「樹齢七千年の杉」をやってみた

「樹齢七千年の杉」特別の教科 道徳 2年生(「中学道徳あすを生きる」 日本文教出版)

飛び込みで入ったこの学年の生徒との道徳の授業もやっと自然体で望めるようになった気がする。私も肩の力が抜けてゆったりと。子供たちも余分な緊張感もなく、ありのままの自分を出してくれていた。いい意見を言おうとしないのがいい。自分が思っていることをそのまま出してくれていることが、「お互いの価値観を交流する・共有する」いい機会となっている。

この教材は、屋久島にある「屋久杉」の話である。いつ死んでもおかしくないほど老齢な杉だが、「死の瞬間まで、命の火をほうほうと燃やす美しい生き方」をしている。死の瞬間まで、子孫を残すために、杉の実をつけている。そんな杉の生き方について、自分に照らし合わせて考えさせる。自分なら、そんな生き方(死に方)ができるか。

主発問は、「死の瞬間まで、命の火をほうほうと燃やす美しい生き方」とはどんな生き方か。

「悔いのない生き方」、「やり抜いて後悔のない生き方」、「伝説になる、思い出をしっかり持ち続ける生き方」、「気持ちが冷めることのない生き方」など、たくさんの意見が出た。その中でもとりわけ、印象に残っているのが、「老いては見えるけど、子孫を残そうと最後まで精力的にやり抜く生き方」という意見であった。

それぞれが杉の生き方と自分の生き方(死に方)に自分を重ね合わせて考えることができた。

内容項目は「生命の尊厳」である。学習指導要領では、次のように、指導について書かれている。

冒頭の質問で、「これはすごい、美しいなど感じながらも、少し怖いから近づくのは止めておこう」と思った経験はないか?と尋ねると、滅多に発言しない子どもから、「浜に打ち上げられた鯨を見たときにそう思った」と言われる。まさに、こちらが意図していた例を挙げてくれて、びっくりした。

いつもいつも真剣に考えてくれる、子どもたちに感服する。