英語教育11月号を読んで

 今月は第1特集では、「スパイラルな指導で学びを確かに〜既習事項の定着を高める〜」、第2特集では、「トリビアで英語を楽しむ」、第3特集では、「リモート授業の不安に負けない 大学生の学びを大切に」である。

 私が興味を持っている英作文指導についての記事があった。

 「英語につまずいた生徒が前を向く指導Q&A」(山本 由貴先生 福井県敦賀市立角鹿中学校)の「『書くこと』が苦手な中学生が多く、指導に悩んでいます。改善のポイントは?」

 山本先生は次の3つのポイントをあげている。

 1 「相手意識」と「目的」を持たせる

 「相手意識」は今や英語教育では欠かせないキーワードである。どんなに立派な作文が完成しても、どんなに発音よく発表しても、聞いている相手に伝わらなければ全く意味がない。また、聞いている相手の状態、発達段階、英語の能力、環境、時間など、その場の状況をよく理解して発表する(作文する)ことが相手意識を考慮したプレゼンテーション(作文)ということになる。そして、「何のために」書くのかという目的をしっかり持つことである。書かされている感があると、目的なしに書くと、いい文は書けない。「これは、誰のために、どういう目的で」書いているのかという明確な目的意識を持たせることが大切である。

 2 文や文章全体の構造に目を向けさせる

 主語動詞はもちろんのこと、自分が書いている文がどのような構造をしているのか、語順を意識して書くこと。

 3 フィードバックとリライトを大切にする

 English Journal(英作文の課題をこなす専用のノート)を生徒1人1人に持たせて、心の動きを記録し、大切なポートフォリオの役目を果たすよう支援。月曜日:テーマ確認とスピーキング活動、(家庭学習)授業で話したことをもとに作文、火曜日:書いたものを提出書いた(1回目)、水曜日:ALTとJTEからフィードバック、木曜日:(家庭学習)返却されたノートを見て、リライト、金曜日:再度提出させた上で、今週のBEST英作文の共有

 なるほど、私の「週末課題」より細かくstep by stepで行われている。今の生徒には合わないかもしれないが、やってみたいと思った。この山本先生のやり方で、月曜日のスピーキング活動というのがあるが、これが最も大切である。「言い慣れたことは書きやすい」のである。私のストーリーリテリングにおいても、何度かペア交流した後に書かせると、slower learnerもスッと書くことができる。

 さて、英作文の私の考えるやり方として、

 英作文指導のポイントは、次の3点。

  1 短時間で長期間の指導   

 長くとも15分程度で1回を終えられる分量の課題設定とそれを長期間できる環境の設定 

 例えば、「週末課題」のように、1週間に1回、20分くらいでできる課題を週末に出題し、週明けに回収する。これを3年間(担当学年によっては1年間)継続させる。

 山本先生は記事の中で、「フィードバックとリライトを大切にする」と書いている。ここで大切になるのは、リライトである。リライトさせないと、間違った自分の文章が完成することはなく、間違ったまま覚えてしまう。リライトされた文章を見るだけでなく、もう1度書いてみるということが大切なのである。

 そのリライトされた文章をさらに、次のようにexposureするとよい。

  2 exposure(晒すこと)

 Journal化すること

 Journalというのは記事だったり、通信だったり、まとめたものにすることである。子どもたちの英作文をプリントや通信にして全員に配付するのである。ここでも、いくつかの選択肢がある。

 一つ目は、子どもたちが書いたものをそのままコピーして貼り付けて配布するパターン。字で誰の作品かわかったしまう虞があるが、それも考慮の上で配付する。

 二つ目は、名前を入れるのか入れないのか。自分の作文だと周りに知られたくない子どももいるし、口だけでは「見られたくない」と言っている子どももいる(本当はみんなに見て欲しい)。

 三つ目は、PCで英作文を打ち直して配付するパターン。これだと誰の作文かはわからない。

 四つ目は、全員のを取り上げるか、優秀作品だけにするか、一部の生徒の作文にするか(できはともかくとして)(順番、抽選)、できは関係なく意図的に一部の生徒の作文にするか(典型的な間違いをしている作文を取り上げて授業で解説するなど)。

