今日の授業から

2021年1月27日(水)1限3A、2限3B

 今日はストーリーリテリングの授業を行った。3Aでは、

 アウンサンスーチーさんのpersonal lifeを描いたストーリーである。年代別にそれぞれretellingして欲しい内容が下である。

In 1988, there was a movement in Myanmar. The government killed many people. The people needed a strong leader, and went to Aung San Sun Kyi. They asked her to be their leader. She said, “Yes.”

In 1989, the government put Aung San Suu Kyi under house arrest to stop the movement. She was locked up for 15 years, but she never gave up.

In 1991, she finally won the Novel Peace Prize. The world recognized her efforts for democracy and human rights.

なかなか絵が上手にならないのだが、2分くらいで描かなければならないので、これ精一杯。2時間目のB組では少し丈夫になったような気がする。

 とにかく、本文の内容を理解し、教科書を閉本して、絵だけ見て、自分の言葉で言い換えるためのヒントに、絵がなれば良いのである。

 それまでの、内容理解や音読なども工夫は要るが、絵のクオリティも大切である。

英語教育2021年1月号を読んで

英語教育2021年1月号Vol.69 No.11 (大修館書店)

 第1特集が「コロナ禍で見通す教師の役割・教室の役割」、第2特集が「『読む』↔︎『話す』のサイクルで教科書を活用 リテリングのすすめ」、第3特集が「オンライン授業で広がる授業の可能性」、この中から特に第2特集の「リテリング」について以前から興味を持っているので、しっかり読ませてもらった。

 ICT=Information Communication Technology

 「教科書の語彙・表現を活かすリテリング指導の基本」佐々木啓成教諭(京都府立桃山高校)

 本文の再生、発話する英語と同じ→リプロダクション、既習の語彙や表現を使用しながら、本文とは異なる英語で話す→リテリング、評価はルーブリック使用(発音、流暢さ、内容、パラフレーズ【自分の言葉を使用している】の4項目)、を観点としている。

 「コミュニケーションへの橋渡しとなる即興リテリング」胡子美由紀教諭(広島市立古田中)

 リテリングでは、思考力・判断力・表現力を育める。STEP1 「音読による内在化・自動化」Overlapping, Shadowing, Read & Look up で音・文字・意味をつなぎ内在化を図る。STEP2 音読中・後のScaffolding、5W1Hを意識させる。STEP3 目的・ルールと基本の徹底 言語形式の内在化、即興リテリングでは、失敗を恐れずに発話させ続けることが大切なので、fluency重視。STEP4 リテリングのパターンと手順の確認 他者意識を持つ。「仲間とのやりとりは、生徒が多様な価値観や感性に触れるようになると同時に、違いを尊重する場ともなり、自己肯定感を醸成する。」「インプットとアウトプットの行き来を繰り返すと、生徒がアウトプットを意識した内容理解や音読のプロセスを踏むようになるので、インプットの質が高まる。」STEP5 活動後の書き起こしと振り返り 書き起こしはポートフォリオとしてファイリングする。発話の深化の過程を作品(記録)として残すため。ノートではなく、プリント(できれば画用紙などの厚紙で色がついているもの)でポートフォリオしていく。

 「オンライン英語授業の留意点」竹内理教授(関西大学)

 「記録のための評価」と「指導のための評価」を区別すること。即時フィードバックを意識させる。

「家庭学習の遠隔指導(オンライン授業)における評価の方法」岩瀬俊介教諭(学法石川高校)

 「メタ認知」を引き出す。到達目標→指導計画 ①CAN-DOリスト②到達目標(各UNIT→section)③評価(5領域3観点のクロス評価表の作成)④指導計画 「何をできるようになってほしいか」「目標をどこに置くのか」「何のためにその活動をするのか」「何を持って目標達成と見るか」

 「授業に活かせる基礎英語講座」part2 文法クイズ

 ❌受動態≠能動態 John likes soccer. ≠ Soccer is like by John. 「サッカーはジョン(だけに)よって好かれている。」という響きがあるので不適。Japanese people eat fish. → ❌Fish is eaten by Japanese people. 🟡Many Japanese people eat fish. → Fish is eaten by many Japanese people.

「あらためて外国語活動の指導を考えて」(岐阜聖徳大学 加藤拓由准教授)

 小学校3年、4年生外国語活動における思考力・判断力・表現力としては、「具体的な課題等を設定し、コミュニケーションを行う目的や場面、状況などに応じて、情報や考えなどを表現することを通して、次の事項を身につけることができるよう指導する。ア 自分のことや身近で簡単な事柄について、簡単な語句や基本的な表現を使って、相手に配慮しながら、伝え合うこと。 イ 身近で簡単な事柄について、自分の考えや気持ちなどが伝わるよう、工夫して質問をしたり質問に答えたりすること。その素地につながるものとして、「つなぎ言葉」がある。やりとりの基礎につながる。① The playground 相手の話を繰り返していい、確認 ② Good. 相手の話を聞いて、反応したり、気持ちを伝えたりする ③ Why? 相手の話を聞いて、話を広げるために追加の質問をする。

便利なサイト

ワードサーチゲーム作成サイト http://puzzlemaker.discoveryeducation.com/

英語発音入門 http://keen.konan-c.ac.jp/ilc/english/usa/frame.html

YouGlish. https://youglish.com

Question Box. 「命令文にpleaseをつけても丁寧な依頼にならないのか」

pleaseは最小のていねいさしか示さない語。「命令」を表す文にpleaseを付けても「依頼」にならない。命令文は、「話し手が聞き手にある行為をするように強く求めるタイプ」と、命令文という名前とは相容れませんが、「聞き手に対して何らかの厚意を示すタイプ」があります。前者は「『話して利益』の命令文」と呼ばれ、聞き手は話し手の発言に従うことが求められます。一方、後者は「『聞き手利益』の命令文」と呼ばれ、話しての発言に従うかどうかは聞き手の判断に委ねられます。

 (「命令」を表す)「話し手利益」の命令文:pleaseの定位置は文末で、形式的な丁重さを添える。文頭に置かれた場合は、命令口調をやや和らげる。(教師が生徒に向かって、”Sop talking, please.

