
英語教育2025年9月号 大修館書店 September 2025 Vol.74 No.7
第1特集 英文を^能動的に読む^学習者を育てる 第2特集 これからの学びの風景シリーズ②1人ひとりの学びに寄り添う「学びの多様化学校」
ブログ記事風にまとめてみました。少し読みやすさと流れを意識して、見出しやつなぎを加えています。
読解へのエンゲージメントと教育政策の行方
読解へのエンゲージメントを高める支援の工夫
『英語教育』2025年9月号に掲載されている、広島大学附属福山中高等学校の二川敬伍先生の記事がとても印象的でした。テーマは「読解へのエンゲージメントを高める支援の工夫」。
記事の中で紹介されていた「学習者エンゲージメント」とは、学習者が課題にどれほど深く積極的に関わっているかを示す概念で、行動的・認知的・感情的・社会的側面の4つから捉えられるといいます。エンゲージメントが高いとき、学習者は課題に没頭し、時間を忘れて取り組んでいる姿が見られるとのこと。まさに教師が目指したい授業の理想像です。
さらに廣森・和田(2024)の研究を引用し、エンゲージングな授業を設計するためには、
- 意欲を喚起する段階
- その意欲を行動に転化し維持する段階
の両方を意識する必要があると述べています。つまり「やる気を起こさせる」だけでなく、そのやる気を「持続させる工夫」が欠かせないわけです。
また、マーサー&ドーニエによる「タスク・ポツ・デザイン」も紹介されていました。これは、タスクを設計する際に
- 物理的魅力
- 活動的魅力
- 内容的魅力
の3つのレベルで学習者の感情を惹きつけることができるという考え方です。教室の雰囲気づくりから活動のダイナミズム、さらには教材内容の面白さまで、すべてが学習者の「没頭」を左右するのだと感じました。
高校授業料無償化の最新動向
同号にはもうひとつ注目の記事がありました。学時出版株式会社・月刊高校教育の編集担当、二井豪さんによる「高等学校授業料無償化で何が変わるか」です。
これによると、2026年度から新制度として、公立高校には年間11万8,800円、私立高校には45万7,000円が支給される予定です。ただし現状では、三党合意の文書として合意された段階にとどまっており、まだ国の正式な施策として現場に下りてきていないのだとか。教育現場に与える影響は大きいだけに、今後の具体的な動きが注視されます。
おわりに
今回の『英語教育』9月号は、**「授業の中で学習者をどう没頭させるか」という実践的な問いと、「教育制度がどう変わるのか」**という大きな政策的課題が同時に取り上げられており、教師として多くの気づきを得る号でした。