英語教育2024年5月号を読んで

The English Teachers’ Magazine May 2024 Vol.73 No.2 大修館書店

第1特集 英語を自然に取り入れるために 春から始める「音読」習慣 第2特集 オーセンティックな学びにつなげる 国際交流プロジェクトの実況中継 特別記事 2024年度大学入学共通テスト英語(リーディング)

アイデアBOX 第2回 評価をどうしまひょうか?① 評価って何?ー3観点の基本 有江 聖(さいたま市立本太小学校教諭)

オムレツを作ることが目標だとして、まず、作り方を「口で言える」状態を考えてみます。料理で「言える」のと「できる」のは、必ずしも一緒とは限りません。「言える」ことは「知識」、「できる」ことは「技能」と捉えることができます。知識を技能にするには、継続的な練習が必要です。さて、いよいよオムレツを作る技能が身につきました。しかし、卵をかき混ぜる前に焼いてしまっては目玉焼きになってしまいます。目的に応じて、身についた技能を施行スキル(この例では「順序立てる」)と組み合わせながら適切に使用している状態が、「思考力、判断力、表現力等」が発揮された状態です。一言で言うと「知識・技能」は「正確さ」、「思考・判断・表現」は「適切さ」となる。

生成AI活用術研究所 第2回 【基本編】AI検出サービスを活用しましょう! 豊嶋正貴(文教大学・国学院大学非常勤講師)

ChatGPT

https://openai.com/chatgpt/

Claude 3

https://www.anthropic.com/

Copilot

https://copilot.github.com/

Gemini

https://gemini.google.com/

Perplexity

https://www.perplexity.ai/

GPT Zeroは、入力した文章がAIによって生成されたものか、人間によって作成されたものかを簡単に判別(検出)するツール。何%がAIによって生成されたものかがわかる。

GPT Zero

https://gptzero.me/

7つの道具を媒介にした国際交流プロジェクトの取り組みーIntercultural Classroom Connection Project 水野邦太郎(神戸女子大学教授)

7つの道具の性質・特徴 

https://www.epals.com. ePals 世界中からパートナーを探すためのサイト

https://www.office.com. Reading Progress. 原稿を完成させた後、学生は各自の原稿を流暢に音読できるまで練習する。

生成AI時代に英語教師は必要か? 岩瀬俊介(学法石川高校英語イノベーション推進部主任)

ChatGPTをカスタマイズする

2024年度大学入学共通テスト英語(リーディング)問題分析から考える授業デザインータスク型リーディング活動による攘夷思考スキルの育成 平川新(法政大学講師)

目的を意識した読解指導:思考力を育てるには 情報を素早く処理する能力を身につけさせるには、速読演習を行うのが効果的である。150wpmの速度を最終的な目標とし、生徒が理解している語彙や構文が使われている300語程度の易しめの英文を素早く読ませ、概要を把握させる。読解後に簡単な内容理解問題を設定する。

思考力を育成するためには、上位レベルの思考スキルを発揮させることを求める発問や活動を授業に取り入れることが必須である。例えば本文に明示されていない情報を自分の知識や経験と関連づけて推論したり、本文の情報を自分の言葉で他者に説明したり、あるいは、本文の論理の構成や展開の適切さを検討したりする活動などが考えられる。その際、「読解後に⚪︎⚪︎をみんなでやってみよう」というように読む目的を生徒にあらかじめ伝え、それを意識させる

「おばちゃんのおまじない」を指導して

大好きな特別の教科「道徳」の指導はあと何回できるのだろうか?といつも時間との戦いで焦りながら教えている自分がある。今回も図らずも「神回」となった。

6限目ほとんど全員がダラっとしていた。

最初に、「仕事をする上で大切なことは」と導入で聞く。「心をこめること」や「一生懸命すること」などが出る。さらっと2分くらいで終了。ここは、最後にも、自分の価値観が変わったことと含めてもう1度たずねることになる。