 (「申し出」などを表す)「聞き手利益」の命令文:pleaseの定位置は文頭で、心を込めて相手に行動を促す。文末での使用は不自然。”It smells good. Fresh cookies. “ “please have some.”

 

「学校の先生も答えられない『英語のなぜ?』がわかる図鑑」を読んで

学校の先生も答えられない「英語のなぜ?」がわかる図鑑 伏木賢一監修 青春新書

時間潰しに津駅の3階にある別所書店に立ち寄った時に見つけた本。面白そうだったので読んでみることにした。「学校の先生も答えられない・・・」と始まるタイトルなので非常に挑戦的なタイトルなので気になった。確かに「挑戦的」だが、答えられないのは事実である。何度教えてもらっても、何度雑誌や本で読んでも覚えられないことがまとまっているので、授業に活かせる内容である。

Can you〜?よりCould you〜?の方が丁寧な表現なのはなぜ? 英語の過去形は距離感を示し、「時間的な距離感」だけでなく、「現実と実現できない距離感」や「人間的な距離感」を示すから。

ピリオドとカンマについて ピリオドは文の終わりや文字の省略を示す。カンマは3つ以上の項目を並べる、主語が異なる文章をつなぐ、接続副詞を使う時に打つ。

コロンとセミコロンについて コロン ①「例を示す」We need three things: walk, bread, and money. ② 「詳細を説明」I can drink: I am 22 years old. ③「引用する」My mother told me only one thing.: “Never give up!” セミコロン「表現の区別を示す」There were a lot of children from Tokyo, Japan; Soul, Korea; Shanghai, China.

willとbe going toのちがい willは「とっさに思いついた「意志・意思」で「〜するつもり」。be going to〜は、すでに予定を立てていて、今、それに向かって進んでいる状態。「予定・計画」”Clean up your room.”→”Yes, I will. I am going to do it tomorrow.”

確実性について probably 80% perhaps 50% maybe 30%〜50% possibly 20〜30%

mustとhave toのちがい mustには話し手の意思や主観、信念が含まれ、「是非とも〜しなければならない」、 have toは周囲の状況や事情から「〜せざるを得ない」、「〜した方がよい」 I must go there next week. (行かなくてはならない) I have to go there next week.(行かざるを得ない)

a appleではなくて、an appleなのはなぜか? 元々名詞にはanをつけていたが、[an+名詞]は発音しにくいので、nが抜け落ちて、[aをつける]というルールが定着した。

sheepはなぜ単複同形? 群れで暮らし、しかも狩猟や食用の対象となった動物は、単数と群れ(複数)を区別する必要がないから。

studyの三人称単数現在形の時の-sは、studysではなく、studiesになるのはなぜか?studysは[スタダイズ]という発音になってしまうため、元のstudy[スタディ]の発音がわかりにくくなってしまい、studies[スタディーズ]という発音にした方が元のstudyがわかりやすいため。

-erをつけるものと、moreを使うものがあるのはなぜ? 音節が3つ以上の単語にerをつけると発音や聞き取りが難しくなり、2音節でも語尾によってはmoreになることもある。-ous, -ly, -able, -ful, -ive, -lessの単語もmoreを使う。

最上級にtheをなぜつけるのか? 形容詞の比較表現では最上級の後に名詞が省略されていると考えるから。He is the tallest (student) in school. (studentが省略されていると考える。)He can run fastest in school. (fastestは副詞の最上級なので、後ろに名詞が省略されていないので、theをつけない)

「劇場版「鬼滅の刃」無限列車編」を観て

2020年12月27日(日)にイオン津南へ観に行った。何せ、同じ職場の先生方が、「見ろ見ろ」とうるさく、最初はイヤイヤだったが、完全にハマってしまった。私に勧めてくれた3人の先生方には感謝したい。この日のために、アニメをNetFlixで全部見て、コミックも同時に借りて読んで、備えた。あらすじは次のとおり(映画.com)。

「週刊少年ジャンプ」で2016~20年に連載され、単行本1~22巻の累計発行部数が1億部を突破する吾峠呼世晴の大ヒット漫画をアニメ化した「鬼滅の刃」の劇場版。19年4~9月に放送され、炭治郎らが無限列車に乗り込む場面で終了したテレビアニメ版「竈門炭治郎 立志編」最終話のその後の物語が描かれる。大正時代の日本。鬼に家族を皆殺しにされ、生き残った妹の禰豆子も鬼に変貌してしまった炭治郎は、妹を人間に戻し、家族を殺した鬼を討つため、鬼狩りの道を進む決意をする。蝶屋敷での修業を終えた炭治郎たちは、短期間のうちに40人以上もの人が行方不明になっているという無限列車に到着する。炭治郎、禰豆子、善逸、伊之助は、鬼殺隊最強の剣士の1人、煉獄杏寿郎と合流し、無限列車の中で鬼と立ち向かう。

2020年製作/117分/PG12/日本
配給:東宝、アニプレックス

アニメで嗚咽!?声を上げて泣くなんて、何年ぶりか。

私も母を15年前に亡くしてから、母のことを思い出すことが多い。母に褒めて欲しくていろんなことを頑張ったことを覚えている。

ネタバレになるので、この映画についてもあまり書かないことにする。ストーリーも面白いし、感動もする。主人公の炭治郎の言葉は道徳の授業でも使えるかもしれない。

「指導力のある教師の知っていること〜学級経営の視点より〜」

津市教育研究会ブロック別研修会 上越教育大学教授 赤坂真二 先生

12月24日に突然回覧が回ってきて、この冬休み中にビデオ視聴するとのこと。元々教委時代にこの教育研究会の仕事をしていたので、コロナ禍で運営は大変だろうなと思いながら、見てみることにした。