 学年初めなどは、PC打ち、名前なし、優秀作品だけを取り上げた。すると、翌週から取り上げて欲しい生徒が頑張って書いてくるようになった。こうなるとしめたものである。

 掲示すること

 提出された作品をきれいにデコレートして、教室の一部や英語教室などに掲示すること。ここでも大切なことは、アップデートすることである。ずっと貼りっぱなしになっていて誰も見なくなっているのに(紙も汚れてしまったり破損してしまっているのに)、そのまま放置されることは避けたいものである。Journalと交互にするのもよし、とにかく「みんなに見てもらいたい。」という気持ちだけは忘れずに、定期的に掲示することが大切である。その掲示物に触発されて英作文を頑張ってみようと思う生徒は必ずいる。

 授業で批評会をすること

 とにかくexposureすること、という原則からすれば、授業の冒頭「短時間学習」で、英作文を机上に置いて、子どもたちが移動してそれらを見合うという互見会を開いてもいいかもしれない。45秒くらいでタイマーをセットしておいて、時間がくれば次の席に移動して英作文を読むことにする。時間的にあまり余裕がない時は、一言メッセージを書くという時間はないと思うが、一通り読み終わった後に、どの作文が良かったか、またその作文のどこが良かったのかを書かせてみてもいいかもしれない。

 3 英作文させるトピックについて、話す活動をさせてから書かせること

 これは先ほども述べたので、詳しくは書かないが、話すことで相手意識も生まれるし、目的もはっきりしてくるような気がする。「この単語はどう書くのだろう?」「この表現は教科書のどこかに載っているのかな?」単純に書きたいという気持ちが生まれてくるようにさせるのが、「話す活動」である。

 表現させることは難しいことである。表現することが1番大切なことであるから、当たり前なのだけれど、もっともっと追求してくべきことであると思う。

「英語教育10月号を読んで」2

「自力で学べる生徒をどう育てるかー家庭学習の効率よいルーティーン化」本田敏幸 千代田区立九段中等教育学校主任教諭

本田先生のご講演は2度にわたって拝聴している。先生が大学院在学中に一度、東京のELECの研修会で。また、2〜3年前にCELES(中部英語教育学会三重支部)でもお聞きしている。その際にはお食事まで一緒にさせていただいてたくさんのお話をお聞きした。

今回は、家庭学習でどんなことをさせればよいかについて、書かれていた。その中で、とてもいいなと思ったのが、”Seven Steps”である。

私は相変わらず、予習と称して宿題にしていた、単語調べ、単語練習、本文写しを音声導入した後、「本文単語練習」という名前に替えてさせている。本多先生は、このやり方を少しアレンジし、リスニングや音読も含めながら行わせている。

STEP1は、教科書を開き、「教科書のCDを真似て、5回以上音読を行う。」教科書の文字を見ながら、CDをモデルにして行う。

まずは、本文の概要をつかんで、文字と音との一致から読み方を覚えていく。

STEP2は、教科書を閉じて、「CDの後について、1文ずつ言えるようにする。」

内容がつかめていないと、CDを聞いても1文が言えないので、STEP1がとても大切になってくる。

STEP3は、教科書、ノートを開き、「新しい単語(太字)をノートに何度も書いて覚える。」

ここも単語を発音しながら書くことが大切である。どの綴り字がどんな音になるのかしっかり確認する。

STEP4は、「本文を2度以上書く。」発音しながら書くようにする。

STEP5は、「写した英文を黙読して、間違えがないか確認する。」

STEP5が大切である。ここで間違えた文を何度も書いてしまうと、ミスの刷り込みをしてしまうことになる。非常に危険である。間違った文を何度も書くほど無駄な時間はない。

STEP6は、教科書を閉じて、「1文ずつCDを聴き、英文をノートに書く。」

STEP1〜5までしっかりやっていれば、STEP6は意外にスラスラとできるはずである。ここまでの努力の成果を試すためにも大切なSTEPである。

STEP7は、教科書を開いて、「答え合わせをし、間違いを赤ペンで直す。」

今の3年生を卒業させたら、Seven Stepsを自分の中に落とし込んで、生徒たちへやらせてみよう。

「英語教育10月号」を読んで

第1特集 「自律して学ぶ力を育てる 課題の出し方・活かし方」

「自律的に学ぶ力を育てる課題とは?ー第二言語習得の視点から」新田了 立教大学教授の記事からは、タスクが定義づけられていた。我々はよく「課題」と言ったり、同義で「タスク」と言ったりすることがある。

