月刊英語教育2024年8月号を読んで

大修館書店 The English Teachers’ Magazine August 2024 Vol.73 No.6

第1特集 児童生徒にすすめたい 夏休みの学習法 第2特集 五輪イヤーにチャレンジ! 英語以外の外国語を愉しもう

学習意識を改革するために「書く」ー ノートと共に学び、生きる 加藤聡子(神田外語大学准教授)

「書く」ことで私たちは情報を頭の中で整理し、「自分の言葉で表現」する過程を通じて、深い理解と気づきを得ることができます。現代は、スマホやパソコンでデジタル的な記録の取り方をすることが多くなりましたが、手で書くことは脳の記憶や理解に関与する部位を活性化させ、情報の定着を促進すると言われています。さらに、書いたものを見返すことで促される内省(リフレクション)のプロセスは、学びをより個人的で深いものにし、学習者オートノミー(学習者の自律性)を育てるのです。

リフレクティブ・クエスチョンとは、「自分は何を学んだのだろう?」「もし違うやり方でやったら、どうなっているのだろう?」「自分は何をためらっているのだろう?」「本当にしたいことって、なんだろう?」など、洞察を深め、成長を促すような質問のことです。書いたものを読み返すときに、こう言った質問を学習者自身に投げかけさせることをオススメします。

評価・テストのお助けQ &A 第5回 「学習評価に関する参考資料」から学ぶ②ー「中学校外国語科」 澤井陽介(大妻女子大学教授)

「知識・技能」の評価は「習得したか・身につけているか」を評価するものであるため、実際に授業内で取り上げた言語材料を用いることが求められますが、「思考・判断・表現」の評価については、むしろ授業内で取り上げて生徒が覚えてしまっていると「知識・技能」の評価との判別ができなくなることが懸念されるため、授業内で取り上げなかった言語材料で構わない(むしろそのほうが趣旨にあっている)ということです。

「リスペクト アザース」を指導して

2024年6月下旬に授業をした。どちらのクラスも期せずして「神回」となった。

ここは、「公正・正義」が大きな内容項目である。

【導入】では、「人(仲間)と接するときに、気をつけなければいけないことは」と聞いた。「礼儀正しくすること」「どの人にも公平に当たること」「コミュニケーションができること、言葉のキャッチボールができること」などが出た。

2分ほどで、本文の朗読に移る。いつも通り、しっかり感情を込めて朗読することができた。

【人間理解】の発問は、「僕(主人公)が感じた、残念なところは?」。「日本にはリスペクトアザースがないこと」とすぐに出てきた。その具体例としては、「冗談冗談と言いながら、きついことを言う」「あえてできないフリをする」など。

【価値理解】の発問は、「僕が感じた、素晴らしいこととは?」。「アメリカにはリスペクトアザースがあること」が出た。野球チームでの出来事などが具体例として発表された。アラバマ州から体験入学できている男子がいるので、聞いてみたところ、「リスペクトアザースという言葉は一度も聞いたことがないし、発したこともない」と。やや感動に水を指す結果に。

アメリカでは「リスペクトアザース」ができたのは?→「差別が公然とあったため」。では、表の上では差別のない日本では、「僕は『リスペクトアザースをもっと浸透させるべきである』と言っているが、具体的にはどうすればいいか?」と聞く。【自己理解】へと進めていく。

「ここからは教科書を離れて考えてみましょう!」というと、おもしろい発問もあったせいか、一斉にみんなの顔が上がる。道徳はこの瞬間があり手応えを感じることができるので、その瞬間はこちらもビビッとくる。ずっとこのままこの空間にいたいと感じる。

「一人ではできないから、知っている人を巻き込んでいく。」「まずは友達から」などいろんな意見が出る。

ここで、発言のない生徒を指名して、「どの人の意見に近い?」と聞く【他者理解】と、「⚪︎⚪︎さんの意見に近い。」だけしか言わないと思ったら、その後自分の意見をしっかり言う。やはり言えないのは集団の前だからだけで、それぞれの思いや意見はある。それを引っ張り出してみんなの前に晒すことで、価値観の違いを共有できる。特に消極的な子どもの意見はみんなが考える土台となる。