まず、学級経営とは、教師と生徒との人間関係を高めることである。

しかし、現場ではたくさんの課題がある。発達障がい、家庭環境、多忙化による意思疎通の希薄さ、若手教員増による中堅ベテラン教員のサポート薄、名人芸盗む余裕がない、など。

学級経営には定義はなく、大学でもそれに関して勉強する授業はほとんどなく、大学で教えられていないのに、現場ではかなり重要度の置かれる仕事である。学級経営は大切だと言われているのに、無免許運転状態。

内発的学習→楽しさ、満足 内発的学習に向けるには、「自己決定性」、「有能感(やれるかも!?)」、「他者受容感」が必要になってくる。

意欲を育てると、適応できるようになる。学級の実態によって、教育効果が全く異なる。

集団成立の必要条件とは、「ルールの確立」である。規律とルールを集団内で共有されている状態が必要条件である。「リレーションの確立」内面的な関わりを含む親和的な関係づくり。

織物モデルとは、文化の尊重と伝統秩序(縦糸)、教師と子ども同士の心の通い合い(横糸)。これらが適切に編まれている状態。

集団育成の手順 共同的問題解決能力の高い生徒の割合を増やすこと。心理的安全性を補償すること。特に後者については、「自分らしく働くこと」、「自己認識、自己関係、自己表現できる」環境を創ること。教師のリーダーシップは、メンバー一人一人が安心して、自分が自分らしく、そのチームで働ける」環境を創ること。それが、「心理的安全性」につながる。

これからが、私も常々思っていることで、ぜひ実践したい、実践して欲しいことである。しかしながら、この話をしてくれるのは赤坂先生が初めてである。だからこそ、嬉しい。自分が実践してきたことを理論づけて話をしてくれているからである。

信頼感を高める教師のリーダーシップ 情報は感情のフィルターを通る。発信者→好き嫌い→受信者 好かれるということも、実は大切な要件。何を言うかではなく、誰が言うか。指導力の高さ=子供との信頼関係の高さ(→❌圧力、強制(言いなり)指導は、無力の積み重ね) 

先生の強みとは何か。先生サイドから考えるのではなく、生徒サイドから考えれば、それは、「理想の先生像」である。1位 わかりやすい授業 2位 自分たちと何でも一緒にやってくれる 3位 やる気を出させてくれる 4位 一緒に何でもやってくれる 5位 進路指導、教育相談をしっかりやってくれる。

求める教師像 「できるようにしてくれる先生」より「つながってくれる先生」の方が良い。それは、「自分に向き合ってくれる」、「授業の上達には時間がかかるから子どもたちは先生の上達を待ってくれない」からである。

やる気の条件 チャレンジさせるためには、橋渡し(スキャフォールディング)が必要。そして、安心感が必要。スキャフォールディングと安心感を与えてくれる先生が必要。安心感を与えてくれるのは親や保護者でなくてもいい。安全基地を創ること、それは、①いつも一緒いる(存在の安定性、持続性)②身体情緒のケア(生理的、感情の安定性)③情緒的な投資(定常的関心)愛情を注ぐ

つながる先生=やる気を引き出す先生

ジェフリー・シャボルノー(2013年全米優秀教員)「生徒一人一人の個人的人間関係が全て」

やる気を引き出す先生の授業 教師が生徒は関心を持っている(好意を持ち、生徒のニーズに共感(それに答える)と感じる時、生徒の学習意欲は高くなる。そのような関与を感じjないと、生徒は不満を感じる。

最も強力な動機付けツール 【人柄】と【日常行動】 人に好かれる性格(明朗や親しみやすさ、感情的成熟、誠実さ、精神的健康)

好意を伝える教師 ①子供たちに関心を向け、それを楽しむ ②親しみのある呼称 ③言葉や態度が暖かい ④子どもたち一人一人を知る時間を取る ⑤子どものバックグラウンドを知る ⑥鬼滅の刃 ⑦自己開示をしている(自分のバックグラウンドを開示する、興味、感心、考えの共有)【リーダーは予測可能な人】 ⑧生徒同士が知り合う機会を設定する

「どうやるか」ではなく、「どう(一緒に)いるか」

集団指導に成功する教師と失敗する教師の違い 2(支持層):6(中間層):2(非支持層) 中間層を味方につけている。8割を味方にしたら、クラスは崩れない。8割を味方につける教師が非支持層をつなげる力を持つ。非支持層は相手にせず、支持層を褒める。適切な好意を褒める。

うまくいかない教師 ❌コミュニケーション量が足らない、しゃべっているけど聞いていない。叱っているけど、褒めていない。  

うまくいく教師 🟡全体を見て、褒め上手である(「ありがとう」)、うまくやっている人は、見るべきところを見つけて褒める。あなたのやっていることは、日々役立っている。「褒めて育てよ」→叱ってはいけないのか?