本来、タスクとは、「達成すべき目的を持ち(purposeful)、意味を中心とした(meaningful)言語活動と定義されるまずは伝えたいメッセージを持つことが重要で、英語はそれを表現するための手段である。つまり、設定された目的を達成するために、生徒は思考し、クラスメイトと協力し、教師の助けを借りながら、様々な活動に取り組む。そのプロセルから付随的に英語力が発達する。」としている。ただゲームをすることをタスクと称して要る教員もいるので混同しては行けない。

さらに、自律的学習を促す原則として、4つの原則を挙げている。①生徒の伝えたいメッセージからスタートする。②外の世界につながる要素を含む。③個人作業と共同作業を組み合わせる。④内省的な活動を取り入れる。小学校で教えていてもよく思うことだが、「児童生徒が言いたいやりたい伝えたい」という気持ちを持たせるような教材を提示することが大切である。

また、④においては、振り返る力をつけさせることがとても大切であると筆者は語っている。「『自分のものさし』は一度見つけたら終わりではなく、自分の成長と環境の変化に合わせて改良し続けていく必要があるから。常に振り返ることで、自分の物差しを洗練させ、調整していくのだ。」と言っている。

新学習指導要領では、「主体的に学ぶ態度等」の評価のおいて、振り返る姿勢が大変強調されることになる。指導と評価が一体となるよう工夫する必要がある。

「浅田家」を観て

 楽しみにしていた「浅田家」を観てきた。普段、特別支援教育やキミヤーズを一緒に勉強している先輩が、エキストラで出演しているらしかった。主人公の写真家 浅田政志さんは、津市出身。育生小学校の卒業生と言うことは、私や私の連れ合いの後輩である。高田本山や津新町駅がロケ地として使われており、不思議な感覚だった。ストーリーは以下の通り(映画.comより)。

 様々なシチュエーションでコスプレして撮影するユニークな家族写真で注目を集めた写真家・浅田政志の実話をもとに、二宮和也と妻夫木聡の共演、「湯を沸かすほどの熱い愛」の中野量太監督のメガホンで描いた人間ドラマ。4人家族の次男坊として育ち写真家になった主人公・政志を二宮、やんちゃな弟をあたたかく見守る兄・幸宏を妻夫木が演じ、家族の“愛の絆”や“過去と今”をオリジナル要素を加えつつ描き出す。浅田家の次男・政志は、父の影響で幼い頃から写真に興味を持ち、やがて写真専門学校に進学。卒業制作の被写体に家族を選び、浅田家の思い出のシーンを再現した写真で学校長賞を受賞する。卒業後しばらくはくすぶっていたものの、再び写真と向き合うことを決意した政志が被写体に選んだのは、やはり家族だった。様々なシチュエーションを設定しては家族でコスプレして撮影した写真で個展を開催し、写真集も出版され、権威ある賞も受賞する。プロの写真家として歩み始めた政志は、全国の家族写真の撮影を引き受けるようになる。しかし、2011年3月11日、東日本大震災が発生。かつて撮影した東北に住む家族のことが心配になった政志は被災地に足を運ぶが、そこで家や家族を失った人々の姿を目の当たりにする。

2020年製作/127分/G/日本
配給:東宝

 家族の大切さ、人の命の尊さ、写真を通じて人と関わっていくことがどんどん人と人をつなげていくことになる。

 東日本大震災の被災地で、浅田さんは、震災で行方不明になった写真を集め、人に返却するボランティアをする。泥を落としてきれいにしてから、板に貼り付け、展示することで、避難してきた人たちが見やすいようにしていた。8万枚の写真のうち6万枚を返却することができたようだ。

 私も、2011年4月、5月、2012年3月と3回にわたって、被災地にボランティアに行った。壮絶な環境の中で、一生懸命生き続けている人たちと触れ合うことで、たくさんの元気や勇気ややる気をもらうことができた。被災地で働いて、たくさんのありがとうをもらったが、ありがとうと言いたいのはこちらの方だった。

