「パラサイト 半地下の家族」を観て、「匂い」について考えてみた

 「パラサイト 半地下の家族」を観た。アカデミー賞受賞すぐ後だったので、イオンシネマはいっぱいだった。同僚の薦めもあり、かなり期待して行ったが、期待どおりおもしろかった。しかし、いろんなことがフラッシュバックしてきて、しばらく心が苦しく、ふさぎ込んでしまった。

 韓国のかなり傾斜のある坂道に建てられた家。下り坂に建てられているので、窓からの景色は坂道の道路より下にある。酔っ払いが小便をかけるような近辺の環境。その家に住む父母、主人公(男性)と妹。貧しく、その日暮らしの生活をしていたが、主人公は友人から富豪の女子高生の家庭教師を紹介してもらうと、状況は一変する。家族全員が富豪の家に家族とは明かさずに仕事にありつき寄生することになる。

 ネタバレになるので、これ以上は書かないが、

 「匂い」が隠れたテーマになっているように感じた。匂いはそれまでにあったことを即座に思い出させてくれる。「ん?冬の匂いがする。」と感じられる寒い日もあるし、「この匂いはあの人だ。」と人を思い浮かべる時もある。生ゴミの匂いを嗅ぐと、プーケットの朝の路上の風景を思い出す。香水の匂いを嗅ぐと、アメリカの空港を思い出す。

 半地下に暮らす人たちには、半地下の匂いが染みついている。生活の臭いなのか、不衛生がゆえについた匂いなのか。この家族はその匂いから逃れようとするが、染み付いた匂いだけでなく、彼らの暮らしからも逃れることはできない。

 半地下に戻ってしまった母と主人公。半地下ではなく、全地下へ行ってしまった父親。亡くなってしまった妹だけが天上へ行き、地下から逃れられたのかもしれない。

江戸川乱歩の「人間椅子」や「屋根裏の散歩者」を思い出す。

新学習指導要領下での評価方法、特に「主体的に学ぶ態度」はどう評価すればよいか、わかりました。

 2020年2月10日(月)鈴鹿市立神戸中学校で行われた、関西大学外国語学部教授 今井裕之先生のご講演を拝聴させてもらう。かなり有益だった。さすがは今井先生、いつもながら、優しい語り口で要点を捉えて教えてくれる。

 新学習指導要領下では、評価の観点が現在の4項目から3項目に変わる。全ての教科が同じ観点に変更され、「知識技能」、「思考力判断力表現力」、「主体的に学習に取り組む態度」になる。

 この3観点の中でも、「主体的に学習に取り組む態度」の評価については、どのようにしていけばいいか、同僚や仲間の間でもかなり論議を読んでいるところであったが、今井先生の話を聞いて少しわかった気がした。

 「主体的に学習に取り組む態度」は、「粘り強さ」と「自己調整」であるとのこと。「粘り強さ」に関しては、言語活動の中で目的場面状況を意識した5領域の活動がしっかりできているかどうか。それは、パフォーマンステストや日々の振り返りで測ることができる。また、「自己調整」は、メタ認知を向上させること。学びを継続させるにはどうすればよいか、計画的に取り組むことや、自分の学びの強みと弱みを知ること、学びの中でわかったことやわからなかったことを理解すること、など。これは「振り返りカード」で評価することができる。

 パフォーマンステスト、振り返りカードの活用をもっとしていかなければならないことがわかった。

文部科学省作成 新学習指導要領移行期教材 Bridgeは新CSに対応して、思考判断表現力を養い、言語活動とはどんなものかがよくわかる教材でした。

 2020年2月9日(日)に森会(英語の先生の有志による勉強会)があった。

Bridgeをじっくり検証してみた。

 令和2年度から中学校1年生と2年生に配付される新学習指導要領対応の中学校外国語教材である。来年度の中1と中2は新学習指導要領(CS)の内容を履修せずに新しい教科書と向かい合うことになるため、文部科学省から配付される教材である。

 特徴としては、①語数が新CSでは増えるために、その語彙を補えるような文章がある、②思考力、判断力、表現力が培える問題が多い、③課題解決がメインとなっており、そのために自分はどうするべきか問われる場面がある、④「目的、場面、状況」を意識した言語活動となっている。⑤ 新CSでは必須の文法事項になる、現在完了進行形、仮定法過去、動詞+人+間接疑問文、形容詞+that節(これは私だけかもしれないが、日頃英文を読んでいてもあまり巡り合わないので、なぜこの文法が必要なのかわからない)などがある。

 すべてが新CSに対応していて、すぐれた教材だと参加者とともに感心していた。さらに、私たちは授業に対する考え方を大きく転換しなければならない。

 答えは一つではなく、課題解決のためにいろんな資料を活用しながら、答えを見つけていかなければならない。TALKやWRITEというコーナーもあり、パートナーと協力しないと答えられない場面も設定されている。「会話するのができない。」や「書くのができない。」など、現在指導者が苦慮している部分も乗り越えていかないと対応できない。その部分に議論が集中した。

 5分でもいいから帯活動でUNPREPARED状態で、フリートークをしていく、まずはfluencyを高めるところから、accuracyは話すことに慣れてから。さらに、書く方も視写ばかりではなく、自分の気持ちや意見を書く方に徐々にシフトしていかなければならない。それも帯活動や週末課題のなかで、少しずつ。

 参加者みんなで新しい方向がなんとなく確認できたいい週末だった。

ちなみに、森会というのは、Wさんという英語教諭が中心になって行われている、有志の英語の勉強会である。もうすでに5年くらいが経過しており、回数も40回を重ねている。参加者も少しずつ増えてきている。

「イヌの仇討」こまつ座第130回公演 井上ひさし作 東憲司演出

 これまでの赤穂浪士の討ち入りは、浅野内匠頭の無念を大石蔵之介を中心とする四十七士が晴らすというストーリーが多かったのだが、この劇はその概念を全く覆すものであった。

 時代の真実は虚偽と嘘だらけ。吉良は本当に悪者か。

 吉良が浅野内匠頭を貶すことから、殿中で斬りつける事件へと発展することとなるが、劇では、吉良が語る。「朝廷の使いが来ていて、(浅野の)宴の準備が疎かで厳しく話をするしかなかった。」さらに、「斬り付けられた後にどうして刀を抜かなかったのかというと、剣の達人である私(吉良)が剣を抜いていれば、喧嘩両成敗とどちらにもお咎めが下り、お上にも、家来にも迷惑がかかる」浅野はその当時流行していた「怒り病」にかかっており、すぐにカッとする人間になってしまったいた。

 討ち入りをされた後、当主となった吉良の息子は捕らえられたが、殺されることはなかった。吉良は炭焼き小屋に側近や女中、側室と2時間身を隠す。赤穂浪士の目的は、吉良上野介の首をは狙うことだけではなかった。

 大石内蔵助は、幕府への不満を晴らすために、吉良の屋敷に討ち入りに入った。生類哀れみの御禁令のために不自由している領民がたくさんいること、浅野内匠頭を事件直後に即日切腹、さらにお家取り潰し、召し上げられた領地は幕府直轄に。長年幕府の「犬」として忠実に仕えてきた吉良宅に討ち入りに入れば、復讐にもなる。吉良にも幕府にも恥をかかせることができる。

 吉良が将軍からもらった犬やその犬専用の座布団を、炭焼き小屋までしっかり持ち込んで、大切にしていたところが印象的だった。

 劇からわかった部分だけを書いてみたが、これはあくまでも、一つの見方である。ストーリーはたいへんおもしろかった。オススメの劇である。