【自己を見つめる】では、「あなたは何ができる?リスペクトアザースを浸透させるために。人と接するときに気をつけることは何?この時間の最初に考えていたことと、今考えていることを比較しながら、影響を受けた友達の意見も交えながら教えて」と発問した。本来は書かせたかったのだが、時間がなかったので、2〜3人に聞いた。

【終末】では、今この学級、この学年、この学校、6割以上が外国にルーツを持つ生徒であることから、「リアル・リスペクトアザース」であることを告げて、こんな学校他にはない、高校へ入るとバラバラになってしまうけど、今みたいな「リスペクトアザース」のような支え合い仲間を一生続けていこうと話した。

「同姓同名」を読んで

「同姓同名」下村敦史 幻冬舎文庫 令和4年9月10日初版

なんせ、ビブリオバトル全国大会中学生、高校生、大学生大会でチャンプ本になっている。ビブリオバトル全国大会三冠である。グランドチャンプ本である。

昨年度の3月に滋賀で行われたビブリオバトル中学生全国大会に行った時からずっと読みたくて、やっと読了できた。実に3ヶ月以上もかかってしまった。他の本に浮気をしてしまうのと、もったいなくて読み進めることができないから。

大山正紀(おおやままさのり)が幼児を殺害するところから物語が始まる。大山と同姓同名の人物がたくさん登場し、己の人生背景と絡めながら、ストーリーが進んでいく。同姓同名のためにネットや噂で取り上げられて迷惑を被る大山たち。

私はSNSで人とコミュニケーションをあまり取ったりしないので、ネット上で炎上したり、メチャクチャ叩かれたりという経験がない。聞いていて見ていて恐ろしいだろうなと思うが、SNSを一切やめてしまってはどうなのか?と疑問に思うことがある。やはり、ネット中毒の人には難しいことなのかもしれない。

最後の終わり方がおもしろく、唸ってしまった。

自分の名前で検索したことがある。いろんな分野のエキスパートがヒットした。私もブログを書いているので、少しずつ上に上がってきている感じがする。

以下は、幻冬舎文庫のあらすじ。

大山正紀はプロサッカー選手を目指す高校生。いつかスタジアムに自分の名が轟くのを夢見て
練習に励んでいた。そんな中、日本中が悲しみと怒りに駆られた女児惨殺事件の犯人が捕まった。
週刊誌が暴露した実名は「大山正紀」ーー。報道後、不幸にも殺人犯と同姓同名となってしまった
“名もなき”大山正紀たちの人生が狂い始める。
これは、一度でも自分の名前を検索したことのある、
名もなき私たちの物語です。

英語教育2024年6月号を読んで

英語教育 The English Teacher’s Magazine June 2024 Vol.73 No.3 大修館書店

第1特集 書き手の思いを伝える これからのライティング指導 第2特集 やる気から行動への架け橋 エンゲージメントを促す英語授業

小学校英語授業のアイデアBOX 第3回「ライティングをコミュニケーションにするために」増渕真紀子(東京都八王子市立浅川小学校英語専科講師)

各活動の必須アイテムとして「ライティング伝票」の使用が勧められている。確かに、いつもいつも同じことを言わなければならないので、この伝票はとても大切だと思う。

https://www.taishukan.co.jp/item/eigokyoiku/materials/06_2024iss_03_2_MAT6902.pdf

生成AI活用術研究所 第3回 「[基本編] プロンプト紹介サイト」を活用しよう 豊嶋正貴(國學院大学兼任講師)

生成AIは重宝させてもらっているが、思うようなものができてこないことがある。全て、「プロンプト」における指示不足である。↓のサイトの紹介があったので、見てみた。確かに参考にはなる。しかし、全ての生成AIを使用する人向けの汎用的なサイトなので、教育分野で働いている人、英語教育に関わる部分では少し物足りない。

https://prompt.quel.jp/

ICT活用の大ワザ・小ワザ ロイロノート編 第27回 ロイロノートのクラス管理ツールを活用しよう 徳千代太一 (ロイロ認定イノベータ)