 たくさん経験をすることはいいことだなとしみじみ感じた。人との触れ合いが増えていくし、人との関わりから人脈が増えていく。

 何度も涙したシーンがあった。大泣きするところは無いが、ぽろっと涙が溢れるところはいくつもある。

 かなりオススメである。津市出身者や在勤者、居住者は見るべき。

「一人称単数」を読んで

「一人称単数」村上春樹(文藝春秋)

 「猫を捨てる」という短編集を読んでから、半年くらいで出版されたので、他の作品を読み返さなくても、村上春樹に餓えなくてもいいから、気持ちが楽だ。

 村上春樹を読む時はいつもそうだが、終わってしまうのがもったいないので、読みたくても自分でリミットを決めて、そこまでしか読まないようにしている。なんなら、別の本も並行して読み、続けて読みたい欲求をその別の本にぶつけていることもある。

 つまらない本は、「まだ50ページか!?」とため息まじりにページ数をたぐることも多いが、村上春樹の場合は、「あと100ページもある!!」と喜んだり、「あと50ページしかない!!」と嘆いたりすることもあるくらい、終わりを待ち望まない自分が居る。

 今回も短編集である。8篇の作品が収蔵されている。

 ご自身が経験されたような話や実際に聞いた話、どれも引き付けられるようなことが多い。女性についての話が多く、どれも面白かった。

 俳句をしているバイト先で一緒になった女性、ピアノ教室で一緒に連弾をしたことのある女性、醜い女性、恥を知りなさいと罵る女性

 不思議に自分の若い頃のことをたくさん思い出す。フラッシュバックしてくる。この物語の世界に入り込んでしまっている。しかし、主人公になるのではなく、物語の展開とともに歩いている主人公とは別人の自分が歩いている。しかも、自分の思い出を抱えながら、ストーリーと同一歩調で歩いている。フラッシュバックしている出来事が決してストーリーを凌駕することなく、自分がストーリーに入り込んでいくので、不思議な気持ちになる。

 これは村上春樹の小説を読むときにいつも自分が味わう経験である。それが村上春樹が好きである理由なのかもしれない。

 猿の話、スワローズの話、

 私が大好きなお酒もたくさん出てくるし、クラシックも好きなのだが、ちょくちょく話に出てくる。猿は「ブル7」が好きらしい。私もブルックナーの交響曲第7番は好きだ。

 全ての短編は「文學界」という雑誌で書かれたものが収録されているのだが、最後の「一人称単数」だけが書き下ろしであった。

 「一人称単数」はとても変わった話である。ストーリーはおいとくとして、その話の主人公の中年男性(多分村上春樹であると思われるが)は、滅多に着ない高級スーツを着てバーで読書をしているときに、バーカウンターの奥にある鏡に写し出された、ここにいる鏡に写っているのはだれなのかという疑問に襲われる。「人生を生きてきて、分かれ道がいっぱいあった。右にも左にも行けた。自分でどちらに行くか選択したわけだが、どっちにも行けた。どちらでもよかった。時には、向こうから私を選択したこともあった。いろいろあったが、今私はここにいる。いったい私は誰なのだろう。」とこんな趣旨の語りがある。

 私もわからなくなることがある。パイロットになるか先生になるかで悩んだことがある。先生になっていなかったら今の幸せな生活は存在しない。いろいろな道が複雑に入り混じっている。過去を肯定すると現在は存在しなくなってしまう。たくさんの枝のあるあみだくじを複雑に行ったりきたりしながら、当たりにたどり着いたようなもの。今いる自分は試行錯誤の連続で生まれた産物で、きっと将来の自分もたくさんの選択肢から自分の意思や強制力が働いて選ばれて出来上がった自分になるのだろうと思う。ただ、加齢とともに選択肢の本数は年々減っていくことだろうが。

 おもしろかった。やはり、村上春樹である。

 

