英語教育9月号を読んで

9月号はの特集は、「小学校英語指導のキホン」と「プリント課題の活用術」。

アレン玉井光江先生(青山学院大学教授)の「今、あらためて問う小学校外国語教育の意義と目的」では、日本を含むOECD加盟国は、2030年に社会に飛び出す若者にはどのような力が必要で、またどのような教育を提供すべきなのかについて、Education 2030というプロジェクトを発足させていて、その中には、「逆境を跳ね返す力(resilience)」という力がある。嫌なことがあったり、壁があると、立ち向かわずすぐに諦めてしまったり、初めからやろうとしなかったりする子どもたちが多く見受けられる中、resilienceは必要なスキルになってくると思った。また、アレン先生は、「『外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方』を育成するために、外国語だけではなくその背景にある文化を理解することの重要性が指摘されています。様々な人々と出会い、共生していくためには、その人たちの文化を尊重し、『敬い』、そして『共感』することが必要です。」と語っている。多文化共生を目指すには、お互いを認め合い、少しだけ我慢して生活していくことは、外国籍の生徒が50%近くいる勤務校でも常に目にしている風景である。そして、「言語には、他の人と考えや想いを伝え合うという伝達機能だけではなく、思考を形成・進化させる思考機能があります。私たちは物事を理解し、問題を解決していくために言葉を使います。」と述べている。英語を学ぶということはコミュニケーションする手段を学ぶだけではなく、思考を深めるためにも必要なのである。

西原美幸先生(広島大学附属小学校主幹教諭)の「小学校で検定教科書を活用して深い学びを達成する授業への実践」では、「児童の思いに寄り添い『聞いてみたい』『伝えたい』という意欲が高まるような相手意識・目的意識のある場面設定や必然性のある活動を大切にすることである。」と述べている。そのために、①ストーリーの重要性を意識する ②これまでの学習と関連づける→気づきを促す発問を通して教師と子供がインタラクションする環境を作ることである。 ③他教科等での学習内容との関連を見出す→朝食メニューを考えて英語で子ども同士で交流させた。「朝食名人になろう」子どもたちが「やりたい」という気持ち、「伝えたい」という気持ちを醸成するような教材づくりを目指したい。(※日本人が英語を習得するために必要な学習時間の目安は2200時間)

山中隆行先生(琉球大学教育学部附属小学校教諭)の「小学校英語 教材づくりのイロハ」によると、今回の学習指導要領の改訂により、「英語科では言語活動が再定義され、『実際に英語を用いて互いの考えや気持ちを伝え合う活動』となった。山中先生によると、教材づくりのイロハは、「イ」→Easy to Learn(学びやすいかどうか)、「ロ」→Real to Learn(教材がよりほのの(実物)に近い物から学ぶ【オーセンティック】)、「ハ」→Heart to Learn(互いの考えや気持ちの伝え合いに繋がる教材【動画教材がオススメ】)であるという。

上原明子先生(都留文科大学教授)の「子どもたちが生き生きとするTeacher Talkの進め方」では、Small Talkについて述べられている。「Small Talkとは、『2時間に1回程度、帯活動で、あるテーマのもと、指導者のまとまった話を聞いたり、ペアで自分の考えや気持ちを伝えあったりすること』。そのねらいとして、①既習表現を繰り返し使用できるようにしてその定着を図る、②対話を続けるための基本的な表現の定着を図る、の2点である。

中西浩一先生(平安女学院大学准教授)の「小学校英語の指導と評価の一体化について」によると、評価には「育てる評価」と「記録に残す評価」があるという。指導(「育てる評価」)が継続的に行われて初めて「記録に残す評価」があるということが「指導と評価の一体化」ではないかという。

内田浩樹先生(国際教養大学教授)の「バランスの良い指導のために」の第6回「ランゲージとミーニングフォーカスのバランス」では、「読んだり聞いたりするときにその単語に出会った場合には、理解はできるけれど、自分が話したり書いたりするときにはすぐに思いつかないという段階です。この段階にある語彙をReceptive Vocabulary(RV)と呼びます。一方、自分が話したり書いたりするときにも自然に使えるようになった単語をProductive Vocabulary(PV)と呼びます。何回目にしてもRVとPVを覚えられないので、自分のメモのために。また、「同一の単語に繰り返し触れる機会が必要だということです。豊富なインプットを与えることこそが、MF(Meaning-Focused Language)の役割と言えます。LF(Language-Focused Meaning)で出会った単語がまず、RVとなります。教師のトークを聞く中でそれらの語彙に繰り返し出会うことを通して、次第にPVへと移行していきます。」

西森マリーさんの「今月の時事英語」のcancel cultureでは、PCのことについて。PC(Political Correctness:政治的に正しくあること=性別や人権などの差別をしないことビジネス英語を聞いていても何度も出てくる言葉である。

萩原一郎先生(都留文科大学特任教授)と久保野りえ先生(都留文科大学非常勤講師)の「授業作りの基礎基本」の「教科書本文を理解させる」では、「開本してからの黙読と補足解説は必須」、「『それって、つまりどういうこと?』と説明させるなどが必要」、「自分らしい言葉でパラフレーズできないか考えてもらいたい」、「教科書に書かれているfactを聞きますが、次第に、inferential question(推論発問)を入れていくと、とても面白いです」、「ところで、inferential questionとは、生徒の自由な感想を聞くようなopen endの質問とは違うのですか?」、「行間を読み取る”read between the lines”的な読み方と言ったらよいでそうか。直接は書かれていないけれど、教科書本文のアル部分から推測できるような質問です」、「graphic organizerですね。本文内容を視覚的に整理してあるものに空所があり、そこに適切な語を補わせる、というものです」

本名信行先生(青山学院大学名誉教授)の「多文化共生時代に学ぶ英語」の第6回「英語は自分のことをいう言葉」では、「公共施設の案内放送や、企業や各種団体のプロモーションビデオのナレーションも日本人ではなく、ネイティブが音声を担っている場合が多いようです。日本人にその能力がないからではなく、英語は外国語というイメージにとらわれているからでしょう。私たちは早く、こういった自己規制から自由になりたいものです。英語は『国際言語』なのだから、私たちは英語をもっと多方面で使い、自分たちの活動を世界の人々にどんどん伝えていく努力をすべきでしょう。日本人の知恵や判断位は、世界の人々の役に立つことがたくさんあるはずです。そのためには、発信型の英語学習が必要になります。」、「各国の英語教育では、自分の気持ちや考え、自国の価値体系と行動規範を英語で言えるようにする訓練が重要になります」、「英語は使わなければ使えるようにならないと伝えましょう」、「私たち英語教師は日本人が英語を話すときの重圧感を生み出しているのです。生徒の文法ミスを容赦なく挙げ連ね、彼らの自由な表現を制限してしまっています。教師は生徒が英語でコミュニケートしたという事実を評価してあげれば、そのような重圧感は軽減できるでしょう。その第一歩は教師が英語間を変えることなのです

鈴木祐一先生(神奈川大学准教授)、真家崚(ミシガン州立大学大学院博士課程)、菅清隆(ミシガン州立大学大学院博士課程)によると、Story-Retelling(SR)について書かれている。SRを効果的に行う上で重要な点としては、数回行うことや、SR後にもう一度本文を読み、うまくできなかった箇所を本文と比較することなどが挙げられます。また、リテリングの際、生徒の考えや意見を一言付け加えさせてもよいでしょう生徒の考えや意見を付け加えさせる活動は、It is for toの文も習ったことなので、させてみようと思った。

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