クラス管理ツールについて いつも右側から出てきて、鬱陶しい画面だなと思っていたが、よく見るととても使い勝手が良く、「そんな機能があったんだな」と感心してしまった。一番上のテレビのマークは「教員端末の画面を一時的に非表示」にできる。2番目の鍵と人のマークは、「生徒間通信ができない状態」にする。3番目の鍵のマークは、「生徒のアプリ画面をロックし、ロイロを一時的に操作できなくする」。4番目の人のマークは、「生徒が任意の「授業」に参加しているか確認」できる。

生徒の「思い」を伸ばすライティング指導と評価の工夫 駒井健吾(長野保健医療大学講師)

ライティングの評価とフィードバックについて 言語の正確さ(accuracy)にばかり目が向くと、萎縮した内容のライティングばかり産出されることになります。ではとにかくたくさん書かせれば良いかというと、産出できた語数だけが流暢さ(fluency)の指標であるとも言えません。内容面の豊かさについては、①豊富な語彙や表現を用いてパラフレーズしている、②伝えようとするメッセージに即して文の構造を決定している、③接続詞や副詞などを効果的に用いて文と文の間の結束が高まっている、などの点も流暢さと複雑さ(complexity)の面でライティングの質を決定する要素になります。観点別評価で言えば、正確さや語数については(知識・技能)の評価にとどめておき、(思考・判断・表現)では内容の豊かさと複雑さを評価することをお勧めします。

「話すこと」から「書くこと」の力を育む技能統合の活動 西村秀之(玉川大学准教授)

スモールトークを進める際に大切なポイントは、まず教師と生徒とのやり取り、Teacher-Student(s) (TS)インタラクションをしっかり行うこと。

無理なく効果的に行えるライティングのフィードバック 松下信之(大阪府教育庁主席指導主事)

一人一人の作品をグループ全員で推敲する(各作品8分程度)。その際、辞書や参考書を活用し、協力して正しい文章にするよう指示する。

評価・テストのお助けQ&A できる評価・続けられる評価のために 第3回 観点「主体的に学習に取り組む態度」の趣旨を正確に捉えよう 澤井陽介(大妻女子大学教授)

「粘り強さ」と「自己調整」。①自分の状況を見つめながら粘り強く課題を追求する姿 ②自らの学習を調整しながら課題の解決に向かおうとする姿

もう挫折しない! ニュース英語の読み方・学び方 第3回 「締まった」文を書くために、覚えておきたい構造 髙橋敏之(ジャパンタイムズ出版編集長)

英文記事を要約する際には、記事内の表現を自分でも実際に使うことになります。すなわち、記事を読むという「インプット」と、そこに出てくる表現を自分でも使うという「アウトプット」を同時にこなすことができるため、効率よく表現を吸収することができるのです。まずは読んだ記事を3文程度で要約することから始めましょう。最初の文で記事の最も大切なことを述べ、それに2文ほど加えて情報をつけた巣イメージで取り組むと良いでしょう。

「大相撲土俵裏」を読んで

「大相撲土俵裏」貴闘力著 彩図社 2024年6月 第1版

相撲に興味を持ち始めて数年になる。格闘技の中でも、歴史と伝統があり、相撲文化を確立しているところが大変面白い。相撲にしかあり得ない様々なことが絡んでいる。相撲は神事であり格闘技でありエンターテイメント的な部分も多分にある。勉強すべきところも大変多く、とにかく奥が深い。

大関まで上り詰めた貴闘力がそんな相撲の世界の裏の部分を暴露する。もっと言いたいことはあるのだろうが、本に載せられるギリギリのところを攻めている。

八百長は本当にあった。しかも多額のお金が動いている。年寄り株もお金で売買されていることもわかった。それはその当時「悪いこと」として認識されておらず、「ごく当たり前のこと」として広がっていたから、良心の呵責も感じなかっただろう。