「英語教師のための実践研究ガイドブック」を読んで

「英語教師のための実践研究ガイドブック」田中武夫、髙木亜希子、藤田卓郎、滝沢雄一、酒井英樹 編著 大修館書店

 理論研究は、大学院の修士課程の時にやったが、根気と時間がないとなかなかできない。しかし、「実践研究」であれば、普段の授業を研究の材料にでき、さらに授業改革や自分の授業の研究、教えている子どもたちの状態や学習環境などを深く知ることができる。実践研究のやり方を勉強して、やってみようかと思う。できれば学会で発表できればいいなと思っている。

 まず、実践研究とは、「教師の教育実践の質的な向上を図るために行われる体系的な研究の1つである。具体的には、教師自身が日々行っている実践の現状を理解したり、実践上抱えている課題を改善したりするために行われる研究」である。

 目的は、実践の現状を理解し、その現状での課題を改善するために行われる。

 実践研究が成立するための3要素は、「問い」、「データ」、「分析・解釈」である。

 「問い」とは、日々の実践の中から立ち上がった教師の問いに対し、教師自身が答えを探求する試みである。2つに分けられ、担当しているクラスで、ある指導をしたら何が起きるのか見ようとする「課題解決型」と、授業が行われている教室の中で何が起きているのかを理解しようとする「理解型」がある。

 「データ」では、テストや質問し、生徒のワークシート、振り返りのコメント、教師の日記、メモまで使われることがある。

 「分析・解釈」では、収集したデータを先に立てた問いに答えるために見やすく整理し、収集したデータの意味について分析したり解釈したりすることである。

 実践研究のステップとしては、① 問いを立てる(問を明確にする)、② データを集める(データのタイプを知る、データを収集・整理する)、③ データを分析・解釈する(データの分析をする、データの解釈をする)、④ 研究を共有・公開する(研究を総括して発表する)

 「問い」について、「理解型」の問いとは、目の前にあるクラスの中で何が起きているのかを見る問いである。つまり、実践上における教師や生徒の現状について理解するための問いである。「課題実践型」の問いは、今教えているクラスで、あることを試してみたら何が起きるかを見る問いである。つまり、実践上の指導の効果を確認するための問いである。

 「よい問い」を見つけるためには、①「重要性」(実践の理解や今後の実践の改善に大きく貢献するか?)、②「明確性」(何を問うているかがわかりやすいか?)、③「可能性」問いに対する答えを出せる可能性があるか。

 「重要性」とは、教師が行っている実践に対して、特に重要と思われていることを「問い」にしているかどうか。「大きな声を出させる指導」→「目的意識・相手意識を持って考えることや意見を伝え合うこと」

 授業を見る4つの視点、①目標の設定、②生徒の把握、③教材の解釈、④方法の考案

 「データ」について、「教師が英語で授業をすると、生徒の認識や表現内容はどのように変わるか」という問いに答えるためには、「生徒の認識」(「振り返りシート」の分析・解釈から)、「生徒の表現内容」(「授業中のスピーキング活動のビデオ録画)から得る。ここから、次のような解釈が導き出せる。①教師が英語受容を行うことで、生徒の英語に対する苦手意識が軽減した。②発話の量には影響は見られなかったが、教師の問いかけに対して応答しようとする生徒の数が増えた。

 授業観察メモ、授業日誌については、授業の中で起こった出来事、その出来事が起こったときの児童・生徒の様子や発言、その出来事に対する観察者の感想や気づきについて記述することが大切である。

 授業日誌を書く際には、授業中の出来事や様子などの事実と、教師の感想や気づきなどの解釈を分けて記録する方がよい。事実を正確に記録すると、後で実践を共有する際に役立つ。

 授業日誌やアンケート(質問紙)、インタビューのような質的調査の場合、質的分析を行う。それは、「個人の特徴やその変容をとらえるために、集めた文字データや音声・動画、データなどをカテゴリーに分類すること」である。まず、データをしっかり読み込み、データ全体から得られる理解や気づき、印象をつかむこと。次に、データから必要な箇所を抜き出す。さらに、気づきや考えをメモする、要約する。その際に、コードを付与すると、データの内容を端的に把握しやすい。コーディングとは、文書データを読み込む中で、気になる箇所や繰り返し現れる現象、表現について要約し、それらを的確に表す見出しをつけること、コーディングをすることで、データについて端的にまとめたり、深く考えたりするのに役立つ。最後に、要約されたデータを整理すること。コーディングされたデータの傾向を数量化してまとめる。そして、コードの関係性を踏まえて、カテゴリーを作成する。