黄金比 褒める4:3叱る

褒めてばかりではいけない、叱らないと褒めることが浮き立たない。positiveには、negativeが必要。

赤坂先生のご著書はたくさん出版されているので、上の2冊は少なくとも読んでみようと思う。特に、アドラー心理学の方は、先生の考え方を聞いていて、やはりアドラーの考え方に似ているなと思っていたので、読んでみたいと思う。

「問いのデザイン 創造的対話のファシリテーション」を読んで

 「問いのデザイン 創造的対話のファシリテーション」安斎勇樹 塩瀬隆之 著(学芸出版社)

 発問がうまく行かないと、子どもの活動がうまく行かない。逆に考えると、「発問が上手くいけば、子どもの活動がうまくいく。」活発でやる気に満ちた子どもたちが前向きに動いてくれる授業になることがある。特に、道徳の授業で発問の仕方に迷ってしまうことがある。この本を読むと、どう発問すれば良いかのヒントがもらえたような気がした。発問≠問いではないので、それはわかっているつもりだ。

 「問いを変えることによって、導かれる答えは変わりうる。」私たち教員もどのように発問するかで、子どもたちの答え方も変わってくる。いかにのめり込んで考えられるような「問い」を設定できるかが鍵である。

 「問い」は、思考と感情を刺激する。

 そのような問いを仕組むことが大切である。例えば、「象の鼻くそはどこに貯まるのか?」と聞くと、たくさん想像力をめぐらし、いろんな答えが導かれたということ。「考えたい」と動機付けられる考えたい」とどう気付けられる。

 「問いは、集団のコミュニケーションを誘発する。」

 授業でもしっかり練られた発問にはペアで話をさせていても喰いつく。

 「対話を通して、問いに向き合う過程で、個人の認識は内省される。」

 暗黙のうちにお互いが当たり前だと思っていることが、対話によって、メタ認知向上につながっていて、内省へと結びついていく。

 「対話を通して問いに向き合う過程で集団の関係性は再構築される。」

 お互いの認識に差がある場合、「溝に橋をかけ」相手を知ろうと心がける。

  「創造的対話とは、コミュニケーションから新たな良いやアイディアが創発する対話のこと。

 そのトリガーとして、問いは機能している。例えば、「危険だけど、居心地の良いカフェは?」という「問い」の方が創発的対話は促進する。

 「問いは創造的対話を通して、新たな別の問いを生み出す。」

 認識と関係性が編み直される。例えば、しまうまの模様はとても複雑で良く観察しないと人に伝えることはできない。目に見える人より見えない人の方がしっかり説明できることがあり、教える教えられる関係性の再構築になる。

 ここで、「問い」の定義とは、

 「人々が創造的対話を通して認識と関係性を編み直すための媒体」

 発問とは、問う側が答えを知っており、問われる側は答えを知らない一方、問いは問う側も問われる側も答えを知らない。

 「問題」と「課題」について。

 「問題」は、「何かしらの目標があり、それに対して動機づけられているが、到達の方法や道筋がわからない、試みてもうまく行かない状況のこと。

 「課題」は、関係者の間で、「解決すべきだ」と前向きに合意された問題のこと。

 授業では、課題を提示するが、授業の冒頭で、生徒と「解決すべき」であると前向きに合意させていかないといけない。

 課題設定には罠が5つ存在する。

 ①自分本位(自分本位の視点に偏って、経験者全員にとって建設的になっていない) ②自己目的化(導入する意義や目標を吟味しないまま設定してしまうこと) ③ネガティブ他責(課題の設定が後ろ向きになっている) ④優等生(「ポイ捨てを減らすにはどうすれば良いか?」という問いに対して、優等生的な答えしか導かれない) ⑤壮大(設定される課題が壮大過ぎる)

 問題に対してどのような心構え(マインドセット)で迎えるか。問題をどのように捉えるのかについての思考法は5つある。

 ①素朴思考(浮かび上がった疑問をぶつける。良い質問でなくても良い) ②天邪鬼思考(わざと批判的に問うてみる。素朴思考とのバランスが重要) ③道具的思考(記号やモデルを使う。問題の深掘りが進まなくなったとき、「道具」を通して別の角度から問題を捉える) ④構造化思考(複雑な問題状況に対して課題を定義しようとする際には不可欠。問題を構成する要素を大まかにみて、それぞれの要素の関係性を分析・分析する) ⑤哲学的思考(本質を捉えること。「それが確かに物事の本質かもしれない」という互いに納得できる共通理解に達すること)

 課題を定義する手順

STEP1 要件の確認→問題状況を解決するにあたって必要な情報を確認。「目標」をしっかり確認。

STEP2 目標の精緻化→①短期中期長期目標にブレイクダウン②優先順位をつける③プロセス目標(副産物として生まれるもの)、成果目標(実際の目標)、ビジョン(将来的な理想)に目標の性質によって整理 ⭐️「目標を決めるという目標」、「共通の目標を決める」というメタ目標を設定

STEP3 阻害要因の検討→目標が実現されない5つの要因 ①そもそも対話の機会がない ②固定観念が強固 ③意見が分かれて合意形成ができない ④目標が自分ごとになっていない ⑤知識創造性が不足している 

STEP4 目標の再設定(リフレーミング)→リフレーミングのテクニック ①利他的に考える(自分本位は❌) ②大義を問い直す ③前向きに捉える ④規範外にはみ出す ⑤小さく分割する ⑥動詞に言い換える(「万歩計」をリデザインする→歩行で「測る」をリデザインする) ⑦言葉を定義する ⑧主体を変える ⑨時間尺度を変える ⑩第3の道を探る

STEP5 課題の定義→良い課題の判断基準 ①効果性 ②社会的定義 ③内発的動機 ⭐️「衝動」を掻き立てる課題設定(やりたい考えたい)

 ワークショップについて。私の授業は、子どもたちにたくさん活動させたいという観点から、ワークショップ形式である。私がファシリテーターで子どもたちを導いていくというスタイルをとっている。子どもたちが主体なので、「果たしてこれで良いのだろうか?」と思うこともある。

 作者によると、ワークショップの定義とは、「普段とは異なる視点から発想する、対話による学びと創造の方法」。こう考えると、私の実践しているワークショップとは少しずれている。私の方には、「異なる視点」という部分と「創造」がない。