酔っ払ってコンビニで見つけて衝動買いしてしまったが、かなり面白かった。

以下は、紀伊國屋オンラインショップでの「内容情報」から。

出版社内容情報

2022年から開始したYouTubeチャンネル「貴闘力部屋~相撲再生計画~」が、みなさんのおかげで2022年9月時点でチャンネル登録者数28万人を突破いたしました。

相撲業界の土俵裏には八百長や裏金、裏社会との繋がりなど悪しき風習が山ほど残っています。これまで、私の子どもたちが角界入りしたことにより、事実を言うことができませんでした。

しかし、この本が相撲業界の未来の発展に一役買うことを願って、10年の沈黙を経て全てここに告発いたします。

内容説明

元関脇・貴闘力が相撲界のタブーに切り込む!八百長、賭博、かわいがり、年寄株問題、協会の派閥争い、若貴との関係…相撲界の悪しき風習に対して物申す!

目次

1章 力士の金銭事情と当たり前の八百長
2章 裏社会と大相撲
3章 野球賭博の闇
4章 力士たちの土俵裏
5章 おかしすぎる相撲業界のシステム
6章 名門・二子山部屋の裏話

著者等紹介

貴闘力[タカトウリキ] 
1967年9月28日生まれ。15歳で元大関・貴ノ花の藤島部屋に入門。最高位は関脇。2002年9月場所で現役を引退後は「大嶽」を襲名し、大鵬部屋に移籍する。相撲協会を離れてからは実業家として焼肉店を経営。2020年から開始したYouTubeチャンネル「貴闘力部屋―相撲再生計画」では角界のタブーにも忖度なしに切り込み、大相撲の人気を復活させるべく活動している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

英語教育2024年5月号を読んで

The English Teachers’ Magazine May 2024 Vol.73 No.2 大修館書店

第1特集 英語を自然に取り入れるために 春から始める「音読」習慣 第2特集 オーセンティックな学びにつなげる 国際交流プロジェクトの実況中継 特別記事 2024年度大学入学共通テスト英語(リーディング)

アイデアBOX 第2回 評価をどうしまひょうか?① 評価って何?ー3観点の基本 有江 聖(さいたま市立本太小学校教諭)

オムレツを作ることが目標だとして、まず、作り方を「口で言える」状態を考えてみます。料理で「言える」のと「できる」のは、必ずしも一緒とは限りません。「言える」ことは「知識」、「できる」ことは「技能」と捉えることができます。知識を技能にするには、継続的な練習が必要です。さて、いよいよオムレツを作る技能が身につきました。しかし、卵をかき混ぜる前に焼いてしまっては目玉焼きになってしまいます。目的に応じて、身についた技能を施行スキル(この例では「順序立てる」)と組み合わせながら適切に使用している状態が、「思考力、判断力、表現力等」が発揮された状態です。一言で言うと「知識・技能」は「正確さ」、「思考・判断・表現」は「適切さ」となる。

生成AI活用術研究所 第2回 【基本編】AI検出サービスを活用しましょう! 豊嶋正貴(文教大学・国学院大学非常勤講師)

ChatGPT

https://openai.com/chatgpt/

Claude 3

https://www.anthropic.com/

Copilot

https://copilot.github.com/

Gemini

https://gemini.google.com/

Perplexity

https://www.perplexity.ai/

GPT Zeroは、入力した文章がAIによって生成されたものか、人間によって作成されたものかを簡単に判別(検出)するツール。何%がAIによって生成されたものかがわかる。

GPT Zero

https://gptzero.me/

7つの道具を媒介にした国際交流プロジェクトの取り組みーIntercultural Classroom Connection Project 水野邦太郎(神戸女子大学教授)

7つの道具の性質・特徴 

https://www.epals.com. ePals 世界中からパートナーを探すためのサイト

https://www.office.com. Reading Progress. 原稿を完成させた後、学生は各自の原稿を流暢に音読できるまで練習する。

生成AI時代に英語教師は必要か? 岩瀬俊介(学法石川高校英語イノベーション推進部主任)