 まずは、問いを立ててみよう。そして、振り返りカードから生徒の声を収集し、自分の授業メモもしっかりとることにする。自分の授業改善や生徒の英語力向上に役立ちそうだ。

“Tenet”を観て

ストーリーは以下の通り。映画.comより引用。

ダークナイト」3部作や「インセプション」「インターステラー」など数々の話題作を送り出してきた鬼才クリストファー・ノーラン監督によるオリジナル脚本のアクションサスペンス超大作。「現在から未来に進む“時間のルール”から脱出する」というミッションを課せられた主人公が、第3次世界大戦に伴う人類滅亡の危機に立ち向かう姿を描く。主演は名優デンゼル・ワシントンの息子で、スパイク・リー監督がアカデミー脚色賞を受賞した「ブラック・クランズマン」で映画初主演を務めたジョン・デビッド・ワシントン。共演はロバート・パティンソン、エリザベス・デビッキ、アーロン・テイラー=ジョンソンのほか、「ダンケルク」に続いてノーラン作品に参加となったケネス・ブラナー、そしてノーラン作品に欠かせないマイケル・ケインら。撮影のホイテ・バン・ホイテマ、美術のネイサン・クローリーなど、スタッフも過去にノーラン作品に参加してきた実力派が集い、音楽は「ブラックパンサー」でアカデミー賞を受賞したルドウィグ・ゴランソンがノーラン作品に初参加。

2020年製作/150分/G/アメリカ
原題:Tenet
配給:ワーナー・ブラザース映画

公開してまだ間がないが、評価は3.7(2020年9月24日現在)。

かなりの期待作であり話題作である。この監督は、クリストファー・ノーランスの作品はいくつか観ている。「インターステラー」はかなり面白く、映画を観終わった後もその余韻にずっと浸っていたくらいだった。

私が歳をとったせいなのか、好みの問題なのか、わからないが、この映画には面白さを感じなかった。若者には、または、このような複雑でカーアクションや動きの多い映画が好きな人には受ける作品なのだろうか。

ストーリーが複雑で、画面が動きすぎるので、乗り物酔いみたいに気分が悪くなる。

過去に行き来できるホイール(ぐるっと回る回転式のエレベーター)がある。その設定では、過去に行くと全てが逆に動く。空気も肺には入らないので、携帯式の吸入器が必要である。

その過去に現代人が入ると、現代の人の動きは巡行で過去の人の動きは逆行、過去の人が現代に入ると、過去の人の動きは巡行で現代の人の動きは逆行になる。カーアクションも多く、気分が悪くなる。

しっかり予習して、2回以上観る気持ちがあれば、私のように中年で反応の鈍い人でも大丈夫だと思います。

あまりお勧めできないです。ごめんなさい。

「事故物件 恐い間取り」を観て

ストーリーは以下の通り。映画.comより引用。

事故物件住みます芸人」として、実際に9軒の事故物件に住んだ芸人・松原タニシの実体験を記したノンフィクション「事故物件怪談 恐い間取り」を亀梨和也主演で映画化。監督は、「スマホを落としただけなのに」「貞子」の中田秀夫が務めた。売れない芸人・山野ヤマメは「テレビに出してやるから事故物件に住んでみろ」と先輩から無茶ぶりされ、テレビ出演と家賃の安さから殺人事件が起きた物件に引っ越す。その部屋は一見普通の部屋だったが、部屋を撮影した映像には謎の白いものが映り込み、音声が乱れるなどといった現象が起こった。ヤマメの出演した番組は盛り上がり、ヤマメは新たなネタを求めて事故物件を転々とする。住む部屋、住む部屋でさまざまな怪奇現象に遭遇したヤマメは「事故物件住みます芸人」として大ブレークするが……。