 ワークショップの4つのエッセンスとは、①非日常性 ②協同性 ③民主性 ④実験性 ⭐️ボトムアップの考え方

 ブレストが唱えるワークショップの失敗とは、「判断や結論の排除」、「質より量」、「アイデア同士の結合と改善」の4原則がないこと。

 そもそも思考がどのように深まり、アイデア同士が合わさって新たな創造性に結びつくことへの十分な配慮が必要。

 ワークショップのデザインとは、普段と異なる視点→対話で新しいアイディア→集団が囚われた認識と関係性が編み直される。

 ワークショップの基本構造は、改めて、導入(イントロダクション、ディスプレー)→知る活動(資料、情報提供)→創る活動→まとめ(発表、振り返り)

 問いにひねりを利かすことも大切。「あなたの得意技は?」→「あなたの意外な弱点は?」、「あなたの職場の課題を病気やケガに例えると?」

 どのように参加者の経験が必要かあぶり出し、「課題」を「経験」に翻訳すること。

 問いの制約を設定するテクニック

①価値基準を示す形容詞をつける。「良い」→「快適な」 ②ポジとネガ 「最高の」、「最悪の」 ③時間の制約をつける。「2030年において」 ④想定外の制約 「危険だけど居心地の良い」 ⑤アウトプットの形式に制約をつける 「◯◯の3つの条件とは?」 

 「居心地の良い図書館を考えて、レゴブロックでミニチュアを作ってください。」これだけではいささか乱暴な問い(創る活動)になるので、「意味」と「仕様」を一度に尋ねるのではなく、「良い図書館とは?」と「具体的な仕様とは?」と二つに分けて尋ねる方が良い。1 あなたがこれまで経験した居心地が良かった場所は?→その場の居心地の良さを作り出している要因は? 2 居心地の良い図書館のミニチュアを作る。

 テクニック ①点数化(「あなたの現在の仕事の満足度は何点?」→「100点とはどのような状態?」、「+5点にするには?」) ②グラフ化(「入社してから現在に至るまでノアタナの仕事の充実度をグラフにすると?」→「なぜ上がっているのか?(なぜ下がっているのか?)」 ③ものさしづくり(点数化の後、「なぜこんなに人によって、ずれてしまうのでしょうか?」→「付箋に書き込みましょう。」) ④架空設定(「もし◯◯だったら?」) ⑤そもそも(「そもそも図書館とは?」 ⑥喩える(「あなたの職場の課題は?」→「あなたの職場の課題を、病気やケガに喩えると?)

時間調整 導入10〜20%、知る活動20〜30%、創る活動30〜40%、まとめ10〜20%

課題のデザイン 良い課題の判断基準 ①効果性 ②社会的意義 ③内発的動機

問いの因数分解 ①「過去の経験を探索させる問い」(朝ごはん何を食べた?) ②「価値観を探索させる問い」(最も豊かな制約→「今日は◯◯」 ③「集団の合意点を探索させる問い」(「三つの条件とは?」) ④「朝食のメニューとは?」(解決策の探求)

良いアイスブレイクの問いのポイント ①固定観念を揺さぶる ②集団の関係性を揺さぶる ③警戒と緊張をほぐす ④テーマと接続させる

ファシリテーターのコアスキル 1️⃣説明力→①問いの焦点を明確に伝える ②問いに記述されていない背景の意図を伝える ③前の問いとのつながりについて補足する ⭐️問いと課題とのつながりを一言をそえる ⭐️問いに引きつけるポイント ①好奇心に基づく注意を引く ②参加者自身との関連性を意識している 2️⃣場の観察力→「沈黙する時間」も必要。その時がなぜ発言がないのか見極める。「鳥の目」と「虫の目」(俯瞰的と精緻に観察(場の視点を捉える)) 3️⃣即興力 4️⃣情報編集力 5️⃣リフレーミング力 6️⃣場のホールド力

ファシリテーターの芸風 ①場に対するコミュニケーションスタンス ②場を握り、変化を起こすための作戦 ③学習と創造の場づくりに関する信念 ⭐️ワークショップの「問い」は、その場にる誰もが気づいていない答えに辿り着くためのトリガー。 ⭐️「まとめ」の発表へのフィードバックでは、予定していた終わりの言葉を予定通り並べるより、その場で手に入れたばかり予想していなかった言葉をかける。

即興的な問いかけ ①シンプルクエスチョン「素朴な疑問」 ②ティーチングクエスチョン「欠けていた視点に気づかす質問」 ③意欲、思考、価値観を引き出す問い「コーチングクエスチョン」 ④フィロソフィカルクエスチョン「そもそも◯◯とは何でしょう?」 ⭐️対話を可視化するグラフィックレコーディング

授業でも発問焦るばかり発問を詰め込んでしまうばかりに、ブツ切れで思考をストップさせてしまうことがあるので、思考がスムーズに流れるように、発問と発問、意見と意見をつなぐような「問い」をデザインすることが大切だとわかった。初心に立ち返ってもう一度「問い」をデザインし直すことにする。

英語教育12月号を読んで

「書くことは考えること『相手意識』に立脚した論理的思考」で、山岡大基教諭(広島大学附属中・高等学校)は、

(中略)「思考力」とは、コミュニケーションの目的・場面・状況を考え、相手にとって最適な言葉遣いを選択していく。そういった「相手意識」を働かせることが「思考」であり、それができる力が「思考力」

と語っている。さらに、

 外国語教育における「課題」とは、一義的には、「コミュニケーション」なのだということです。その限りにおいては、英語の授業として育てるべき「思考力」とは、コミュニケーションの相手を意識して英語を使う力だと言えるでしょう。

お互いの考えや意見を伝え合うためには、コミュニケーションを成立させなければならない。その上では、様々な課題が存在する。話す力、聞く力、表現する力、伝える力、会話構成能力、そのどれもが必要であり、それらの力をつけていくことも課題である。その中でも最も大切なものは、「相手意識」であると言う。