「私」は美容師でまだなりたて。余命が限られている患者がたくさんいる病棟に父親のお見舞いに行くところからストーリーが始まる。美容師であることを聞きつけて、患者が「私」に洗髪を依頼してくる。日毎予約が増えていく。もちろんボランティアである。口が悪く元気一杯のおばさんのシャンプをした時に、「あんた、面倒くさいと思ってやってるんでしょ!?すぐわかるんだから。」と心を見透かされてしまう。「あんたの手なんか、荒れてもいない、職人らしい手になってないよ。もっともっと頑張らないとプロの手にならないよ」と言われる。それからは、何事にも一生懸命頑張るようになる。おばさんも亡くなってしまう。父親が亡くなった時より大声で泣いた。それ以来、お客様のために頑張る「私」がいた。職人のような手になりたい。という願いを持ちながら、おばさんのかけてくれたおまじないに恥じないように生きることを決意する。

このストーリーに登場する「私」で「残念なところ」と「素晴らしいところ」を聞くから、その部分を鉛筆で線を引くように指示する。

朗読。いつも何回も練習して感情を込めて、登場人物になりきって読むように心掛けている。またこのストーリーがとてもいいので、最後は泣いてしまう。

人間理解(「残念なところ」)について聞く。何度もシャンプーをやり直すように言われたことや「自分はシャンプー係ではない」と心の中で文句を言うところが挙げられた。

主人公の「私」はシャンプーをいい加減にしてしまって、やり直すように言ってきたおばさんに、心を見透かされてしまう。ここが主人公の転機である。

ここで「私」の気持ちに変化があり、価値理解(「素晴らしいところ」)へつながる。「前向きに考えられるようになった」、「愕然とした」、「過ちに気づいた」、「自分の手を見てまだまだやれると気づいた」など、いい意見がたくさん出た。ここら辺で、全員の顔が上がり、黒板や私に視線が行くようになる。

意見が出ない子に、「どの人の意見に近い?」と聞く(他者理解)

「「私」はどうすればよかったのか。」と聞く。「お客様を大切に」、「集中して作業する」、「心を込めて」などの意見が出る。

もう1度、「仕事をする上で大切にすることは何?」と聞く。「授業を受ける前は、・・・⚪︎⚪︎の意見を聞いて、・・・、今は・・・と思います。」と自分の価値観の変化を言ってもらった。

参観してくれたマグロを釣るのが好きな先生が、「素晴らしかったです。」と言ってくれた。授業になかなか集中できない子達がみんな顔を上げてくれたので、達成感があった。

英語教育2023年4月号を読んで

第1特集 「英語が苦手」を減らすために ブリッジ指導からスタートする新学期 第2特集 多様な進路の高校生へ 英語に自信をつける指導がしたい 特別特集 PISA2022から英語教育が考えるべきこと

中学英語の定着を促す高校での活動ー「不動のブリッジ」遠藤久美子(不動岡高等学校教諭)

Strip Story Stripとは短冊のような細長い紙片のことで、5枚のStripに書かれた異なる英文をグループで話し合いながら並べ替えて、ストーリーを再生する活動。すべて口頭で行うことがポイント。Loud Speakerはディクテーション活動なのだが、CDや端末などの音声を聞いて書き取るのではなく、生徒の話す英語を書き取っていくという活動。一人の生徒が前に出てきてヘッドセットをつけて音声を聞き、聞こえてくる英語をシャドーイングする。それをその他の生徒がディクテーションしていく。生徒がシャドーイングするわけなので、音声の全部を網羅できるわけではなく、書き取ったディクテーションシートは虫食い状態になる。この虫食いの部分をどう埋めていくかが、この活動の醍醐味でもある。

意外と通じる!?発音バラエティ 第1回 saysは“セズ”と読まないとダメ? 三浦弘(専修大学教授)

sayの3人称単数現在形saysの発音は「セズ」、過去形saidは「セド」であると学校では厳しく指導され、それ以外の発音は誤りとされる風潮があるが、イギリスやオーストラリアの英語では「セイズ」と「セイド」も普通に使われている。生の英語発音を手軽に調べるには、YouGlishという、YouTubeの動画から目的の語句の使用例を全て選び出してくれるサイトが便利。

https://youglish.com/

日本語文法講座 第1回 主題や対比を表す助詞の「は」 高嶋幸太(立教大学兼任講師)

「その本はヘミングウェイが書いた」という構造は、「ハガ構文」と呼ばれる。日本語は主題を重視するため、主語優勢言語(topic-prominent language)と言われ、英語は主語を重視するため、主語優勢言語(subject-prominent language)であると、言われることもある。