ChatGPTをカスタマイズする

2024年度大学入学共通テスト英語(リーディング)問題分析から考える授業デザインータスク型リーディング活動による攘夷思考スキルの育成 平川新(法政大学講師)

目的を意識した読解指導:思考力を育てるには 情報を素早く処理する能力を身につけさせるには、速読演習を行うのが効果的である。150wpmの速度を最終的な目標とし、生徒が理解している語彙や構文が使われている300語程度の易しめの英文を素早く読ませ、概要を把握させる。読解後に簡単な内容理解問題を設定する。

思考力を育成するためには、上位レベルの思考スキルを発揮させることを求める発問や活動を授業に取り入れることが必須である。例えば本文に明示されていない情報を自分の知識や経験と関連づけて推論したり、本文の情報を自分の言葉で他者に説明したり、あるいは、本文の論理の構成や展開の適切さを検討したりする活動などが考えられる。その際、「読解後に⚪︎⚪︎をみんなでやってみよう」というように読む目的を生徒にあらかじめ伝え、それを意識させる

「おばちゃんのおまじない」を指導して

大好きな特別の教科「道徳」の指導はあと何回できるのだろうか?といつも時間との戦いで焦りながら教えている自分がある。今回も図らずも「神回」となった。

6限目ほとんど全員がダラっとしていた。

最初に、「仕事をする上で大切なことは」と導入で聞く。「心をこめること」や「一生懸命すること」などが出る。さらっと2分くらいで終了。ここは、最後にも、自分の価値観が変わったことと含めてもう1度たずねることになる。

「私」は美容師でまだなりたて。余命が限られている患者がたくさんいる病棟に父親のお見舞いに行くところからストーリーが始まる。美容師であることを聞きつけて、患者が「私」に洗髪を依頼してくる。日毎予約が増えていく。もちろんボランティアである。口が悪く元気一杯のおばさんのシャンプをした時に、「あんた、面倒くさいと思ってやってるんでしょ!?すぐわかるんだから。」と心を見透かされてしまう。「あんたの手なんか、荒れてもいない、職人らしい手になってないよ。もっともっと頑張らないとプロの手にならないよ」と言われる。それからは、何事にも一生懸命頑張るようになる。おばさんも亡くなってしまう。父親が亡くなった時より大声で泣いた。それ以来、お客様のために頑張る「私」がいた。職人のような手になりたい。という願いを持ちながら、おばさんのかけてくれたおまじないに恥じないように生きることを決意する。

このストーリーに登場する「私」で「残念なところ」と「素晴らしいところ」を聞くから、その部分を鉛筆で線を引くように指示する。

朗読。いつも何回も練習して感情を込めて、登場人物になりきって読むように心掛けている。またこのストーリーがとてもいいので、最後は泣いてしまう。

人間理解(「残念なところ」)について聞く。何度もシャンプーをやり直すように言われたことや「自分はシャンプー係ではない」と心の中で文句を言うところが挙げられた。

主人公の「私」はシャンプーをいい加減にしてしまって、やり直すように言ってきたおばさんに、心を見透かされてしまう。ここが主人公の転機である。

ここで「私」の気持ちに変化があり、価値理解(「素晴らしいところ」)へつながる。「前向きに考えられるようになった」、「愕然とした」、「過ちに気づいた」、「自分の手を見てまだまだやれると気づいた」など、いい意見がたくさん出た。ここら辺で、全員の顔が上がり、黒板や私に視線が行くようになる。

意見が出ない子に、「どの人の意見に近い?」と聞く(他者理解)

「「私」はどうすればよかったのか。」と聞く。「お客様を大切に」、「集中して作業する」、「心を込めて」などの意見が出る。

もう1度、「仕事をする上で大切にすることは何?」と聞く。「授業を受ける前は、・・・⚪︎⚪︎の意見を聞いて、・・・、今は・・・と思います。」と自分の価値観の変化を言ってもらった。

