

イギリスの書き指導では、

  • 書く前に自分の考えをもつ時間
  • 他者の意見を聞く時間
  • 書きたい内容を声に出して確認する時間

が、十分に確保されている。

作文に入る前に、

  1. 自分で考える
  2. ペアに話す
  3. 何度か話して整理する
  4. 頭の中で再構成する
  5. そして書く

このプロセスを踏むことで、

子どもたちは驚くほどスムーズに書き始める。

「書けない」のではなく、

「考えが言語化されていないだけ」

という事実を、改めて突きつけられました。

第1特集より

「AIは英語教育を変えるのか」

鳥飼玖美子 先生(立教大学名誉教授)

次期学習指導要領を見据えた議論として、

生成AIに対するワーキンググループの姿勢は、比較的楽観的であることが示されています。

  • 会話練習
  • 英文添削
  • 家庭学習での活用
  • 練習量の増加
  • 動機づけの強化

といった観点から、

AIは英語力・関心・意欲を高める可能性をもつとされています。

特に印象的だったのは、

母語もうまく活用しながら、

自分の言いたいことを主体的に発信するためにAIを使う

という視点です。

次期指導要領で学ぶのは、

Z世代の次、アルファ世代。

完全なデジタルネイティブを前提にした教育設計が、もはや避けられない段階に来ていることを感じます。

読後のまとめ

今月号を通して強く感じたのは、

  • 中間指導
  • 書く前に話す
  • 活動の中で気づきを生む
  • AIは「代替」ではなく「支援」

というキーワードが、

すべて一本の線でつながっているということです。

ちょうど1月26日に研究授業を控えている今、

この号で読んだ内容は、

「理論の確認」ではなく

「自分の実践を裏打ちしてくれる言葉」

として受け取ることができました。

次は、授業の中で

どれだけ生徒の気づきを可視化できるか。

そこを意識して、じっくり見せていきたいと思います。

いくつになっても「ずっとやりたかったこと」をやりなさい。〜人生の「第2幕」のはじめ方〜 It’s Never Too Late to Begin Again!

いくつになっても、「ずっとやりたかったこと」をやりなさい。〜人生の「第2幕」のはじめ方 It’s Never Too Late to Begin Again. ジュリア・キャメロン/エマ・ライブリー著 菅 靖彦 訳   SUNMARK Publishing

最近、『いくつになっても、ずっとやりたかったことをやりなさい ― 人生の第2幕の始め方 ―』という本を読みました。

英語タイトルは “It’s Never Too Late To Begin Again”。

著者は ジュリア・キャメロン & エマ・ライブリー、翻訳は 菅靖彦さん、サンマーク出版から出ています。

ジュリア・キャメロンと言えば、世界的ベストセラー『ずっとやりたかったことを、やりなさい』で有名ですが、今回は 「定年後・セカンドライフのためのクリエイティブ回復本」です。

仕事という時間の枠から解放されたとき、人は自由になるはずなのに、逆に時間を持て余し、何もできなくなってしまう──そんなリアルな現実に対して、この本はこう語ります。

「遅すぎる、なんてことは決してない。」

むしろ、人生の後半だからこそ、やっと本当に自分のための時間が持てる。

ならば、やりたかったことを始めよう。

演劇でも、楽器でも、脚本でも、文章でも、アートでも──「今さら」なんて言葉は必要ない、と強く背中を押してくれます。

創造性を取り戻すための3つのツール

この本の核となるのが、ジュリア・キャメロンおなじみの3つのツールです。

① モーニングページ

朝いちばんに、手で、ただ書く。

数ページ、思うまま。誰にも見せない、振り返らない。

ただ、頭の中の声を書き出す。

「脳を掃除するための時間」

これがキャメロンの表現です。

頭の中に溜まっている不安・心配・どうでもいいことまで全部吐き出す。

だからこそ、自分の本音が見えてくる。

とても地味だけど、ものすごく力のある作業だと感じました。

私自身、5年日記を書いていますが、これはまさにモーニングページの役割を果たしてくれているのではないかなと思います。

② アーティスト・デート

人は誰でも心の中に「インナーチャイルド(内なる子供)」を持っている。

その子を喜ばせるための 週1回・1人だけの小さな冒険。

・海まで日の出を見に行く

・子どもの頃好きだった絵本を探しに行く

・ライブや美術館に行く

・知らない街を散歩する

目的は一つ。

「心の中の想像の井戸を満たすこと」

私の場合、時々行くライブやスポーツ観戦が、まさにこの役割を果たしていると感じました。

③ ソロウォーキング

ただ歩く。

健康のためではなく、心を開くための歩行。

景色、風、音、人の気配──それが思いがけないひらめきを連れてくる。

私は毎日のジョギングがこれに相当します(今は腰の問題で休憩中ですが…)。

「足を動かすと、頭も動き始める」これは本当に実感します。

「手書き」は創造性のスイッチ

この本の中で印象に残ったのが、手書きの力についての記述でした。

「手書きはより多くの神経回路を開く」

殴り書きでもいい。

形になっていなくてもいい。

とにかく書くことで、思考が解放される。

これは確かに、文字を打つのとはまったく違う感覚があります。

心に残った言葉たち

本の中には、人生後半を生きる人に響く言葉がいくつもありました。

息をしている限り、何か良いことをするのに遅すぎることはない。

すべての人が天才である。

しかし木登りで魚を評価すれば、魚は一生「自分は愚かだ」と思い込むだろう。(アインシュタイン)

特別支援の子どもたちと関わる教育の現場にも通じる言葉です。

「評価の枠」だけで人を測ってはいけない。

人にはそれぞれ輝く場所がある。

そして一番大事なこと

キャメロンはこう言います。

成功には2つの方法しかない。

1つ目は始めること。

2つ目は続けること。

実にシンプル。

でも、本当に難しくて、そして本質です。

さらに、彼女は 「シンクロニシティ(意味のある偶然)」 について語ります。

ただの偶然ではなく、動いている人にだけ訪れる偶然。

モーニングページを書き、歩き、心を開くことで、そういう偶然に気づけるようになる。

これは「運」ではなく、「準備された心が見つける必然」なのだと感じました。

私自身の今へのつながり

読みながら何度も思いました。

「ああ、自分はすでに結構やっているじゃないか」と。

日記を書き、ライブに行き、走って、挑戦して、まだまだ学びたいこともある。

定年が近づいてきても、人生は縮小していく必要なんてない。

むしろ、ここからが「第2幕」。

まとめ ― 遅すぎるなんて、誰が決めた?

この本は、

●第二の人生を前にして戸惑っている人

●「もう無理だろう」とどこかで諦めてきた人

●心の中にまだ火種がある人

そんな人の背中を、やさしく、でも力強く押してくれます。

人生は、

終わりに向かってただ消費するものではなく、

自分をもう一度つくり直すチャンス なんだと教えてくれる一冊でした。

私もこれから、

自分の「やりたいこと」にちゃんと名前をつけて、

小さな一歩を踏み出していきたいと思います。