「パーマーが残したものー語研の財産」浅野伸子 「語研ジャーナル」第22号

パーマの残した貴重な英語教授法が、少しだけわかる。p.75

「心さえ負けなければ、大丈夫」、「ひとりじゃないから、大丈夫」を読んで

「ひとりじゃないから、大丈夫。」「心さえ負けなければ、大丈夫」織田友理子著 鳳書院

集中人権学習において、出会学習の一環として、担当している生徒の保護者を招聘して、「ミオパチー」という難病とその病気を受け入れながら生活をしている方の生き方について学習した。

「遠位型ミオパチー」という病気は、手の先など体の中心より遠いところから筋肉が脂肪に変わり、歩けなくなったり、手足が自由に動かせなくなる病気である。日本には400人ほどしかおらず、研究している学者も少なく、特効薬や治療法が確立されていない。

今回招聘した講師は、20歳を超えるくらいから徐々に体力が低下し、現在は車椅子で生活をされている。病気と闘うのは本当に大変だと思うが、卑屈になるどころか、とてもとてもとても前向きに考えていらっしゃって、めちゃくちゃパワーをもらった。どうして、そんなにみんなにやさしく、周りを明るくできるのだろう。自分の恨みがましさやマイナス思考なところが情けなくなった。

「みんながやさしく、つながり合っていけばいい」

自分のことより、いつも周りのことが考えられる素晴らしい人だった。そんな彼のやさしさに涙がポロポロ出てしまった。

彼は、私と連れ合いが出会った学校で、二人で数学と英語を教えた教え子だった。教え子どころか、学ぶべきことがありすぎて、たくさんのことを教えてもらった。本当にありがとう。

2冊の本は、ミオパチーの勉強のために読んだ本。著者の織田友理子さんも遠位型ミオパチーである。スウェーデンへ福祉の最先端を見に行ったり、政治に訴えたりと、障害者福祉や医療を先に進めるために頑張っている。

「ザイム真理教」を読んで

「ザイム真理教」森永卓郎著 発行:三五館シンシャ 発売:フォレスト出版 2023年6月1日初版

NHKラジオ第2放送で毎週土曜日の朝やっている「まいあさ」という番組の、「著者からの手紙」というコーナーが大好きで、そこで紹介されていた本。もちろん著者の森永卓郎さんも来ていて、この本を書くにあたり考えていることなどを語ってくれた。とても興味を持ったので購入した。

あらすじは、

やさしく、やわらかく、面白く、日本経済に警鐘を鳴らす本。■それは信者8000万人の巨大カルト「大蔵省(現財務省)の奴隷だった」という自身の実体験をもとに、宗教を通り越してカルト教団化する財務省の実態をあばき、その教義を守り続けて転落し続ける日本経済&国民生活に警鐘を鳴らす、森永卓郎による警世の書。~旧大蔵省時代を含めて、財務省が40年間布教を続けてきた「財政均衡主義」という教義は、国民やマスメディアや政治家に至るまで深く浸透した。つまり、国民全体が財務省に洗脳されてしまったのだ!(本文より)~

私は経済には疎く、知らないことばかりだが、FXを始めて、少し金融のことを勉強するようになってから、テレビ東京の「モーニングサテライト」を見るようになり、少し興味が湧くようになった。

この本の中には、財務省(旧大蔵省)がいかに政府の中で、大きな位置をしている省庁なのか、財務省の考え方・方針で政治の方向性も変わっていくということが、色々な証言やデータと共に書かれている。

財務省が出している協議を支えるデータとして、①税収を大きく上回る歳出がなされ、その差である財政赤字がどんどん拡大している ②その結果、日本の国債残高は、どんどん増えていて、今や先進国の中でダントツに大きな残高になっている ③財政赤字を放置すれば、将来世代に負担を先送りすることになる ④同時に、国債の信認が失われれば、通貨の信認や金融機関の財務状況にも悪影響を及ぼす ⑤国民が広く受益する社会保障費は今後も増大していくと見込まれ、その費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点から消費税の引き上げは必要 というような競技の解説が示されている。