参観してくれたマグロを釣るのが好きな先生が、「素晴らしかったです。」と言ってくれた。授業になかなか集中できない子達がみんな顔を上げてくれたので、達成感があった。

英語教育2023年4月号を読んで

第1特集 「英語が苦手」を減らすために ブリッジ指導からスタートする新学期 第2特集 多様な進路の高校生へ 英語に自信をつける指導がしたい 特別特集 PISA2022から英語教育が考えるべきこと

中学英語の定着を促す高校での活動ー「不動のブリッジ」遠藤久美子(不動岡高等学校教諭)

Strip Story Stripとは短冊のような細長い紙片のことで、5枚のStripに書かれた異なる英文をグループで話し合いながら並べ替えて、ストーリーを再生する活動。すべて口頭で行うことがポイント。Loud Speakerはディクテーション活動なのだが、CDや端末などの音声を聞いて書き取るのではなく、生徒の話す英語を書き取っていくという活動。一人の生徒が前に出てきてヘッドセットをつけて音声を聞き、聞こえてくる英語をシャドーイングする。それをその他の生徒がディクテーションしていく。生徒がシャドーイングするわけなので、音声の全部を網羅できるわけではなく、書き取ったディクテーションシートは虫食い状態になる。この虫食いの部分をどう埋めていくかが、この活動の醍醐味でもある。

意外と通じる!?発音バラエティ 第1回 saysは“セズ”と読まないとダメ? 三浦弘(専修大学教授)

sayの3人称単数現在形saysの発音は「セズ」、過去形saidは「セド」であると学校では厳しく指導され、それ以外の発音は誤りとされる風潮があるが、イギリスやオーストラリアの英語では「セイズ」と「セイド」も普通に使われている。生の英語発音を手軽に調べるには、YouGlishという、YouTubeの動画から目的の語句の使用例を全て選び出してくれるサイトが便利。

https://youglish.com/

日本語文法講座 第1回 主題や対比を表す助詞の「は」 高嶋幸太(立教大学兼任講師)

「その本はヘミングウェイが書いた」という構造は、「ハガ構文」と呼ばれる。日本語は主題を重視するため、主語優勢言語(topic-prominent language)と言われ、英語は主語を重視するため、主語優勢言語(subject-prominent language)であると、言われることもある。

「パーマーが残したものー語研の財産」浅野伸子 「語研ジャーナル」第22号

パーマの残した貴重な英語教授法が、少しだけわかる。p.75

「心さえ負けなければ、大丈夫」、「ひとりじゃないから、大丈夫」を読んで

「ひとりじゃないから、大丈夫。」「心さえ負けなければ、大丈夫」織田友理子著 鳳書院

集中人権学習において、出会学習の一環として、担当している生徒の保護者を招聘して、「ミオパチー」という難病とその病気を受け入れながら生活をしている方の生き方について学習した。

「遠位型ミオパチー」という病気は、手の先など体の中心より遠いところから筋肉が脂肪に変わり、歩けなくなったり、手足が自由に動かせなくなる病気である。日本には400人ほどしかおらず、研究している学者も少なく、特効薬や治療法が確立されていない。

今回招聘した講師は、20歳を超えるくらいから徐々に体力が低下し、現在は車椅子で生活をされている。病気と闘うのは本当に大変だと思うが、卑屈になるどころか、とてもとてもとても前向きに考えていらっしゃって、めちゃくちゃパワーをもらった。どうして、そんなにみんなにやさしく、周りを明るくできるのだろう。自分の恨みがましさやマイナス思考なところが情けなくなった。

「みんながやさしく、つながり合っていけばいい」

自分のことより、いつも周りのことが考えられる素晴らしい人だった。そんな彼のやさしさに涙がポロポロ出てしまった。

彼は、私と連れ合いが出会った学校で、二人で数学と英語を教えた教え子だった。教え子どころか、学ぶべきことがありすぎて、たくさんのことを教えてもらった。本当にありがとう。

