英語教育8月号 大修館書店 August 2021 Vol.70 No.6
第1特集 ことば✖️内容で学びを深める CLILをヒントにした授業づくり 第2特集英語との古くて新しい付き合い方 英文解釈のススメ
ICTを活用した小学校でのCLIL授業ー「日本の米料理紹介」実践 中田葉月(寝屋川市立第五小学校教諭、大阪教育大学非常勤講師)
「Quizlet」や「Kahoot!」そして「Word Wall」などのオンライン学習ツールを語彙の学習に使用します。
https://quizlet.com/subject/ Quizlet
https://kahoot.it/ Kahoot!
https://wordwall.net/. Word Wall
類似教育法との違いと日本でのCLIL実践 池田真(上智大学教授)
CLILには2つの種類が存在する。一般教科教員が担当科目を英語で教えるハードCLILと、外国語科教員がテーマやトピックを英語で教えるソフトCLILである。
英語の文字の指導法 手島良(武蔵高等学校中学校教諭、日本女子大学非常勤講師)指導の実際(1)
アルファベット順に書かせるより、筆法によっていくつかのグループ(letter family)に分類して、字形の類似性に着目させつつ、共通する運筆を習得させる方法。⑴ l,i,t縦・横の直線(+点)からなる文字 ⑵ z,v,w,x,(y,k) 縦・横・斜めの直線からなる文字 ⑶ c,e,o反時計回りの長円(の一部)を含む文字 ⑷ a,d,q,g反時計回りの長円と縦棒からなる文字※長円が先で縦棒が後 ⑸ u, y 反時計回りの下向きのこぶを含む文字 ⑹ b, p 縦棒と時計回りの長円を含む文字※縦棒が先で長円が後 ⑺ n, m, r, h, k 時計回りの上向きのこぶ(の一部)を含む文字 ⑻ s, f, j その他 練習の際に大切なのは、同じ文字を繰り返し(左から右に)欠かせない、ということです。この4文字が同じ筆法かつ筆順で書けるということを理解させたいのですから、この4行を上から下にa→d→q→gの順で書かせます。もう1つの注意点があります。それは、一度に書かせる回数を、上から下まで3回程度にとどめる(つまり、a→d→q→gを3回程度)ということです。同じ文字を右に向かって繰り返し何度も書かせると、生徒は飽きてきます。また、早く終わらせようとして、右にいけば行くほど字形が崩れます。字形が崩れます。
今月の時事英語
ハイジャック(hijacking)の語源は、禁酒法時代のアメリカでウイスキーを積んだトラックを止めて、”Up high, Jack”と命令したからという。
現場のお悩みQ&A 「振り返りシートを評価に生かす問いかけの工夫」大脇裕也(大東市立北条中学校教諭)
自己調整(児童・生徒が、学ぶ過程でどのように変容していったか)を看取るため。問いかける項目としては、①「今日の授業で学んだことを後輩に教えるとしたら、どんなことを教えますか。」②「今日の授業への取り組みについて『よかったところ』と『反省点』を先生にアピールしてください。」③「授業で、『これはできるようになった』と自信を持って言えることは何ですか。」④「友だちとの会話の中で『なるほど!』と思えたことは何ですか。」さらに、「今日の発表のレベルをさらに上げるためには、何ができますか。」「相手に伝えるために1番意識したことは何ですか。」をプレゼン後に書かせるといい。「1ヶ月後の自分の振り返りシートを見返したときに『この時間ではこういう学びをしたな。』と理解できるように、具体的に書きましょう。」と伝える。今までの私の振り返りカードの問いかけ(自由記述の上にどの項目について書くか✅を入れる)を反省した。
授業改善へのヒント 「フラッシュカードを使った新出単語の学習ー文教大学附属中学校授業からー」阿野幸一(文教大学教授)
少人数の授業であれば、ここの生徒に対応しながら、紙のフラッシュカードを使用した方が、生徒との心理的な距離を近づけての練習ができるかもしれません。どうも、デジタル教科書(教師用)のフラッシュカードは申し分ないほど便利なのだが、生徒が乗ってこない。居眠りを始める生徒もいる。私のやり方も悪いのだろうが、髪のフラッシュカードの方が、手応えもああり、効果もあるように思う。
自然に授業に参加させるための工夫 上本晋之(四条畷市立四條畷中学校教諭)
人は自分の頭にためてある音を使おうとします。咄嗟に単語が言える、言えない、の差はそれまでにどれだけ声に出してきたか、その積み重ねの厚さの差だと言えます。
指導の当たり前を疑う 「文法定着のためのアクティビティー」って必要? 奥住桂(帝京大学講師)
キーワードは「シンプルに」「何度も」 個人的なお勧めは、シンプルなパタン・プラクティスです。ただし、「たくさん繰り返すことで意味が生まれる」ことが、ポイントです。例えば比較級の練習としては、中学校で学習する9教科をトーナメント表にして、どちらが面白いか(難しいか)などをペアで質問試合、相手にとって1番◯◯な教科を探り合う活動があります。また現在完了の練習としては、自分のちょっと恥ずかしい失敗(例:田んぼに落ちた)を聞き合って、最終的に円グラフを作成してクラスの傾向を明らかにするよう活動も盛り上がります。どちらもシンプルながら「繰り返すことで意味が生まれる活動」で、勝ち負けとは違うレベルでの達成感が味わえると思います。本当の意味で使わせる場面は、後々にしっかり設定しておくほうが賢明です。