さらに、驚くべきことは、世界有数の借金国である日本だが、普通国債の残高は1,029兆円あり、それは国民一人当たり823万円もの借金となっている。

しかし、森永氏は、「そもそも日本は、そんなに大きな「借金」を抱えているわけではなく、日本政府は、世界で類を見ないほど大きな資産を保有している」と論ずる。

国は、国債という借金を987兆円抱えているが、借入金や未払金なども加えると1,661兆円の負債を抱えている。一方、資産の方は、現預金や有価証券などの流動資産を841兆円、土地や建物などの固定資産を280兆円も持っている。合計の資産は1,121兆円。借金も多いが資産も多い。アメリカ国債を100兆円以上持っているので、円安の今は少し低く価値づけされているかもしれないが、いずれ円高になると大きな資産になる。

政府は赤字国債の半分を日本銀行に肩代わりさせているので、政府の借金というのは少なく見込まれる。さらに、日本銀行は通貨発行益がある。これは新たに通貨を発行すると発行者が利益を得ることである。1万円札を作るのにいくら印刷代がかかるかわからないが、例えば1,000円かかるとしても、9,000円は発行益として日銀に入る。

また、日銀が国債を買った瞬間に、その分は実質的に政府は返済義務を負わなくなる。逆に言うと、日銀に国債を買ってもらった分は、政府は利益を得たのと同じことになる。

だから、日本の借金はほとんどない。だから、消費税を上げる必要もない。国民が財政が危ういと感じているのは、財務省の煽りのせいだと森永氏は言う。

1両=50匁(銀貨)=4,000文(銅貨)が江戸時代の換算レート

たいへん、おもしろい本だった。

英語教育2024年3月号を読んで

英語教育2024年3月号 大修館書店March 2024 Vol.72 No.13

第1特集 年度末に見直してみよう 授業づくりの効率化アイデア 第2特集 「卯城祐司先生責任編集」故郷(くに)のおふくろさんに語る 英語リーディングの科学 第3特集 [根岸雅史責任編集]CEFR-J 研究プロジェクトの現在

Chat GPTプロンプト研究所  第6回 教材研究プロンプト 豊嶋正貴(文教大学附属中学校・高等学校教諭)

教材研究として、オーラルイントロダクションやアウトプット活動のアイデアを作成してくれるというもの。ぜひ活用したい。

授業に活かせる英語講座 Part1 文法クイズ 佐藤誠司((株)佐藤教育研究所代表)

問:次の質問にどう答えますか。「if it should [were to] rainは、雨が降る可能性をif it rained(仮定法過去)よりも低く見積もっている場合に使うのですか?」

正解例:必ずしもそうとは言えない。

①発信に関しては、未来に起こる可能性が低い仮定を表すには(一般的な)仮定法過去を使えばよい。②受信に関しては、if S should [were to]〜が未来の仮定を表すことを知っておけばよい。

外国語評価リテラシーを高めよう 第12回・最終回 内容の評価を理解するための基礎知識 鈴木駿吾(早稲田大学GCS研究機構知覚情報システム研究所次席研究員)

一見すると関連のない絵をつなげてストーリーを作るなどといった活動を通して、さまざまな内容を言語化しようとする生徒の姿が見られる。頭の中にある複雑なアイデアを自分の持っている言語知識で何とか言語化しようとする取り組みは、アウトプットの増加につながり、英語を話したり書いたりする能力の向上に寄与する。

英語教育2024年2月号を読んで

英語教育2024年2月号 大修館書店February 2024 Vol.72 No.12

第1特集 「訳」再考 第2特集 話す・書く活動で相手意識のあるコミュニケーションを

「主体的に学習に取り組む態度」の評価 松浦伸和(広島大学名誉教授)

主体的に学習に取り組む態度は、粘り強い取組と自己調整の2つの側面から評価する。前者は、コミュニケーション活動に粘り強く取り組んでいるかどうか、「わからない部分があっても推測して聞き続けている」「相手の理解に配慮しながら話している」を評価する。後者は、予見、進行・コントロール、自己省察の段階に分かれる。予見の段階は、見通しを立てる段階で、課題を分析したり、目標を立てたり、方略を決めたりすることが含まれる。遂行・コントロールの段階は実際に学習が行われている段階で、課題に集中していたり、順調に進んでいるかチェックしたり、必要に応じて修正することが含まれる。自己省察の段階は学習を振り返る段階で、自己評価したり、反省したりすることが含まれる。