2冊の本は、ミオパチーの勉強のために読んだ本。著者の織田友理子さんも遠位型ミオパチーである。スウェーデンへ福祉の最先端を見に行ったり、政治に訴えたりと、障害者福祉や医療を先に進めるために頑張っている。

「ザイム真理教」を読んで

「ザイム真理教」森永卓郎著 発行:三五館シンシャ 発売:フォレスト出版 2023年6月1日初版

NHKラジオ第2放送で毎週土曜日の朝やっている「まいあさ」という番組の、「著者からの手紙」というコーナーが大好きで、そこで紹介されていた本。もちろん著者の森永卓郎さんも来ていて、この本を書くにあたり考えていることなどを語ってくれた。とても興味を持ったので購入した。

あらすじは、

やさしく、やわらかく、面白く、日本経済に警鐘を鳴らす本。■それは信者8000万人の巨大カルト「大蔵省(現財務省)の奴隷だった」という自身の実体験をもとに、宗教を通り越してカルト教団化する財務省の実態をあばき、その教義を守り続けて転落し続ける日本経済&国民生活に警鐘を鳴らす、森永卓郎による警世の書。~旧大蔵省時代を含めて、財務省が40年間布教を続けてきた「財政均衡主義」という教義は、国民やマスメディアや政治家に至るまで深く浸透した。つまり、国民全体が財務省に洗脳されてしまったのだ!(本文より)~

私は経済には疎く、知らないことばかりだが、FXを始めて、少し金融のことを勉強するようになってから、テレビ東京の「モーニングサテライト」を見るようになり、少し興味が湧くようになった。

この本の中には、財務省(旧大蔵省)がいかに政府の中で、大きな位置をしている省庁なのか、財務省の考え方・方針で政治の方向性も変わっていくということが、色々な証言やデータと共に書かれている。

財務省が出している協議を支えるデータとして、①税収を大きく上回る歳出がなされ、その差である財政赤字がどんどん拡大している ②その結果、日本の国債残高は、どんどん増えていて、今や先進国の中でダントツに大きな残高になっている ③財政赤字を放置すれば、将来世代に負担を先送りすることになる ④同時に、国債の信認が失われれば、通貨の信認や金融機関の財務状況にも悪影響を及ぼす ⑤国民が広く受益する社会保障費は今後も増大していくと見込まれ、その費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点から消費税の引き上げは必要 というような競技の解説が示されている。

さらに、驚くべきことは、世界有数の借金国である日本だが、普通国債の残高は1,029兆円あり、それは国民一人当たり823万円もの借金となっている。

しかし、森永氏は、「そもそも日本は、そんなに大きな「借金」を抱えているわけではなく、日本政府は、世界で類を見ないほど大きな資産を保有している」と論ずる。

国は、国債という借金を987兆円抱えているが、借入金や未払金なども加えると1,661兆円の負債を抱えている。一方、資産の方は、現預金や有価証券などの流動資産を841兆円、土地や建物などの固定資産を280兆円も持っている。合計の資産は1,121兆円。借金も多いが資産も多い。アメリカ国債を100兆円以上持っているので、円安の今は少し低く価値づけされているかもしれないが、いずれ円高になると大きな資産になる。

政府は赤字国債の半分を日本銀行に肩代わりさせているので、政府の借金というのは少なく見込まれる。さらに、日本銀行は通貨発行益がある。これは新たに通貨を発行すると発行者が利益を得ることである。1万円札を作るのにいくら印刷代がかかるかわからないが、例えば1,000円かかるとしても、9,000円は発行益として日銀に入る。

また、日銀が国債を買った瞬間に、その分は実質的に政府は返済義務を負わなくなる。逆に言うと、日銀に国債を買ってもらった分は、政府は利益を得たのと同じことになる。

だから、日本の借金はほとんどない。だから、消費税を上げる必要もない。国民が財政が危ういと感じているのは、財務省の煽りのせいだと森永氏は言う。

1両=50匁(銀貨)=4,000文(銅貨)が江戸時代の換算レート

たいへん、おもしろい本だった。