 自分の手持ちの情報をどのように活用すれば、読み手に納得してもらうことができるのか、という思考が必要になります。

「少人数ゼミでのWriting指導 リベラルアーツ教育とAcademic Essay Writing」で、山本永年教諭(市川中学校・高等学校教諭)は、

 Academic Essay Writingにおいて、英語のチェックについては2点心がけていることがある。1つめは、生徒同士が読んでわかるかどうかという点である。(中略)2つめは、オンラインによる文章のチェックである。Cambridge English Write & Improve®︎やGrammarly®︎を生徒に使わせている。

と、オンラインでミスをチェックさせてから提出させている。少し調べてみた。Cambridge English write & Improve®︎とGrammarly®︎は、次のような感じ。

https://writeandimprove.com/

Grammarly®︎はここでダウンロードできる(無料版)https://www.grammarly.com/m

ぱっとみた感じだけであるが、Grammarly®︎の方が使い勝手が良さそうである。是非、使ってみたいと思う。

「書くことに困難を抱える児童生徒への指導」で飯島睦美教授(群馬大学)

は、こんんなんと特性の特徴を考慮した指導について、次の9点を挙げている。私はこの中で、2番目を中心に指導してきたが、さらに8点の興味深い提案がある。

 ①文字の大きさや感覚に注意して書字練習

 ②文字と音の融合 ⭐️ 私が心がけてやっている「音素カード」である。

 ③絵画情報提示 文字や音だけでなく絵で概念を把握させること ⭐️ これも  「音素カード」で提示している。

 ④明示的・演繹的導入 自らルールを発見する(暗示的)が苦手なので、ルールを提示し自動化させる。

 ⑤単語カード並べ替え カードを並べ替えて語順のトレーニングをする

 ⑥パターンプラクティスを活用した自動化

 ⑦演繹的導入によるブレインストーミング 書く内容について内容を膨らませる。

 ⑧スモールステップによる段階的指導

 ⑨接続詞とディスコースマーカーの指導 論理的で一貫性のある英文を作成するため。

 まずは正しく字を書くことから。1年生ではこの部分を徹底的にやりながら、少しずつ文章を書く量をスモールステップで増やしていく。

「文章を『書き直す』ことで考えを明確にする」で佐渡島紗織教授(早稲田大学)は、推敲について論じている。

しかし、文章を「書き直す」ことには、大きな意義がある。表現に関わる直しはもちろんのこと、内容も変わることになるからである。私たちは、考えを言葉にすると文章ができると考えがちである。つまり、考えが先で言葉は後であると。しかし実際は、私たちは言葉の使い方を検討することを通して考えを練るのである。私たちは言葉を操作して施行するからである。この考えの転換を哲学では「言語論的転回」と呼ぶ。だから、書かれた文章を、言葉の使われ方に着目して検討し直していくと、自ずと書き手の考えが整い、その結果、読み手にも分かりやすい文章ができる。

 推敲することで、頭が整理される。内容が良くなる。何度も読み返すこと。稀にデータ保存に失敗して全ての文章が消えてしまった時など、改めて思い出しながら文章を再生すると、前回のより良いものができたりする。そんな感じかもしれない。

MEMO:p+igのようにオンセット(母音より前の部分)とライム(母音から後の部分)に分解して音を合わせる練習

小学校英語 教科書活用のヒント 第9回「スピーキングの指導方法」町田智久(国際教養大学准教授)

Big voice, Eye contact, Gesturesという3要素だけでなく、さらに3要素追加すべきである。Authenticity(身近な場面を設定する), Personalization(児童に関連づける), Creativity(創造性を加える)

新しい日常における英語語彙指導・2ー学習方略指導と語彙テストの観点から 中田達也(立教大学准教授)・内原卓海(ウェスタン大学博士課程)

テストをした方が学習内容が定着することは、エビデンスから科学的に証明されている。ならば、小テストや単元末テストはした方が良いとこの記事を見て確信した。まずはコアミーニングについて、

 コア・ミーニング(複数の意味に共通している中心的な意味)を把握することを目指しましょう。コア・ミーニングを知る上では、オンライン辞書weblio(https://eject.weblio.jp/)が便利です。主な多義語のコア・ミーニングがイラスト付きで掲載されています。

https://ejje.weblio.jp

語彙テストの活用については、

 これまでの研究により、テスト自体に学習効果があることが示されています。(中田2019)つまり、テストは評価のためだけでなく、学習活動の一環としても用いることができます。「学習のためのテスト」と「評価のためのテスト」という観点から、語彙テストの活用法をご紹介します。 

 「学習のためのテスト」においては、興味深い研究があった。単に、テスト範囲のテストを行うより、これまでのテスト範囲を含めた「累積テスト」の方が効果が高いというのである。

 非累積テストと比較して、累積テストは語彙習得を2〜3倍以上促進することが件キュにより示されています。そのため、単語テストを行う場合には、以前のテストでカバーされた単語も出題範囲に入れた累積テストを用いるようにしましょう。

音声テストについては、AELP等のwebサイトからダウンロードできます。

https://inetapps.nus.edu.sg/aelp/

評価のための語彙テストについては、

 Vocabulary Size Test

https://my.vocabularysize.com/

V_YesNo

http://www.lognostics.co.uk/

 Vocabulary Levels Test

https://www.lextutor.ca/tests/

が活用できる。

「罪の声」をみて

 11月の中旬くらいに、友人のMr. Tの勧めで見に行った。彼の勧める映画は、聞いた瞬間はあまりパッとしなくて、「見に行くまでもない」と諦めてしまうことが多いのだが、見に行った映画には不思議とハズレがない。今回のも勧められた瞬間はやめておこうと思ったのだが、どうしても気になって行ってしまった。かなり面白かった。