英文法クイズ 佐藤誠司((有)佐藤教育研究代表)

「私は2時間ずっと英語を勉強している」の意味で、I have studied English for two hours.と言う分を使うことはできるのか→❌できない。

A 動作動詞(例:eat, play, run, study) B 擬似状態動詞(例:sleep, stay, wait, sit, llive)、「継続(今までずっと〜している)」の意味を表す現在完了進行形には、あることを「①休みなく続けて行う」、「②時間を置いて反復して行う」という2つのケースがある。1️⃣A・B型の動詞で「継続」の意味を表すには、現在完了進行形を使うのが一般的。2️⃣A型の動詞で「休みなく続けて行うこと」を表すときは、現在完了形は使えない。3️⃣それ以外の時は、現在完了進行形の代わりに現在完了形を使うこともできる。

「英語教師の授業デザイン力を高める3つの力ー読解力・要約力・編集力ー」を読んで 10

「英語教師の授業デザイン力を高める3つの力ー読解力・要約力・編集力」中嶋洋一編著 大修館書店(2023年)

4-2-1 「レアリア」で課題を自分ごとにする

「お土産・手土産ガイド」というSNSアカウント@souveni_japanが海外で大流行【レアリア】 コロナ禍で、海外旅行ができなくなった外国人に向けて、商品を売り出し始めたからです.【場面】 とはいえ、まだまだ売り上げが伸びにくい状況を知った⚪︎⚪︎中では、何とか企業を応援しようと、自分たちで企画を考えました。【状況】 あなたのおすすめの地元の名産品(レアリア)を紹介し、SNSアカウントで売り出してもらいましょう。【目的】

レアリアとは、「実物・生教材」のこと。日常生活にあるものを教材・教具として利用する場合にこう言う。新聞記事、レストランのメニュー、食品のパッケージ、時刻表など、身の回りにあるレアリアなものが生徒をワクワクさせる教材になる。

こういう作品がやはり授業には必要なのか。私の講演でも、スケッチブックプレゼンテーションの私のモデルを使っただけで、たくさんの人が見にきて写真を撮っていた。私の作品なんて、下手くそなのに。でも、成果物は授業の記録として大切なのかもしれない。

「英語教師の授業デザイン力を高める3つの力ー読解力・要約力・編集力ー」を読んで 9

「英語教師の授業デザイン力を高める3つの力ー読解力・要約力・編集力」中嶋洋一編著 大修館書店(2023年)

「授業をあえて「未完成」にする 7割の準備、3割の「余白」が対話とこだわりを生む」

「遊び心」が学習者ファーストの授業を作る

対話を楽しむためには、発問の質にもこだわりが必要です。1つしかない正解を求める事実発問だけではなく、推論発問や評価発問を、バランスよく取り入れます。「もっと聞いてみたい」「伝えたい」という思いが溢れます。”What do you think?”や“How do you feel now?”と問いかけながら、即興で思いを紡ぐ場面を作ります。生徒と即興でやりとりを楽しむ遊びの時間を設定します。その遊びの時間に出会った表現こそが、生徒の記憶に残る言葉として定着していきます。事前の授業準備は7割程度にとどめ、残りを生徒に委ねる時間にし、言葉を紡ぎ合うことを楽しみます。「7:3」という割合は、「黄金比」と呼ばれ、即興で紡ぐ「3割」が、「7割」の学びの質を高め、言語材料や表現が「自分の言葉」として定着する大切な時間になるのです。

「遊び」は生徒の学びを後押しする

授業に3割の「ゆとり」を設ける目的は、生徒が「話したい、伝えたい!」と主体的に取り組む活動を仕組むため。生徒がじっくり考える「ゆとり(=遊び)の時間」があることは、安心して「わからなさ」に向き合う時間があることだとも言えます。「言いたいことはあるけど、どう言えばいいかわからない」というモヤモヤ感を仲間と共有し、考えることで生まれる「そうか!」は「思考を深めるのりしろ」となります。

「題材に惚れ込む」ことで、生徒が興味を持っていることと絡め、はっと顔が上がるような情報を探し、問いを考えること。

「遊び心」のある課題が生徒の心を揺さぶる

①対話に必然性が持てるような課題を工夫すること ②生徒が自ら思考したくなるような問いを立てること ③自分なりの答えを伝えたくなり、仲間の表現に触発されて自分の表現力をもっと高めたくなるような介入をすること