2020年製作/111分/G/日本
配給:松竹

怖かったが、夜寝るときに頭から離れずに困る、というほどでは無いし、驚かされるシーンも数少なく、グロくもなく、「シャイニング」のように精神がやられるようなこともない。ちょいちょい、友情出演で芸人や有名芸能人が顔を出している。主人公は亀梨和也に似ているなあと思っていたら、その本人だったことが最後にやっと分かった。

ストーリー的には大変面白く、松村タニシさんという芸人の実話である。この映画では、事故物件に住んで4軒目までの話だが、ご本人は現在10軒目の事故物件に住んでいるとのこと。

モンスターとの対決のようなラストシーンだったので、そこは実話とはかけ離れている気がした。

私のようなホラー好きには、怖さがあまり感じられない映画であった。

中日新聞に取材されました

https://www.chunichi.co.jp/article/118342

ずいぶん前に取材を受けたので、新聞に掲載された頃にはもう忘れてしまっていたほどであった。

私は2018年度から敬和小学校の小学校6年生に(2019年度は小学校5年生と6年生)英語を教えに行っている。小学校文化を大切にしながら英語を小学生に嫌いならないように伝えるにはどうしたらよいか試行錯誤の連続である。一つ嬉しいのは、自分が育てた子どもたちが中学校へ上がってくるのである。小学校に感じていた英語教育へのジレンマは皆無である。「もっと小学校ではこんなことをしてほしい」ということがもしあれば、それは小学生に伝えきれなかった私自身の責任である。

私にはもう一つの大きな責務があり、それは小学校教員に英語の授業の仕方を伝授するというものである。現在、一緒にTTをしている先生は、非常に熱心で、日本人学校勤務経験者でもあるので、すでに授業の進め方を会得されている。小学校教員としてはベテランで、多分英語以外の教科は素晴らしい実践をお持ちであると推察する。私のやり方をご覧になって、すぐに取り入れられるところは取り入れ、実践されている。辿々しくても、ALL ENGLISHですることが価値があるということをすぐに理解されて、一生懸命英語を使って授業を展開している。そんな姿をぜひ他の小学校教員にも示していただきたいという気持ちでいっぱいだ。

これからも自分ができることとして、頑張ってやっていきたい。

第42回森会を終えて

2020年9月12日(土)に森会が中川地域交流センターで行われた。私を含めて5人の英語教員が集った。今回は、「指導と評価の一体化に関する参考資料」を今度こそは読み込んでいこうということで進められた。それぞれが参考資料の後半部分の割り当てが決められて、20分ほど個人で黙読、その後1人ずつ分担箇所を説明した。理解できないと嘆く場面もあったが、私がその都度解説をしながら、先へ進めて行った。

やはり、「主体的に学習に取り組む態度他」という3つ目の評価の観点で詰まることが多い。それはある意味当然で、今回から加わる観点である。今後10年間使用されるであろう観点であるが、前回そうであったように今後10年間で意味づけがどう変わるかわからない。移行措置期間である現在は、「粘り強さ」と「自己調整力」を図る観点であると言われているが、それも今後どうなるかわからない。今回勉強していて、思いついたこととしては、現在使用している振り返りカードの改定である。自由記述の体裁になっているが、子どもたちがあまりにも、「何を書いたらよいのかわからない」と言っているので、①めあてに対する振り返り、②本時でできるようになったこと、③わかったこととわからなかったこと、④本時で学んだことを次回にやってみようと思うこと、⑤発見した友達の素晴らしい部分、を書くように指導したところ、振り返りカードの書き方が変わった。「参考資料」には、その5つの項目を振り返りカードにあらかじめ記入しておいて、チェックボックス☑︎を用意し、✔︎を入れさせた項目について記入させるようにするとよいと書かれている。なるほど。すると、振り返る内容について焦点化でき、まとまった内容を記入することができる。

いずれにしろ、来年の4月に施行されるまでに準備が必要だ。まず、CAN-DOリストの見直しが必要だ。指導要領が変わる、教科書が変わる、子どもたちも変わる、発達段階も変わる、学校のCAN-DOを見直さなければならない。次に、学年の達成目標を適切に定めて、評価計画を入れながら学年計画を立てる必要がある。さらに、3観点と5領域のクロス評価を立てる必要がある。

まさに、すべきことが山積しているが、そのことに気づかせてくれた森会に感謝している。