 公開して1ヶ月で評価が4.0なので大したものだと思う。

 「グリコ・森永事件」をモチーフにした映画で、実話だったら、これで解決したことになるのだろうけど、講談社BOOK倶楽部「塩田武士独占インタビュー」では、

https://news.kodansha.co.jp/20160803_b01

本作を読んだジャーナリストから電話をいただいたんですが、第一声が「これ、どこまで本当なの?」。僕は、取材の過程で作品に描いたような推理が成り立ったことを説明しましたが、その一方であの犯罪のあとには、いくつもの哀しい人生があったのではないかと思っています。とりわけ事件に利用された子供は、どのような人生を送ったのか……。そういうことに思いを馳せるところに、いまあの事件を取り上げることの意味があると思うのです。

とあるので、実話でもあり、創作もありという感じかもしれない。私の中では、この映画を見てあの事件の真相が全て解決されてしまったような錯覚に陥る。次は、映画.comによるあらすじ。

https://eiga.com/movie/91122/

実際にあった昭和最大の未解決事件をモチーフに過去の事件に翻弄される2人の男の姿を描き、第7回山田風太郎賞を受賞するなど高い評価を得た塩田武士のミステリー小説「罪の声」を、小栗旬と星野源の初共演で映画化。平成が終わろうとしている頃、新聞記者の阿久津英士は、昭和最大の未解決事件を追う特別企画班に選ばれ、30年以上前の事件の真相を求めて、残された証拠をもとに取材を重ねる日々を送っていた。その事件では犯行グループが脅迫テープに3人の子どもの声を使用しており、阿久津はそのことがどうしても気になっていた。一方、京都でテーラーを営む曽根俊也は、父の遺品の中にカセットテープを見つける。なんとなく気になりテープを再生してみると、幼いころの自分の声が聞こえてくる。そしてその声は、30年以上前に複数の企業を脅迫して日本中を震撼させた、昭和最大の未解決人で犯行グループが使用した脅迫テープの声と同じものだった。新聞記者の阿久津を小栗、もう1人の主人公となる曽根を星野が演じる。監督は「麒麟の翼 劇場版・新参者」「映画 ビリギャル」の土井裕泰、脚本はドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」「アンナチュラル」などで知られる野木亜紀子。

2020年製作/142分/G/日本
配給:東宝

 「グリコ・森永事件」が起こったのは、ちょうど、私が浪人生活をしている時。名古屋の駅裏(現在の新幹線口)に下宿して河合塾に通っていたときの頃。当時の名古屋駅裏はホームレスが多く、冬場は暖かいコインランドリーにたくさんいらっしゃって、まだ19歳の私は洗濯をしに中に入れなかった時があることを覚えている。予備校帰りに、小さいハンドバックにつけられている金の鎖をクルクル振り回しながら近づいてくるお姉さんに、「遊んで行かない?」と毎日声をかけられていた。治安があまり良くない地区に住んでいた。下宿から歩いて10分ほどのスーパーに、「毒入りキケン」と書かれたお菓子が見つかったのは、確か、秋〜冬くらいだったと思う。とても怖かった思い出がある。そして、事件がかなり身近に感じていた。その思い出が今でも忘れられない。

 体制に反旗を翻し、いつか住みよい暮らしやすい身の回りを実現したい、お金持ちや権威者だけがのさばる世の中を変えていきたい、そのためには、緩やかな変革ではなく激しく暴力的な部分もないと、世間や世間の考え方は変わっていかない。イスラム教を世界に広げていく過程で、「ジハード」も止むを得なかったという時代があったのもうなづける。日米安保をはじめとする不安と不満から起こった学生運動が鎮火されても、火種はまだ止まず、反体制を目指し、あの事件へと動いて行ったというストーリーは十分ありうると思う。

英語教育11月号を読んで

 今月は第1特集では、「スパイラルな指導で学びを確かに〜既習事項の定着を高める〜」、第2特集では、「トリビアで英語を楽しむ」、第3特集では、「リモート授業の不安に負けない 大学生の学びを大切に」である。

 私が興味を持っている英作文指導についての記事があった。

 「英語につまずいた生徒が前を向く指導Q&A」(山本 由貴先生 福井県敦賀市立角鹿中学校)の「『書くこと』が苦手な中学生が多く、指導に悩んでいます。改善のポイントは?」

 山本先生は次の3つのポイントをあげている。

 1 「相手意識」と「目的」を持たせる

 「相手意識」は今や英語教育では欠かせないキーワードである。どんなに立派な作文が完成しても、どんなに発音よく発表しても、聞いている相手に伝わらなければ全く意味がない。また、聞いている相手の状態、発達段階、英語の能力、環境、時間など、その場の状況をよく理解して発表する(作文する)ことが相手意識を考慮したプレゼンテーション(作文)ということになる。そして、「何のために」書くのかという目的をしっかり持つことである。書かされている感があると、目的なしに書くと、いい文は書けない。「これは、誰のために、どういう目的で」書いているのかという明確な目的意識を持たせることが大切である。

 2 文や文章全体の構造に目を向けさせる

 主語動詞はもちろんのこと、自分が書いている文がどのような構造をしているのか、語順を意識して書くこと。

 3 フィードバックとリライトを大切にする

 English Journal(英作文の課題をこなす専用のノート)を生徒1人1人に持たせて、心の動きを記録し、大切なポートフォリオの役目を果たすよう支援。月曜日:テーマ確認とスピーキング活動、(家庭学習)授業で話したことをもとに作文、火曜日:書いたものを提出書いた(1回目)、水曜日:ALTとJTEからフィードバック、木曜日:(家庭学習)返却されたノートを見て、リライト、金曜日:再度提出させた上で、今週のBEST英作文の共有

 なるほど、私の「週末課題」より細かくstep by stepで行われている。今の生徒には合わないかもしれないが、やってみたいと思った。この山本先生のやり方で、月曜日のスピーキング活動というのがあるが、これが最も大切である。「言い慣れたことは書きやすい」のである。私のストーリーリテリングにおいても、何度かペア交流した後に書かせると、slower learnerもスッと書くことができる。