授業力は「書く力」に比例する 教師のための綴り方教室から 第5回 第2章「要約力を鍛える」① 「引き算思考」をすれば授業が生まれ変わる 中嶋洋一(関西外国語大学教授)他2名
児童生徒がゴールを目指し、アクティブに学んでいる授業では心を鷲掴みにされる。要約とは、活動の「目的」に照らし合わせ、「不要なかたまり」を見つけて、思い切って削ることである。「目的」とは、学習指導要領、児童生徒理解、教科書や教材のねらい等である。それらの本質を正しく理解しないと「要約」はできない。例えば、欲張って詰め込んだ活動の「時間」だけ短くして、一通りやろうとするのは誤った要約である。「要約」とは、本質に気づいて無駄(多くは自己流)を省く、生徒に任せる部分を用意する、関わり合う時間や活動をどうコーディネートするかを考えるということだ。それができてくると、授業で「余白」(児童生徒に委ねる時間)や「間」(思考する時間)を大切にするようになる。要約力を身につけるための「羅針盤」になるのは何か。それは学習指導要領と教科書のTeacher’s Manualである。
ポイントは学んだことを、「活用」させることだ。「応用」と「活用」は違う。知識や公式を使って、他に当てはめるのが「応用」、一方、「活用」は、新しい局面で、今まで習得した知識、技能を組み合わせて、自分の力で問題を解決する。「without…ingを使って英文を書きなさい」という課題は、教師が言語材料を指定しているので「応用(練習)」である。これが「片想いの相手に勇気を出してラブレターを書くことにした。自分の気持ちを何とか相手に伝えなさい。」という課題なら、生徒はI can’t spend a day without thinking of you. とかI always look at you without saying a word.という英文を自分で考える。これが「活用」である。教師が責任を持って「何のために」といったコミュニケーションを行う目的を当て、写真やイラスト、さらには「場面」を用意する。つまり、言語使用の必然性を追求することが「思考・判断・表現」の鍵になる。
Deep Culture Insights5️⃣ The Oz Moment. (Joseph Shaules 慶應義塾大学教授)
This feeling of discovery and amazement is called the ‘Oz Moment’. It often happens when we first arrive in a foreign country and notice how different things are. Memorizing facts does not change us. Experiential learning, however, engages the intuitive mind and has a deeper impact. As educators, we need to understand the intuitive mind and how to creat Oz moments in the classroom.授業中に、Oz momentsを味わう瞬間を意図的に作り出すにはどうすればいいのか。映像で教材に関連あるauthecticなものを見せたり、ALTにたくさん話してもらったりすることかな。
授業に活かせる基礎英語講座③ 2項動詞に見られる自/他動詞のゆらぎ(澤井康佑 文筆家・英語講師)
suffer ①(肉体的に)苦しむ;[SV from O]<病気など>にかかる、かかっている;<傷など> ②<人が>(人・もの・コトのために)(精神的に)苦しむ、悩む;(人・商売などが)(・・・で)困った目にあう、痛手をこうむる(from, for) ③<人が><苦痛など>を経験する;<損害など>をこうむる、受ける>をこうむる、受ける
高校3年間のスピーキング力の発達を探る 第5回 学習環境と発話の発達を考慮した指導 (阿部真理子 中央大学教授 藤原康弘 名城大学教授)
たくさん話せるようになるためにbecauseとsoを使って見るのは良いコトです。「結論+because(理由)+So(結果)」という流れで話を展開できるからです。しかし、そればかり使用すると冗長な会話になるので、一つの対処法としては、常に新しい情報を追加するという意識を持たせると良いでしょう。沈黙を埋めるために、話すことを考える時間を作る際にsoをfilerとして使うと、次に来る話の内容が「結果」に限定されてしまいます。文脈に影響を及ぼさないfiller(例:well, ummなど)を使うと、話の流れが制御されません。 I thinkというのをやめる。I thinkの部分を、assume, guess, supposeなどを使い、自信を持って主張したい場合は、be certain, believe, be sureなどを使うようにする。