「英語教師の授業デザイン力を高める3つの力ー読解力・要約力・編集力」中嶋洋一編著 大修館書店(2023年)
あまりにも、1行1行が身に染みることばかりなので、何回かに分けてアップしていこうと思う。中嶋先生の研修会やご講演を聞いていても、本当にためになる話ばかりである。それは英語教育という視点からだけではなく、大きくいろんな学術研究や論文、本などを参照して、ご自分の理論を確立しておられるので、参考になる。一度、研修会で、「ご自分の読書の仕方」というのをご紹介されたことがあるが、本にはびっしりと書き込みがあって、読書しながら、自分の頭の中に、「『概念形成』をする」とおっしゃっていたことを思い出す。
“ワクワク”する授業の鍵は、教師の「読解力・要約力・編集力」
日々の授業で自分自身が「ワクワク」できないことこそが、さまざまな問題の要因になっているのです。「自分がワクワクできる授業」を心がけていけば、やがて全てがゆっくりとプラスのサイクルで動きはじめます。
35年近く英語教師をしていても、今だにワクワクすることがある。「今日は、small talkどこまでwpmを伸ばしてくれるかな?」「retellingどんな風にまとめてくれるかな?」子どもの挑戦する姿を想像するだけで、ドキドキ、ワクワクする。
「綴り方」を学ぶ中で最も大切にすべきことは、相手の立場に立って考えること。
【書くことについて】 教師がすべきことは次のことです。できるだけ3分程度に絞って要点をまとめて話すようにすること、その間は生徒にペンを持たずに、集中して話を聴くこと、その後、教師はノートを取る時間を2分ほど与えることです。すると、生徒は板書を移すのではなく、理解したことを自分の言葉で一心不乱に書きはじめます。
これは私も同じことをしている。黒板で説明する時間を少しだけ取り、板書を4分程度で視写させて、その後、ペアに説明させる。すると、試写するだけでなく、説明できるように考えながら写すのである。
【普段から心がけることについて】 言語活動中、気になった間違い(エラー)をカルテ(座席表)に書き込んでいき、そのいくつか(欲張りすぎないこと)を言語活動の後で伝えて、練習の時間を取るのです。授業の振り返りの時に、「やりとりをしていた時に、言えなかったことを書きなさい」と指示することもできます。書かれた悩みや疑問は、次の時間に教師のアドバイス(言い換えること、ヒントなど)ともに一枚のプリントにまとめて配布してやります。
特に、small talkでは、自由会話なので、言いたいことはあるのに、言えないということが多く、「言いたかったけど言えなかったことは?」と聞いても、全てを拾い上げることは時間的に無理なので、書かせて後で回答、その場で英語の得意な生徒に聞く、などの工夫が必要。または、「言いたかったけど言えなかったノート・シート」を用意して、そこへ書かせて、自分なりの会話辞典を作らせることも必要。
retellingの後は、話した内容を落ち着いて整理する(書く)時間を取るようにします。retellingも即興の活動も、やりっぱなしにせず、終わった後に「整理する(自分の言葉で言語化する)」ことが鍵になります。
retellingの後は必ずノートに書かせ、教科書で答え合わせをさせるようにしている。