 さて、英作文の私の考えるやり方として、

 英作文指導のポイントは、次の3点。

  1 短時間で長期間の指導   

 長くとも15分程度で1回を終えられる分量の課題設定とそれを長期間できる環境の設定 

 例えば、「週末課題」のように、1週間に1回、20分くらいでできる課題を週末に出題し、週明けに回収する。これを3年間(担当学年によっては1年間)継続させる。

 山本先生は記事の中で、「フィードバックとリライトを大切にする」と書いている。ここで大切になるのは、リライトである。リライトさせないと、間違った自分の文章が完成することはなく、間違ったまま覚えてしまう。リライトされた文章を見るだけでなく、もう1度書いてみるということが大切なのである。

 そのリライトされた文章をさらに、次のようにexposureするとよい。

  2 exposure(晒すこと)

 Journal化すること

 Journalというのは記事だったり、通信だったり、まとめたものにすることである。子どもたちの英作文をプリントや通信にして全員に配付するのである。ここでも、いくつかの選択肢がある。

 一つ目は、子どもたちが書いたものをそのままコピーして貼り付けて配布するパターン。字で誰の作品かわかったしまう虞があるが、それも考慮の上で配付する。

 二つ目は、名前を入れるのか入れないのか。自分の作文だと周りに知られたくない子どももいるし、口だけでは「見られたくない」と言っている子どももいる(本当はみんなに見て欲しい)。

 三つ目は、PCで英作文を打ち直して配付するパターン。これだと誰の作文かはわからない。

 四つ目は、全員のを取り上げるか、優秀作品だけにするか、一部の生徒の作文にするか(できはともかくとして)(順番、抽選)、できは関係なく意図的に一部の生徒の作文にするか(典型的な間違いをしている作文を取り上げて授業で解説するなど)。

 学年初めなどは、PC打ち、名前なし、優秀作品だけを取り上げた。すると、翌週から取り上げて欲しい生徒が頑張って書いてくるようになった。こうなるとしめたものである。

 掲示すること

 提出された作品をきれいにデコレートして、教室の一部や英語教室などに掲示すること。ここでも大切なことは、アップデートすることである。ずっと貼りっぱなしになっていて誰も見なくなっているのに(紙も汚れてしまったり破損してしまっているのに)、そのまま放置されることは避けたいものである。Journalと交互にするのもよし、とにかく「みんなに見てもらいたい。」という気持ちだけは忘れずに、定期的に掲示することが大切である。その掲示物に触発されて英作文を頑張ってみようと思う生徒は必ずいる。

 授業で批評会をすること

 とにかくexposureすること、という原則からすれば、授業の冒頭「短時間学習」で、英作文を机上に置いて、子どもたちが移動してそれらを見合うという互見会を開いてもいいかもしれない。45秒くらいでタイマーをセットしておいて、時間がくれば次の席に移動して英作文を読むことにする。時間的にあまり余裕がない時は、一言メッセージを書くという時間はないと思うが、一通り読み終わった後に、どの作文が良かったか、またその作文のどこが良かったのかを書かせてみてもいいかもしれない。

 3 英作文させるトピックについて、話す活動をさせてから書かせること

 これは先ほども述べたので、詳しくは書かないが、話すことで相手意識も生まれるし、目的もはっきりしてくるような気がする。「この単語はどう書くのだろう?」「この表現は教科書のどこかに載っているのかな?」単純に書きたいという気持ちが生まれてくるようにさせるのが、「話す活動」である。

 表現させることは難しいことである。表現することが1番大切なことであるから、当たり前なのだけれど、もっともっと追求してくべきことであると思う。

「英語教育10月号を読んで」2

「自力で学べる生徒をどう育てるかー家庭学習の効率よいルーティーン化」本田敏幸 千代田区立九段中等教育学校主任教諭

本田先生のご講演は2度にわたって拝聴している。先生が大学院在学中に一度、東京のELECの研修会で。また、2〜3年前にCELES(中部英語教育学会三重支部)でもお聞きしている。その際にはお食事まで一緒にさせていただいてたくさんのお話をお聞きした。

今回は、家庭学習でどんなことをさせればよいかについて、書かれていた。その中で、とてもいいなと思ったのが、”Seven Steps”である。

私は相変わらず、予習と称して宿題にしていた、単語調べ、単語練習、本文写しを音声導入した後、「本文単語練習」という名前に替えてさせている。本多先生は、このやり方を少しアレンジし、リスニングや音読も含めながら行わせている。

STEP1は、教科書を開き、「教科書のCDを真似て、5回以上音読を行う。」教科書の文字を見ながら、CDをモデルにして行う。

まずは、本文の概要をつかんで、文字と音との一致から読み方を覚えていく。

STEP2は、教科書を閉じて、「CDの後について、1文ずつ言えるようにする。」

内容がつかめていないと、CDを聞いても1文が言えないので、STEP1がとても大切になってくる。

STEP3は、教科書、ノートを開き、「新しい単語(太字)をノートに何度も書いて覚える。」

ここも単語を発音しながら書くことが大切である。どの綴り字がどんな音になるのかしっかり確認する。

STEP4は、「本文を2度以上書く。」発音しながら書くようにする。

STEP5は、「写した英文を黙読して、間違えがないか確認する。」

STEP5が大切である。ここで間違えた文を何度も書いてしまうと、ミスの刷り込みをしてしまうことになる。非常に危険である。間違った文を何度も書くほど無駄な時間はない。

STEP6は、教科書を閉じて、「1文ずつCDを聴き、英文をノートに書く。」

STEP1〜5までしっかりやっていれば、STEP6は意外にスラスラとできるはずである。ここまでの努力の成果を試すためにも大切なSTEPである。

STEP7は、教科書を開いて、「答え合わせをし、間違いを赤ペンで直す。」

今の3年生を卒業させたら、Seven Stepsを自分の中に落とし込んで、生徒たちへやらせてみよう。