この本を完読するのに、まさに長い時間がかかりました。基本的なことから始まり、英語教員歴36年の私でも知らなかった多くの新しい知見が詰まっており、非常に充実した内容でした。そのため、他の本を読み進めながらではありましたが、気づけば1年以上かかってしまいました。
ここからは、この本で私が学んだこと、そして特に覚えておきたいポイントを抜粋して共有したいと思います。英語教育に携わる皆さんにとっても、必ず役立つ情報が詰まっているはずです。
Oral Introductionとは、簡単に言うと、「主として教材の内容を、既習のの語彙や文型を使ってこうとで導入すること」「教科書は閉じたままで、新教材の言語材料や題材内容を、教師と生徒の英語によるやりとりを中心に、視覚補助(絵や写真など)も活用して、生徒に理解させる活動.教師が一方的に語るのではなく、できるだけ生徒とやり取りをするような形で進める.音声→文字で、板書で綴りを示した方がいい.
Oral Introduction の後は、Explanationを入れる。Explanationは、補足説明、日本語で良い.Oral Introductionとあわせて、教材の100%理解を図る.
教科書本文導入の留意点 視覚補助を使いながら、生徒に問いかけながら進める.生徒が答えられるかどうかわからない場合は、個人指名をせず全員に投げかける.誰かが答えれば、それを拾う.答えられなければ、自問自答になっても良い.
1文で終わらせない指導 Yes / No Questionで、答えられるようになったら、「その後に1文付け加えてみましょう」例えば、Do you like milk? Yes, I do.で終わるのではなく、その後に、I drink it every day.のように付け加えてみましょう.
発表にもひと工夫 中間指導で任意のペアを前に出して、やらせてみる.最後は、ランダムに選んだ、元のペアではない生徒2名を前に出して、同じようなやり取りを行ってもらいます.それによって、クラス全体で確認していくことができる。
リテリングした後のライティングの活動は時間がかかるため、時間制限をした上で数文書かせて、残りは家庭学習にするといい.
ライティングのフィードバックについて、全てチェックして真っ赤になった作文を返却するよりも、生徒が書いたことを後悔しないような、教師のポジティブなコメントをつけた方が、生徒のモチベーションは上がる.
文法指導について、動名詞→Happiness is _.で書かせる.例えば、Happiness is sleeping in my warm bed all day.やHappiness is talking with my friends over some snacks. 仮定法→叶わぬ夢を告白 I wish my house were nearer the school. I want to sleep longer. I wish I were tall. My younger brother is taller than me.など。
単語の提示について、文脈の中で行うのが原則.①実物による提示 ②模型による提示 ③絵・写真による提示 ④動作による提示 ⑤動画による提示 これらをOral Introductionによって提示する.さらに、⑥ChatGPTによる絵の提示 単語の定義を入れるだけで、それに見合う画像や絵を提示してくれる.
辞書指導 数えられる名詞(countable)は、おおざっぱに言って「決まった形(輪郭)があって、シルエットからそれが何であるか、なんとなくわかるもの、ちぎったり分解したりすると、元の名前では呼べなくなるもの(例えば、椅子を分解すると「肘掛け・背もたれ・座面・脚・キャスター」などになってしまい「椅子」とは呼べなくなる)。単数系にはa, anがつけられ、複数形がある.「数えられない名詞」(uncountable)は、大雑把に言って「決まった形(輪郭)がなく、ちぎっても、一部を取り出しても、元の名前のまま呼べるもの、a, anはつけられず、複数形もない.
文字指導 大文字と小文字を関連づける 最適な指導は、大文字から小文字が生まれた歴史を想豫させること.A→(. )→(. )→(. )→(. )→aこの作業の目的は、生徒になんとなく大文字と小文字を見比べさせることなので、途中部分の成否は、あまり重要ではない。
4線を減らすこと 生徒が1線の上に書けるようにするには、いきなり1線にせずに中央の2線に書かせる段階を設けること.これにより、小文字については、その2線の中に収まる文字か、上に出る文字か、下に出る文字か、といった意識が高まり、正確に書けるようになる.
語・文の書き方 語の場合、文字と文字がどれくらい離れていると読みやすいか、逆に接近しすぎると読みにくいかなどを認識する.文字を書く場合には、語と語の間に小文字のnかoを1文字分空けること。また、文と文の間にはnかoを2文字分空けることを指導する.
左利きの指導について a 4線 a のように、行の右端にもお手本を載せておくといった配慮が必要.書いている文字がよく見えるように、①体の中心より左側で書くこと ②鉛筆は、右利きで標準とされる位置より少し上の方を持つこと ③書き込むためのノートやプリントは右下に傾けること、などを指導すると良い.
空欄は( )ではなく、下線にする.下線が文字を書く時の基本線になるから.