「理想のロボットを作ろう」という課題は、「あなたの学校の問題点を解決するために、校長先生に向けて理想のロボットを紹介しよう」とすれば、より身近で具体的に捉えやすくなる。

4−1 「記憶に残る授業」には、「なるほど!」がある 生徒と共に「自己内対話」を深める

児童(生徒)一人一人のワクワク感を引き出し、事前に構想を練った単元のゴールに向かって、活動と活動をつなげます。つぶやきを拾い、もやもや感をあえて引き出し、授業を変幻自在にアレンジしていきます。

4−3「授業の編集」に必要な4大要素(指導案・場面・発問・振り返り)

授業を「編集」するときには4つの要素が必要です。「学習指導案」「場面の設定」「発問の工夫」、そして「振り返り」です。

「編集力」が高い教師は、学習指導案に、「余白」の部分も用意しています。生徒のつぶやきを拾います。教師の遊び心を発揮するのに欠かせないのが、やりとりに必然性を持たせることです。必然性とは、テキストのターゲット・センテンスが、よりオーセンティックな状況、ごっこ遊びではなくリアルな場面で導入されるということ。

英語教育2024年1月号を読んで

英語教育2024年1月号 大修館書店January 2024 Vol.72 No.11

第1特集 小学校教科書改訂・デジタル教科書元年を控えて 自動・生徒の学びを支える教科書の現在 第2特集 ことばへの理解を言語化する 「ランゲージング」を取り入れた授業

ChatGPTプロンプト研究所 豊嶋正貴(文教大学附属中学校・高等学校教諭)第4回画像生成プロンプト

DALL・Eを駆使して、画像を生成し、授業で活用する。絵を描く手間が省けるので、かなり時間短縮につながる。

高校教科書でSDGsはどのように取り入れられているかー「行動する」ことを見据えた実践の提案 山本孝次(刈谷北高教諭)・竹内愛子(名古屋緑高校教諭)

「知る」活動 教科書を始める前に、Pre-reading活動として、その課で扱うテーマと、生徒の実生活とを結ぶようなタスクを設ける。この一手間で、その課の終わりに地球規模課題を自分ごととして捉えられるかどうかが大きく変わって来る。

課のテーマを実生活と結びつけるような、課題をセッティングしようと思った。

内容理解を進めながら、さらにAuthenticな素材やデータも使用して内容理解を深めていく。生の情報(新聞・雑誌記事、Webサイト、映画、ドキュメンタリー番組等)ほど生徒にインパクトを与えるものはなく、続く「考える、行動する」活動への意欲につながる。

ランゲージによる生徒主導のフィードバック 牛山真由美(長野県屋代高校附属中学校副校長)

ランゲージング(Swain, 2006)ー学習者が自らの言語使用について考察し合う活動ー黙って課題に取り組むのではなく、口頭で説明をしながら一文一文読み進めることで、より正確な理解を深め、内容を記憶に長く留めることができる。生徒手動でフィードバックすることができる。

私がやっているペアワークでもお互いに音読練習や穴あき音読の時にペアで交互に読ませ、チェックしている。これも一種の「ランゲージング」かもしれない。

振り返りを活用して児童の言語への気づきを促すー小学校英語教育におけるランゲージング 吉川庸子(秋田市立港北小学校教諭)

先行研究において、ランゲージングは第二言語や母語、口頭や記述など、さまざまな方法で行われている。その中でも、学習者に認知的負担が少ない母語で、また時間をかけて自動に有効であると考えられる(布川、2018)。これは振り返りはランゲージングを行う場として適切であることを裏付ける。

「評価発問」とは何を評価する発問なのかー学習者にテキストを評価させよう 峯島道夫(新潟県立大学教授)

生徒が富士山についてのテキストを読んだ後に、”Let’s imagine that you are going to introduce Mt. Fuji to people from abroad. What are the attractive points of Mt. Fuji? Tell me about them.” と生徒に問いかける活動が紹介され、「このように、読んだことをもとに生徒の考えや経験を引き出す発問は、評価発問(evaluative questions)と呼ばれます」と解説されている。(英語教育2023年7月号 特集号p.19)